「ウーッ、流石に暑い。幌付き、屋根付きじゃなかったら、干からびてるところね。それにこのブルカ、日焼けしなくて済むし、意外に涼しいのね」 「はい。生活の知恵だと実感できますね」 シズと車上で呑気に話しているが、今はナジュド王国を南下中。それまでに、バーレーンでほぼ島ごと油田なのを感じ取って、そこで一泊。 ただし船の上での一泊となって、数年後にはサウジアラビアと名を改めるヒジャーズ・ナジュド王国へそのまま乗り付ける。 けど、私が指を向けた先は何もない場所なので、クウェートや島ごとが一つの国のような状態のバーレーンと違い、小舟に乗り換えて上陸した小さな桟橋に現地の人の出迎えはない。 出迎えるのは私達がバーレーンに居る間に先に到着していた、日米英の合同調査団の皆さんだけ。サウド家の人はいない。そして全員が、なんでこんな何もない場所に、と言う雰囲気を地味に漂わせている。 しかし私が目指す先は、今回は