分署に戻った島津は、刑事課分室に入って目黒に問いかけた。 「室長、その後、進展は?」 目黒は手にしていた缶コーヒーをデスクに置いて向き直った。 「署長、申し訳ないのですが、未だ手掛かりが掴めません」 「そうですか。ですが、まだ猶予(ゆうよ)はありますから、焦りは禁物ですよ」 島津が労(ねぎら)いの言葉をかけると、目黒は恐縮して頭を下げた。 島津が二階へ上がろうとすると、甲山と草加が戻って来た。丁度目が合った甲山が島津に軽く会釈してから目黒に呼びかけた。草加も後に続く。 「室長、『ビッグウェーブ』の連中なんですがね、どうも最近バックに右翼が付いたらしいんですわ」 「右翼?」 訊き返す目黒に頷き、甲山が続けた。 「ええ、あいつ等のOBが所属してる団体らしいんですが、街宣車(がいせんしゃ)の周りを『ビッグウェーブ』のメンバーがバイクで囲んで守ってるのが目撃されてます」 「その右翼団体、名前は何と