「動機。あなたはほんとうに動機や原因や結果みたいなものを信じているの? 本や劇以外で、未解決の事柄がきちんと片付くと信じているの?」 ーーエリック・マコーマック『ミステリウム』 マコーマックは、物語を組み上げると同時に内側から解体しにかかる作家だと思う。 するすると物語が組み上がっていくように見えて、ずっと足元がひそかに掘り崩されている。やがて足元が崩れて、読者は予想しなかったところへ放り出される。 マコーマックに感染した物語は、王道の物語のふりをした「なにか」になる。 ミステリウム 作者: エリック・マコーマック,増田まもる 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2011/01/25 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 72回 この商品を含むブログ (39件) を見る 「ミステリー小説」にマコーマックが感染した小説が『ミステリウム』だ。 物語は、いかにもミステリーらしい展開