「NHK100分de名著 西田幾多郎『善の研究』」若松英輔 NHK出版 2019 「善の研究」は図書館や古本屋でパラパラめくったことがあるだけで、まだ挑戦したことはない。本書を読んで、きっといつか読もうと思った。「絶対矛盾的自己同一」なんていう鍵語だけ頭にあって、こういうことが書いてある本だとはまったく知らなかった。若松さんの著書はたぶん4,5冊読んでゐる。いつも感動する。 以下は、西田がモーツァルトを論じたくだりを引用した直後の文章。大切。 美しいものにふれることと、大いなるものを信じることとは同質の経験である。美の経験とは、美を通じて人間を超えるものにふれようとすることであるというのです。また西田は、「かかる直感は独り高尚なる芸術の場合のみではなく、すべて我々の熟練せる行動においても見る所の極めて普通の現象である」(同前)とも述べています。 (・・・) 西田の言葉が本当であれば、たとえ