<キャッシュレス化が進む世界にあって、現金の使用率がいまだに60%近く、それなのにドイツ経済にほとんど問題がない理由> ドイツ中部に位置する歴史豊かな都市、ワイマール。文豪ゲーテが暮らした邸宅に程近い「カフェ・ラバッツァ」は、過去に生き続けることを決めているらしい。この店では、現金による支払いしか受け付けていない。 古くさくて不便な支払い方法にも思えるが、ドイツでは今も現金が愛され続けている。ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行の最新の調査によると、ドイツ人はモノとサービスの購入の60%近くを現金で行っている。 この状況は世界の潮流に反するように見える。イギリスでは、向こう10年以内に現金による支払いの割合は6%まで減る見通しだ。オランダでは昨年のデータによると、店頭での支払いに占める現金の割合が11%にすぎなかった。 ヨーロッパだけではない。中国では、店頭での支払いのうち現金によるものは