(ILLUST:PORSCHE) 一口にミッドシップと言っても、エンジンからファイナルドライブユニットに至るまでを車体のどこに、どのように配置・配列するかは、さまざまなパターンが存在する。その代表的な構成を垣間見るだけでも、市販ミッドシップ車設計の難しさが汲み取れるはずだ。 TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji) ILLUSTRATION:熊谷敏直 すべての写真を 見る ミッドシップ車設計における技術的課題のひとつが、パワーパッケージとドライブトレーンの構成である。レーシングマシンの場合は、レギュレーションと空力的要求との兼ね合いによって、その時々の最適構成は自然と導かれがちである。しかし市販車の場合、力学的・機械的な最適構成が、商品性の向上につながるとは限らない。そもそも「エンジンを車体中央近くに、なるべく低く搭載する」ことと、乗員の快適性ならびに実用性そのものが背反しがちである