宇宙の創成直後に、非常に高い真空のエネルギーにより宇宙が急激な加速膨張していた時期(インフレーション)を経てビッグバンが起こったと考えられています。この理論は、宇宙の観測を通じて原始宇宙の密度の濃淡(原始密度揺らぎ)を調べる研究によって検証されてきました。しかし、具体的に何が急激な加速膨張を引き起こした駆動源だったのかその全体像はまだ分かっていません。加速膨張宇宙を説明する多くの理論(インフレーション模型)が提案されており、各模型の理論的な予言と最新の観測を比較することによってどの模型が正しいか検証することができます。 田中貴浩 理学研究科教授と浦川優子 高エネルギー加速器機構准教授(兼:名古屋大学特任准教授)の共同研究グループは、宇宙をモザイクアートのように粗視化して捉え直す「分割宇宙アプローチ」を応用し、原始重力波の数値計算を大幅に簡単化しました。これにより、複雑な数値計算が必要なため
(CNN) 犬は特定の言葉が特定の物を指すことを理解できるとの研究結果が発表された。そうだとすると、犬は人間と同じように言葉を理解している可能性がある。 この研究を行った研究者らは、研究結果について、人間以外の動物の中で言葉を理解するための脳活動が行われていることを示す初の証拠を提示するものだと主張するが、この分野の他の専門家からは、そう結論付けるにはさらなる検討が必要との指摘を受けている。 犬が「座れ」「待て」「取ってきて」といった指示を覚え、それらの言葉に教えられた行動で反応できることは以前から知られているが、犬が名詞をどの程度理解しているのかを解明するのは容易ではない。 そこで、同研究論文の主執筆者であるノルウェーのスタバンゲル大学の准教授で、ハンガリーのエトベシュ・ロラーンド大学の研究者でもあるリラ・マジャリ氏と、同じくエトベシュ・ロラーンド大学の研究者のマリアンナ・ボロシュ氏は、
男性痛覚受容体と女性痛覚受容体がそれぞれ存在している今回の研究が画期的な点として、プロラクチンとオレキシンBという2種類の物質が使用されたことがあげられます。 古くは、プロラクチンは授乳と乳房組織の発達に関連したホルモンで、オレキシンBは覚醒をうながす神経伝達物質であるとされてきました。 しかし近年の研究により、これら2種類の物質は考えられていたよりも遥かに多くの機能を持つことが明らかになってきました。 調査にあたってはマウス、サル、そしてヒトの脊髄神経が男女別に用意され、反応の閾値をさげる物質が加えられました。 これにより細胞はわずかな刺激でも反応しやすくなります。 研究者たちはこの状態でプロラクチンとオレキシンBを注いでみました。 すると驚くべきことに、人間でも動物でも、プロラクチンは女性細胞のみに感作(かんさ:刺激の繰り返しで反応が増大すること)を起こし、男性細胞には感作しないことが
Published 2024/06/11 00:09 (JST) Updated 2024/06/11 00:25 (JST) 【ワシントン共同】野生のアフリカゾウは互いを名前で呼び合っているとする研究を、米コロラド州立大などのチームが10日、英科学誌ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューションに発表した。イルカやオウムが相手の鳴き声をまねして呼びかけるのに対し、ゾウは鳴き声のまねではなく、仲間のそれぞれに異なる音を割り当て、集団の中で共有しているらしい。 ゾウは家族や親族などの集団に属し、年齢・性別といった自分に関する情報や感情を声でやりとりするおしゃべりな動物。複雑な社会関係を生きる上で、各メンバーに名前を付ける必要があったとチームはみている。 今回の研究では、40年近くにわたりケニアの国立公園などで収集された「ランブル音」という低い鳴き声を利用した。遠くにいて姿の見えない相手に呼
イベリア半島沖で暮らすシャチ(写真はポルトガル沖で撮影された個体)は現在40頭未満で、IUCNは近絶滅種(Critically Endangered)に指定している。(Photograph by Cape Cruiser Sagres) ヨーロッパ南西部のイベリア半島沖には、小型船を沈没させる有名なシャチたちがいる。沈没事故はつい数週間前にも起こった。2020年に始まったシャチたちのこの不可思議な行動について、遊び、人間への復讐などさまざまな理由が推測されたが、専門家たちがようやく結論に達した。(参考記事:「シャチの船への集団攻撃が多発、沈没も、ケガの仕返し? 遊び?」) 国際捕鯨委員会(IWC)が5月24日付けで発表した最新の報告書によると、船にぶつかってくる15頭ほどのシャチの群れは、いたずら盛りの「ティーンエイジャー」たちのようだという。 研究者たちが、狩りなどで攻撃的な行動をとるシ
ボルバキアは65%以上の昆虫種に感染している共生細菌です。宿主のさまざまな器官に感染しますが、卵巣にはほぼ確実に存在しています。ミトコンドリアのように母から子に伝わる性質を持つため、ボルバキアが次世代に子孫を伝えるためにはメスに感染しなければなりません。 研究が進むにつれ、ボルバキアは宿主の昆虫種によって異なる4種類の性・生殖操作を行って、自己の繁殖が有利になるようにしていることがわかりました。 ボルバキアが行う宿主の性・生殖操作は、次の通りです。 この細菌は1924年にアカイエカから発見され、1936年に Wolbachia pipientis(ボルバキア・ピピエンティス)と命名されました。しかし、その後数十年間は、ほとんど注目されませんでした。 ボルバキアが再注目されるのは、1971年にアカイエカにおいて、ボルバキアによる「細胞質不和合」が観察されたことがきっかけです。 これは、ボルバ
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 代謝システム研究チームの多部田 弘光 基礎科学特別研究員、平井 優美 チームリーダー(名古屋大学 大学院生命農学研究科 客員教授)の研究チームは、植物に含まれる非タンパク性アミノ酸の一種である2-アミノピメリン酸が発根作用を持つことを発見しました。この機能性アミノ酸を与えることで、幅広い双子葉植物における発根の促進やバイオマス収量の増加が期待できます。 植物の成長や環境応答の制御は、収量増加を目指した汎用性が高い農業戦略であり、以前から盛んに研究が進められてきました。近年では、植物への添加によって乾燥耐性を強化したり、収量を増加させたりすることができるバイオスティミュラント[1]を活用する農業技術が注目を集めています。 本研究では、添加実験をベースにした表現型解析の結果から、2-アミノピメリン酸が双子葉植物の根系[2]の形態変化に関与する機能性
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2024年6月13日、星間空間を航行中のボイジャー1号について、通常の科学運用に戻ったと発表しました。 ボイジャー1号は、2023年11月に不具合が発生し、意味のあるデータが送信されない状態に陥りました。調査の結果、探査機に搭載されている3つのコンピューターのうちの1つ、フライトデータシステム(FDS)内のメモリの一部が破損していることが判明。失われたコードを分割してFDSメモリの別の場所に再配置することで、探査機の健康状態などを含む工学データの送信が4月中旬に再開していました。 ボイジャー1号に搭載されている科学機器のうち、現在は宇宙線サブシステム(CRS)、低エネルギー荷電粒子計測装置(LECP)、磁力計(MAG)、プラズマ波サブシステム(PWS)という4つの機器が稼働しています。これらのうち、PWSとMAGについては、5月中旬に科学データの送信が再開し
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