この連載ではこれまで、主に映像・放送技術のDX化についてフォーカスしてきたが、そもそもDXとは、人の働き方改革とセットの話である。今回はテレビ業界の働き方について、DXによる働き方改革は起こりうるのかを考えてみたい。 映像業界は数多くあるが、特にテレビ業界の過酷な労働は、「AD哀史」といった格好で多くの人に知られる事となった。そこでテレビ業界では、AD(アシスタントディレクター)という名称を廃止し、YD(ヤングディレクター)、LD(ラーニングディレクター)、ND(ネクストディレクター)といった名称に変更する動きになっている。 気持ちは分かる。筆者がテレビ業界のど真ん中で仕事をしていたのは1983年から2000年を少し過ぎたあたりぐらいまでだが、当時のADとはディレクターの見習いといった要素が強かった。LDやNDといった呼び方も、その当時の業界構造であれば理解できるところだ。 テレビ番組には