並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 21 件 / 21件

新着順 人気順

#ピケティの検索結果1 - 21 件 / 21件

  • ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    目次: 目次: はじめに 1. 『資本とイデオロギー』の概略 1.1 .『21世紀の資本』のあらすじ: 1.2. 『資本とイデオロギー』の全体的な話 1.3. 『資本とイデオロギー』のあらすじ 第I~II部:歴史上の格差レジーム/奴隷社会&植民地 第III部:20世紀の大転換 第IV部(その1):政治的対立の次元再考——問題編 第IV部(その2):政治的対立の次元再考——対策案 (第17章) 第IV部(その3):政治的対立の次元再考——対策案 (その他随所) 2. 通読する必要はないと思う 3. タイプ別読み方 『21世紀の資本』の続きとして読みたい人、つまり経済格差とその対応を知りたい人は…… 経済格差への対応を知りたい人は…… 世界各地の格差の変動プロセスの比較に興味ある人は…… 4. 最後に はじめに このたび、ついについに難産の子、ピケティ『資本とイデオロギー』が出ました。 資本と

      ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    • トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』 - 西東京日記 IN はてな

      本書を「『21世紀の資本』がベストセラーになったピケティが、現代の格差の問題とそれに対する処方箋を示した本」という形で理解している人もいるかもしれません。 それは決して間違いではないのですが、本書は、そのために人類社会で普遍的に見られる聖職者、貴族、平民の「三層社会」から説き始め、ヨーロッパだけではなく中国やインド、そしてイランやブラジルの歴史もとり上げるという壮大さで、参考文献とかも入れると1000ページを超えるボリュームになっています。 ここまでくるとなかなか通読することは難しいわけですが(自分も通勤時に持ち運べないので自宅のみで読んで3ヶ月近くかかった)、それでも読み通す価値のある1冊です。 本書で打ち出された有名な概念に「バラモン左翼」という、左派政党を支持し、そこに影響を与えている高学歴者を指し示すものがあるのですが、なぜそれが「バラモン」なのか? そして、本書のタイトルに「イデ

        トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』 - 西東京日記 IN はてな
      • 二国家解決を本気で望むなら、西側はイスラエル政府に制裁を科すべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

        イスラエル・パレスチナで二国家解決が実現する可能性はまだ残っているのだろうか。どのような条件が整えば、二国家解決は実行できるものになるのか。まずは希望を持てそうなことから書く。 それはイスラエルにもパレスチナにも、市民たちによる平和運動があり、それらの市民運動が粘り強く、想像力を働かせながら、平和的かつ民主的な解決を訴えていることだ。残念ながら、こうした市民運動は少数派なので、国外からの強力な支援なしに運動の目標を達成できる見込みは薄い。 状況を打開するためにも、そろそろEUと米国が言行不一致をやめるべきときがきているといえる。イスラエルの輸出の約7割は、米国と欧州に向かっている。だから西側諸国が二国家解決を本当に支持しているなら、イスラエル政府に制裁を科すべきなのだ。なぜならイスラエル政府は、入植活動や弾圧活動を続けたり、パレスチナの国家承認に反対したりしており、平和につながりうる可能性

          二国家解決を本気で望むなら、西側はイスラエル政府に制裁を科すべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
        • ピケティの指摘「貧困層を目の敵にするイデオロギーが公共サービスを劣化させている」(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース

          この記事は、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載「新しい“眼”で世界を見よう」の最新回です。 【画像】ピケティの指摘「貧困層を目の敵にするイデオロギーが公共サービスを劣化させている」 最初にはっきり言っておきたい。フランスの日刊紙「ル・モンド」が掲載した見事な調査報道の記事によって、フランスの福祉機関「家族手当金庫(CAF)」の手当受給者数千人が、無節操で理不尽極まりない手続きの対象にされていたことが白日のもとにさらされた。 これはフランスに限らず、欧州や世界の社会保障や公共サービスの未来が根本的な問題に直面していることを示している。ル・モンド紙の記者たちは、隠蔽されていた数千行のプログラミングのコードを調べあげただけではない。 生計が不安定な人たちやひとり親たちに会い、手当の過払いがあったと不当に疑われて追い回された話に

            ピケティの指摘「貧困層を目の敵にするイデオロギーが公共サービスを劣化させている」(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
          • 西側諸国は傲慢さを改め、BRICSと真面目に向き合うべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

            誰の目にも明らかだろう。ガザでの戦争がきっかけでグローバル・ノースとグローバル・サウスの溝がさらに深まるおそれが生じている。 イスラム圏の国々に限らず、グローバル・サウスの国々の多くにとって、イスラエルがパレスチナの飛び地を空爆し、民間人の死者が数千人も出たことは、20年前の米国のイラク攻撃で数十万人の死者が出たときと同じように、西側諸国のダブルスタンダードそのものだと長い間、記憶されるに違いない。 一方、新興国側の主要な集まりであるBRICSは、数ヵ月前にヨハネスブルクで首脳会議を開催し、ますます力を持ちはじめている。2009年から開催されているこの首脳会議は、2011年からブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの計5ヵ国が参加してきた。

              西側諸国は傲慢さを改め、BRICSと真面目に向き合うべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
            • 貧困層を目の敵にするイデオロギーが「公共サービスの質」を劣化させている | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

              この記事は、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載「新しい“眼”で世界を見よう」の最新回です。 最初にはっきり言っておきたい。フランスの日刊紙「ル・モンド」が掲載した見事な調査報道の記事によって、フランスの福祉機関「家族手当金庫(CAF)」の手当受給者数千人が、無節操で理不尽極まりない手続きの対象にされていたことが白日のもとにさらされた。 これはフランスに限らず、欧州や世界の社会保障や公共サービスの未来が根本的な問題に直面していることを示している。ル・モンド紙の記者たちは、隠蔽されていた数千行のプログラミングのコードを調べあげただけではない。 生計が不安定な人たちやひとり親たちに会い、手当の過払いがあったと不当に疑われて追い回された話にも耳を傾けた。記事が示したのは、闇雲にアルゴリズムを使って調査することが、日々の生活に悲劇

                貧困層を目の敵にするイデオロギーが「公共サービスの質」を劣化させている | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
              • 【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐

                リベラル知識人はなぜ「バラモン左翼」と呼ばれるか 東浩紀は、『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)や『訂正する力』(朝日新書)などの最近の著作のなかで、次のようなカズオ・イシグロの言葉にたびたび言及している。 俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています。東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです。[★1] 東は、開放性を掲げるリベラル知識人が、実は同じ心情や生活習慣を持つ人々の中で閉じたサークルを作っている、という実態を批判する文脈でこの発言に触れている。確かにそれも重要な視点だろう。そのうえで、ここではイシグロがそれに続けて語った内容により注意を向けたい。 私は最近妻とよく、地域を超える「横の旅行」ではなく、同じ通りに住んでいる人がどう

                  【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐
                • 【マンガ】トマ・ピケティ 貧富の差を生まない「新しい経済のカタチ」を考える人 | 賢人たちの偉業や生い立ち、素顔が見えてくる

                  これからの世界を描く、注目の学者たちを紹介する「世界の賢人PEDIA」。第1回は、フランスの経済学者であるトマ・ピケティを紹介しよう。 ピケティが書いたベストセラー『21世紀の資本』を聞いたことがある人は多いと思うけど、いったい彼の主張の何が画期的だったんだろう? ピケティは海外メディアの取材に積極的に応じている。インタビュー記事であれば、彼の最新の考えをわかりやすく理解できるはずだ。記者の質問も鋭く、ピケティの思考が端的に見てとれる。 また、ピケティはフランスの日刊紙「ル・モンド」にも毎月コラムを寄稿しているよ。 クーリエ・ジャポンでもピケティのインタビュー記事を多数掲載しているので、彼の“思考の現在地”に興味のある人は、ぜひ読んでみてほしい。

                    【マンガ】トマ・ピケティ 貧富の差を生まない「新しい経済のカタチ」を考える人 | 賢人たちの偉業や生い立ち、素顔が見えてくる
                  • ウクライナのEU加盟は「自由貿易と競争を崇める経済教」脱却のチャンスだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                    この記事は、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載「新しい“眼”で世界を見よう」の最新回です。 ウクライナがEU(欧州連合)に加盟する可能性があるが、それを認めるべきだろうか。この問いの答えはイエスだ。ただし、それを機に欧州統合の構想を再考するのが条件である。すなわち、EUを法の支配と民主的多元主義のための政治共同体として、再定義する機会とすべきなのだ。 この数十年間、EUを築いていくにあたって支配的だったのは、自由貿易と競争がありとあらゆる問題の解決策となると説く「経済教」という宗教だった。その経済教という宗教から抜け出すときがきている。 ロシアからウクライナを守ることに死活的重要性があるとするなら、それは民主主義の擁護という政治的理由があるからだ。ウクライナは、その隣国のロシアとは異なり、選挙を通じた民主制、政権交代、権

                      ウクライナのEU加盟は「自由貿易と競争を崇める経済教」脱却のチャンスだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                    • 不平等の問題に取り組まなければ、フランスは「農家の危機」から抜け出せない | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                      フランスや欧州各地で農家の危機が発生している。これが示すのは、社会の不平等や私たちの経済システムの目に余る不公平さを激減させなければ、いかなる持続的な発展も望めない、ということだ。 それなのにフランス当局やEU当局は、農家の危機に対して、農薬の規制を緩めて環境汚染を進行させる一昔前のやり方で対応しようとしている。不平等の問題や経済的自由主義の教義と闘おうとしていないのである。 この対応がことさら不適切なのは、いまの農業が、ほかの職種と比べても格差が大きいだからだ。何事も基本的、かつ具体的な現実から出発すべきだ。そうでないと、実行可能な解決策につながらない。 まずはおさらいをしよう。この数週間、フランスでは2022年の農家の平均年収が5万6014ユーロ(約921万円)だという統計が大量に拡散され、世論を驚かせた。想定を大幅に上回る額だったのだろう。このデータは、フランス農業省の統計部門がほか

                        不平等の問題に取り組まなければ、フランスは「農家の危機」から抜け出せない | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                      • トマ・ピケティ - 新しい“眼”で世界を見よう | クーリエ・ジャポン

                        世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載を掲載しています。

                          トマ・ピケティ - 新しい“眼”で世界を見よう | クーリエ・ジャポン
                        • 池田信夫 著『日本人のためのピケティ入門』より。資本主義では格差も不平等も拡大する。 - 田舎教師ときどき都会教師

                          今までの経済学では「資本主義の発展とともに富が多くの人に行き渡って所得分配は平等化する」とされてきました。これは資本の生産性が労働を上回れば投資が増えて資本収益率が下がり、労働生産性に近づくと考えられていたからです。現実にも、クズネッツなどの実証データでは、戦後の所得格差は縮小していました。 しかしピケティの1870年以降の歴史的データによれば、それは例外で、資本主義では格差が拡大するのが普通だというのです。 こういう指摘は以前からありましたが、ピケティは世界各国の一次資料を使って定説をくつがえし、「資本主義では過去200年間、格差が拡大し、今後も不平等が拡大する」と予想したオリジナルな研究だったので、大きな反響を呼んだのです。 (池田信夫『日本人のためのピケティ入門』東洋経済新報社、2014) こんばんは。自宅と最寄り駅の間にあって、毎日のようにその前を通っているのに一度も入ったことのな

                            池田信夫 著『日本人のためのピケティ入門』より。資本主義では格差も不平等も拡大する。 - 田舎教師ときどき都会教師
                          • 投資の2大原則「トマ・ピケティのr>g」と「シーゲル教授のアセット毎の長期リターン図」 - Dr.ちゅり男のインデックス投資

                            おはようございます。 投資ブログを運営していることもあり、古典と言われる本からブロガーが書いた本まで、数々の投資本を読んできました。 その中で、もっとも重要な原則を2つ紹介しろと言われたら、 1) トマ・ピケティの「r>g」の不等式 2) シーゲル教授のアセット毎の長期リターンを示した図 だと答えます。 無数の投資本を読んできましたが、 1. トマ・ピケティの「r>g」の法則を理解 2. シーゲル教授のアセット毎の長期リターンの図を見る の2つだけで、あとは自然に答えが導かれると思います。 「きちんと分散された株式を長期保有する」 以上です。 — ちゅり男/医師・投資ブロガー (@churio777) December 2, 2023 この2つを勉強してもどの金融商品に投資すべきかといった具体的な答えは得られませんが、 それよりもはるかに重要な「なぜ株式に長期投資を続けなければならないのか

                              投資の2大原則「トマ・ピケティのr>g」と「シーゲル教授のアセット毎の長期リターン図」 - Dr.ちゅり男のインデックス投資 
                            • トマ・ピケティ 貧富の差を生まない「新しい経済のカタチ」を考える人 | 【これだけ知ればOK!】 賢人たちの 「ココがすごい」

                              若くして注目された才覚 ピケティが生まれたのは、フランスはパリ郊外にあるクリシーという街。両親も、労働問題に対して社会運動に加わるなど、政治参加に熱心な人たちだった。 学生時代から優秀だったピケティは、18歳でパリの国立高等師範学校に入ると、経済学をより深く学ぶようになった。22歳のときには「富をいかに再分配するか」をテーマに博士論文を発表し、年間最優秀論文賞にも選ばれた。 2015年にギリシャが経済危機に陥ったとき、ピケティはほかの経済学者たちと共に当時のドイツ首相宛てに公開書簡を発表した。 当時、ドイツは「ギリシャはちゃんと他国に借金を返すべきだ」と表明していた。それに対してピケティは「西ドイツ政府は戦後の賠償を軽減してもらったのだから、ドイツもギリシャの債務を減免すべきだ」と主張したんだ。 「あなたたち(ドイツ)だって借金を払ってないんだから、偉そうに説教するな」と伝えたんだね。 格

                                トマ・ピケティ 貧富の差を生まない「新しい経済のカタチ」を考える人 | 【これだけ知ればOK!】 賢人たちの 「ココがすごい」
                              • 【書方箋 この本、効キマス】第32回 『資本とイデオロギー』 トマ・ピケティ著/濱口 桂一郎|書評|労働新聞社

                                「バラモン左翼」の由来は もう5年以上も前になるが、『21世紀の資本』がベストセラーになって売れっ子だったピケティの論文「Brahmin Left vs Merchant Right」(バラモン左翼対商人右翼)を拙ブログで紹介したことがある。この「バラモン左翼」という言葉はかなり流行したが、右翼のリベラル批判の文脈でしか理解しない人も多く、造語主ピケティの真意と乖離している感もあった。 原著でも1000ページ、邦訳では1100ページを超える本書は、このバラモン左翼がいかなる背景の下に生み出されてきたのかを人類史的視野で描き出した大著だ。第1章と第2章は中世ヨーロッパの三層社会―聖職者、貴族、平民―を論じ、第3~5章はそれが近代の所有権社会に転換していった姿を描く。第6~9章は欧州以外の奴隷社会、植民地社会を描くが、とくに第8章ではインドのカースト社会を論じる。ここまでで400ページ。いつに

                                  【書方箋 この本、効キマス】第32回 『資本とイデオロギー』 トマ・ピケティ著/濱口 桂一郎|書評|労働新聞社
                                • 道義上の信用性を失っている欧州は、地政学上で弱小勢力になりつつある | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                                  トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」 道義上の信用性を失っている欧州は、地政学上で弱小勢力になりつつある 2024年の欧州議会選挙で、地政学が争点の一つとして注目されたのに驚きはない。ウクライナとガザでは戦争が続いており、西側陣営と中国・ロシア陣営のあいだの緊張も高まっているからだ。中国・ロシア陣営は、南側諸国への影響力の拡大を狙い、「BRICSプラス」の加盟国も増やす構えだ(BRICSプラスの加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、UAE、エチオピア、イラン)。 一部の人にいわせれば、いま掲げられるべき大義は明確だ。欧州の未来は、軍事色の強いものにしなければならないという。ロシアの脅威にさらされているいま、欧州連合(EU)には、軍事力を強化し、加盟各国の国軍の予算を大幅に増やす選択肢しかないというわけだ。現在、対GDP比で1.5~2%の軍事費を3~4%に増や

                                    道義上の信用性を失っている欧州は、地政学上で弱小勢力になりつつある | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                                  • トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』@労働新聞書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                    もう5年以上も前になるが、『21世紀の資本』がベストセラーになって売れっ子だったピケティの論文「Brahmin Left vs Merchant Right」(バラモン左翼対商人右翼)という論文を拙ブログで紹介したことがある。この「バラモン左翼」という言葉はかなり流行したが、右翼のリベラル批判の文脈でしか理解しない人も多く、造語主ピケティの真意と乖離している感もあった。 原著でも1000ページ、邦訳では1100ページを超える本書は、このバラモン左翼がいかなる背景の下に生み出されてきたのかを人類史的視野で描き出した大著だ。第1章と第2章は中世ヨーロッパの三層社会-聖職者、貴族、平民-を論じ、第3章から第5章はそれが近代の所有権社会に転換していった姿を描く。第6章から第9章は欧州以外の奴隷社会、植民地社会を描くが、特に第8章ではインドのカースト社会を論じる。ここまでで400ページ。いつになった

                                      トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』@労働新聞書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                    • EUのルールが租税ダンピングを助長し、タックス・ヘイヴンを発展させた | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                                      2023年末のジャック・ドロールの死去とともに欧州の歴史がまた1ページめくられた観がある。ドロールは1985〜1995年まで欧州委員会の委員長を務めた。欧州議会選挙が数ヵ月後に迫るいま、EUにとって決定的だったあのドロール委員会時代を批判的に振り返り、将来のための教訓を引き出しておくべきである。 1986年には単一欧州議定書(モノとサービスの移動の自由)が調印された。1988年の欧州経済共同体指令では、資本移動の自由が実現した。1992年にはマーストリヒト条約の調印もあった。いまのEUがドロール委員会時代に形作られたといっても過言ではない。 なかんずくマーストリヒト条約は、1957年のローマ条約で設立された「欧州経済共同体(EEC)」を「欧州連合(EU)」に変えたほか、単一通貨「ユーロ」も創設するものだった。フランスでは1992年9月に国民投票が実施され、この条約がかろうじて批准された(賛

                                        EUのルールが租税ダンピングを助長し、タックス・ヘイヴンを発展させた | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                                      • ピケティらが陥った所得データの陥穽?・続き - himaginary’s diary

                                        12/3エントリで紹介したように、Piketty, Saez, and Zucman (2018) のデータの取り扱いを巡って論争が起きている。同エントリで紹介したように、2020年にSaez=Zucmanが同論文を擁護する論文を公表し、Auten=Splinterが同年に反論した。今年、Auten=Splinterが自らの主張をまとめた論文がJournal of Political Economyにアクセプトされたが、それをPiketty, Saez, and Zucman(PSZ)が12月13日付けで改めて批判している。そのPSZの批判に対し、Auten=Splinter(AS)はタイラー・コーエンに反論を寄稿し、それをコーエンがMRブログに掲載している。 ASの反論は3点から成り立っており、その概要は以下の通り(第一点は12/3エントリで紹介した話の再説ないし詳説となっている)。 監

                                          ピケティらが陥った所得データの陥穽?・続き - himaginary’s diary
                                        • ピケティらが陥った所得データの陥穽? - himaginary’s diary

                                          こちらのツイート経由で、3年前に紹介したEmmanuel Saez=Gabriel Zucman論文で反論の対象の一つとなっていたGerald Auten(米財務省)=David Splinter(米議会税制合同委員会)の論文「Top 1 Percent Income Shares: Comparing Estimates Using Tax Data」が、「Income Inequality in the United States: Using Tax Data to Measure Long-Term Trends」と改題されてJournal of Political Economyにアクセプトされたことを知った。また、Saez=ZucmanのNBER論文のサイトを再訪して、SplinterによるSaez=Zucmanへの再反論論文「Reply: Trends in US Incom

                                            ピケティらが陥った所得データの陥穽? - himaginary’s diary
                                          • 【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐

                                            リベラル知識人はなぜ「バラモン左翼」と呼ばれるか 東浩紀は、『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)や『訂正する力』(朝日新書)などの最近の著作のなかで、次のようなカズオ・イシグロの言葉にたびたび言及している。 俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています。東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです。[★1] 東は、開放性を掲げるリベラル知識人が、実は同じ心情や生活習慣を持つ人々の中で閉じたサークルを作っている、という実態を批判する文脈でこの発言に触れている。確かにそれも重要な視点だろう。そのうえで、ここではイシグロがそれに続けて語った内容により注意を向けたい。 私は最近妻とよく、地域を超える「横の旅行」ではなく、同じ通りに住んでいる人がどう

                                              【書評】労農派ピケティは「バラモン左翼」を乗りこえられるか──トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』評|梶谷懐
                                            1