2021年3月11日に生誕100周年を迎える“タンゴの改革者”と呼ばれ、作曲家でありバンドネオン奏者のアストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)。これを記念してベスト盤と7作品のレア盤の発売が決定しました(購入はこちら)。 そんなアストル・ピアソラについて、日本のピアソラ研究の第一人者であり、『ピアソラ自身を語る』(河出書房新社・2006年)の翻訳も担当した斎藤充正さんによる解説を掲載します。 <関連記事> ・アストル・ピアソラ生誕100周年記念:3月にベスト盤と7枚のレア盤が発売決定 ・手元に置くべきジャズの映画サントラTOP25 19世紀の終わり近く、南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの場末で、ギターやフルートやヴァイオリンが陽気に奏でるリズミカルな調べに乗せて、男女が身体を密着させて踊る世界初の文化が生まれた。タンゴの始まりである。激動の20世紀を迎える頃、船乗りがドイ