マイナ保険証の利用促進のため、厚生労働省は21日、利用者が増えた病院や薬局に見返りとして支給する支援金の上限を倍増すると発表した。 厚労省は、5月から利用促進キャンペーンを強化したが、利用は伸びていない。病院や薬局の窓口では政府が推奨する声かけでトラブルも起きている。さらなるバラマキによる政府の普及策には、医療現場からも怒りの声が上がっている。(福岡範行、長久保宏美、戎野文菜)
横浜市教育委員会が教員の性犯罪事件の公判傍聴を妨害していた問題を巡る住民監査請求で、職員の出張記録などの資料提出要求に応じていないことが10日、分かった。外部の弁護士による検証チームが作業を進めていることを理由に挙げるが、監査委員からは「違法な監査妨害ではないか」と批判する声が上がった。 監査委員は10日、公判に動員した職員の給与や交通費の返還を求める住民監査請求で、請求人と市教委の陳述聴取を行った。市教委にはあらかじめ関係書類の提出を求めていたが、出席した村上謙介教職員人事部長が「検証チームに確認いただいた上で提出したい」と述べた。委員は「なぜ検証チームには提出できる資料を監査委員には出せないのか」と繰り返しただしたが、同様の回答に終始した。
東京都小平市で2001年、イラン国籍の3人が現金輸送車から1億円を奪ったとされる事件で、国際手配中に来日し、強盗傷害容疑で逮捕された同国籍の男(51)が、今月26日に不起訴(嫌疑不十分)となった。地検立川支部への取材で、共犯の元受刑者の刑事確定記録が廃棄されていたことが判明。事件に関係する検察側証拠が失われ、処分の判断に影響したとみられることが、関係者への取材で分かった。(鈴鹿雄大) 刑事確定記録 判決文(裁判書)を含む刑事裁判で使われた供述調書や実況見分調書、捜査報告書などの記録を指す。判決確定後、一審裁判所に対応する地検で保管される。保管期間は刑の重さなどに応じて異なる。有罪が確定した刑事裁判の場合、判決文以外の記録は、50年(死刑か無期懲役)~3年(罰金刑)などと定められている。検察官が必要と認める場合、期間が延長される。期間を満了した後も、調査研究の重要な参考資料にあたる場合、法務
新型コロナウイルス感染の拡大で、安倍晋三首相が改正新型インフル特別措置法(新型コロナ特措法)にもとづき緊急事態宣言を出し、ライブハウスや映画館などが営業停止した場合の社員への休業手当について、厚生労働省は二日、本紙の取材に「休業手当の支払い義務の対象にならない」との見解を明らかにした。緊急事態宣言を出す場合、予算措置による所得補償もセットで講じなければ、生活困窮に陥る人が多数出るおそれがある。 (池尾伸一) 通常、企業が社員を休業させる場合は「会社都合による休業」として、労働基準法に基づき「平均賃金の六割以上の休業手当」を払う義務がある。現在、コロナの影響による営業不振や自粛で社員らを休業させている企業にも義務は適用されている。 しかし、緊急事態宣言が出されると、都道府県知事は学校など公共施設に加えライブハウス、野球場、映画館、寄席、劇場など多数の人が集まる営業施設には営業停止を要請・指示
米軍横田基地(東京都福生市など)で発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS、ピーファス)を含む泡消火剤が漏出した問題で、防衛省は21日、2010~2012年に発生した計3件の漏出を2019年1月に把握していたと発表した。都や周辺市町に伝えたのは今年6月で、漏出の把握から公表まで4年半を要した。同省は「省内の連携ミスで公表が遅れた。速やかに情報提供すべきだった」と釈明した。 PFAS 泡消火剤やフライパンの表面加工などに使われてきた有機フッ素化合物の総称。約4700種類以上あるとされる。PFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)は人体や環境への残留性が高く、腎臓がん発症や胎児・乳児の成長阻害、コレステロール値の上昇、抗体反応の低下などの健康リスクがあるとされ、国際的に規制が進む。 同省によると、2018年12月の漏出事故の報道を受け、2019年1月に米側から漏出についての報告書を入手
内装工事業スリーエスコーポレーション(本社・京都府宇治市)でアルバイトとして働く人たちがつくる労働組合は9月30日、東京都内で会見し、「賃金など待遇が差別的」と正社員化を求めてストライキを実施していると明らかにした。正社員化を求めたストは異例という。 組合によると、10人はマンションなどの内装作業の現場責任者として、正社員と同じ仕事をしている。長く勤める人が多く、5年以上同じ企業に勤めると無期契約に転ずる権利が発生するルールにもとづき全員が無期雇用となった。しかし、その後も会社はアルバイトとして扱っているという。賞与も支給されず、給与も一時間1800円の時給制で、年収は他の正社員に比べ3割から5割程度低いという。 団体交渉で正社員化や待遇改善を求めたが、会社側は「愛社精神がない」と要求を拒否。組合はストライキを実施した。組合代表の大橋翼(たすく)さんは「会社にいくら貢献しても一生アルバイト
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との「決別」を宣言した自民党に対し、党内外から「本当にできるのか」と疑問視する声が上がっている。執行部は、党所属国会議員に教会側との接点を自主点検させ、党の運営指針(ガバナンスコード)に「今後は一切関係を持たない」と明記する方針。だが、点検のずさんさが露呈し、指針の実効性も見えない。識者は検証と反省が不十分と指摘する。(佐藤裕介、我那覇圭) 「党として、わざと出さない(公表しない)ということはあり得ない」。自民の茂木敏充幹事長は20日の記者会見で、8日に自主点検の結果を公表した後、所属議員と教会側との新たな接点が相次いで表面化したことを受け、追加公表する考えを示した。その上で「(公表済みの)全体像に大きな変化が出ているという報告は受けていない」と主張した。 自主点検の結果では、衆参両院で計179人が教会側から選挙支援を受けたり、関連の会合で講演したりし
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金の問題で、多額の献金をした信者の老後破綻への懸念が強まっている。被害者救済法案を巡る与野党の協議が難航する中、高齢の両親が借金を抱えながら献金を続けている関東地方の「宗教2世」の30代女性は、「両親は客観的に状況を判断できず、このままでは支えきれない。早急に対策を講じ、家族が献金を取り戻す権利も認めてほしい」と訴える。(太田理英子) 女性は合同結婚式で結ばれた両親の元に生まれた。教団関連企業で働く父親の収入でなんとか家計が成り立つ状況だったが、両親は日常的に献金を重ねた。月ごとに収入の10分の1を教団に納める「十一条献金」をすれば地元教会の会報に名前が載り、女性は「献金しないといけない」と思いやすかったと振り返る。 子ども時代は最低限のものしか与えられず、大学の学費などは奨学金やアルバイト代でまかなった。だが大学を卒業するころ、両親が親族の遺産約
沖縄防衛局によると、22年度、辺野古の新基地建設に支出した額は815億円。着工から21年度までにかかった工費と合わせると、総額で4312億円に達した。 一方で、22年度末時点の工事の進捗を見ると、事業全体の埋め立て土量2020万立方メートルのうち、4年余りで埋め立てた量は14%。しかも、これまで埋め立ててきた場所は、工事がしやすい水深の浅い海域だ。 防衛省は4年前、軟弱地盤対策のため総工費を9300億円に引き上げた。 辺野古の軟弱地盤 辺野古沿岸部東側の埋め立て予定地の海底に、「マヨネーズ並み」と評されるほどの軟らかい粘土層が広がっている。最深で水面下90メートルにまで及ぶ。防衛省は2015年に軟弱地盤の存在を把握していたが、その事実を伏せてきた。政府が存在を認めたのは、土砂投入を始めた翌月の19年1月。防衛省は「地盤改良すれば建設可能」として、大幅な設計変更を行った。深さ90メートルにま
東京都多摩地域における井戸水の有機フッ素化合物(PFAS)汚染は、長期間にわたって広範囲で続いてきた可能性が出てきた。水道水に使われる水は、人々の健康や生命の安全に直結するはずだが、市民団体の再三の指摘にも都の動きは鈍い。背景には、国内ではPFASの明確な健康基準が定められていないことや、汚染源の可能性がある米軍基地への立ち入り調査が難しいことがある。(松島京太) 有機フッ素化合物 PFOSやPFOAなど多数あり、総称はPFAS(ピーファス)。水や油をはじく性質があり、泡消火剤や塗料、フライパンのコーティングなどに幅広く使われてきた。環境中でほとんど分解されず、人や動物の体内に蓄積されやすい。がんや心疾患による死亡リスク上昇との関連や、出生体重が減少する恐れが指摘され、近年、国際的に使用の禁止や規制が進む。日本の水道水などの暫定目標値はPFOSとPFOAの合計が1リットル当たり50ナノグラ
高市早苗経済安全保障担当相は7日の記者会見で、総務省の行政文書と確認された放送法解釈を巡る資料について、自身にかかわる記述の内容が不正確で捏造(ねつぞう)と繰り返し、辞任を否定した。「捏造文書」との主張が誤りだった場合に辞職するかに関しては「閣僚や議員の辞職を迫るのなら、文書が完全に正確だと相手も立証しなければならない」と強調。政治家としての説明責任を疑惑を追及する側に転嫁するような発言で、有識者は「ナンセンスで筋違いだ」と批判した。 放送法解釈を巡る行政文書は約80ページあり、安倍政権下の2014〜15年にかけて、当時の礒崎陽輔首相補佐官が総務省に放送法4条の「政治的公平」の新たな解釈を示すよう働きかけた経緯が時系列に示されている。そのうち4ページには、総務相だった高市氏の発言や、安倍晋三首相との電話会談の内容とされるやりとりが記されている。 立憲民主党の小西洋之参院議員が総務省職員から
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)を求めた署名運動を巡り、「署名者の個人情報は県広報で公開される」などと虚偽の情報をツイッターに載せて運動を妨害したとして、愛知県警が地方自治法違反(署名運動妨害)の疑いで、精神科医の香山リカ氏やジャーナリストの津田大介氏ら計4人を名古屋地検に書類送付していたことが8日、関係者への取材で分かった。 起訴を求める意見は付けなかったとみられる。香山氏は代理人弁護士を通じて「(告発された案件は)全件送致されるので、手続き的なことだと理解している。捜査には協力している」とコメント。津田氏は「今後もこれまで通り協力する」と話した。 運動を主導した美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が昨年8~9月に刑事告発。告発状によると香山氏は、署名者の個人情報が県の広報で公開されるなどとうその投稿をし、津田氏はこれらの投稿を拡散させたとしている。他に書類送付されたのは、
2023年10月から事業者を対象に始まる消費税の新ルール「インボイス制度」。これが導入されると「声優の2割強が廃業するかもしれない」というアンケートの結果が、東京新聞「ニュースあなた発」に届いた。調査した声優の有志団体「VOICTION」は導入中止を強く求めている。なぜ声を上げたのか。(小川慎一) インボイス制度(適格請求書等保存方式) 2019年に消費税の軽減税率導入に伴って8%と10%の2種類の税率が混在するようになったため、政府が事業者に正確な税額計算を求めるために導入する。企業と取引する消費税の免税事業者(例えば大工の一人親方、運送業者、フリーランスのライターやアニメーターなど)への影響が大きい。財務省の試算では、免税事業者約488万のうち約160万が課税事業者に変更し、2480億円の税収増になるとされる。
昨年末に放送されたNHKの番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、五輪反対デモの参加者が金銭をもらって動員されたとする裏付けのない字幕が流された問題で、NHKは10日、これまで「不確か」と表現していた字幕の内容について、初めて「誤り」と認める調査報告書を発表した。 この番組は、五輪公式記録映画で監督を務める河瀬直美さんら撮影スタッフにNHKが密着取材した内容。撮影スタッフの島田角栄さんが匿名の男性をインタビューしている場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕が付けられた。放送後に抗議が殺到したことを受け、NHKが再度事実確認したところ、男性が東京五輪反対デモに参加したかどうかを確認していなかったことが判明した。 報告書によると、問題の場面が撮影されたのは昨年8月7日で、放送された部分以外には「お金をもらって、いろいろなデモに参加
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