リコール騒動を巡ってトヨタ自動車に辛く当たってきた米国メディアの論調に変化が見られる。たとえば、ウォールストリートジャーナルは、米当局がトヨタに有利な情報を意図的に公表しなかった疑いがあると報じた。しかし、一度傷ついたイメージの回復が容易ではないことは、1980年代に同じ経験をしたアウディが証明済みだ。また、ニューヨーク州連邦地裁の連邦大陪審はハンドル部品の不具合問題に絡みトヨタに召喚状を送っており、刑事責任を追及される可能性は残されている。トヨタがリコール騒動を過去の出来事として振り返れる日はまだ遠い。(文/ジャーナリスト、ポール・アイゼンスタイン) トヨタにとっては、一歩前進、一歩後退といった状況のようだ。 同社は今、輝かしい過去の評判を汚した一連の安全性問題により自ら招いたダメージを克服しようと苦闘している。 昨年10月のいわゆる「予期せぬ加速」問題を端緒とする一連のリコールが始まっ