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六辻彰二の検索結果1 - 40 件 / 234件

  • 「とっとこハム太郎」はなぜタイで反政府デモのシンボルになったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

    タイでは言論弾圧や生活苦を背景に若者の反政府デモが広がっており、日本のアニメキャラクター「ハム太郎」がそのシンボルになっている反政府デモで日本のアニメが用いられることは、ハム太郎以外の作品でも、香港やアメリカなどでもみられるそこにはSNSなどで緩やかに結びついた現代の抗議デモが、求心力を高めると同時に「エライ大人たち」と自分たちを区別するためにアニメキャラを用いる様がうかがえる 日本アニメは製作者の意図を超え、各国で様々な影響を及ぼしている。タイでは愛嬌あるハムスターのキャラクターが抗議デモの先頭に立っている。 「大好きなのは納税者の血税」 タイでは事実上の軍事政権による言論弾圧やコロナによる生活苦を背景に、若者による抗議デモが広がっている。そのなかで脚光を浴びているのが、日本アニメ「とっとこハム太郎」だ。 デモ参加者はハム太郎のオープニング曲にある「大好きなのはヒマワリのタネ」という歌詞

      「とっとこハム太郎」はなぜタイで反政府デモのシンボルになったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
    • なぜ日本では「世の中への報復」がテロリストではなく通り魔を生むか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

      人生がうまくいかないと感じる者が世の中に報復しようとするとき、海外ではテロリストになることが多いが、日本では通り魔が生まれやすい多くの国と異なり、日本では破壊衝動にかられる者が吸い寄せられる場がほとんどないことが、この差を生む孤立した通り魔の犯罪を予測・警戒することは、テロ対策とは異なる難しさを抱えている 世の中に一方的に報復感情を抱く通り魔的な犯罪が多発するなか、個人や家族が孤立しやすい社会のあり方がフォーカスされやすいが、これは諸外国と異なり「なぜ日本ではテロが起こりにくいか」の裏返しでもある。 「社会への破壊衝動=通り魔」は多くない 5月28日に発生した川崎20人殺傷事件の衝撃が記憶に新しい間に発生した練馬での事件で、息子を殺害したとして逮捕された元農水省事務次官の熊澤容疑者は「息子が川崎の事件のようなことを引き起こすのではないかと危惧した」という趣旨の発言をしているという。 それほ

        なぜ日本では「世の中への報復」がテロリストではなく通り魔を生むか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
      • 本物のバニラアイスを滅多に食べられない理由――知られざるバニラ戦争(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

        バニラビーンズの取引価格は銀の価格より高くなっているその背景には世界的なオーガニックブームや中国などでの需要増加とともに、主な供給地マダガスカルでのハリケーン被害などがあるバニラ・ブームによってマダガスカルでは好景気に沸く一方、奪い合いが激化している 夏に向けてアイスクリームやソフトクリームの需要が伸びる時期だが、「本物のバニラ」を食べられることは減ってきた。原料のバニラビーンズがいまや高級品になっているからだ。 バニラ価格が500%上昇 現在、日本で市販されているバニラアイスには「合成香料」や「香料」が使われることが多く、天然のバニラの種子、バニラビーンズを主成分とする「バニラ香料」が成分表示に記されているのは圧倒的に少数派だ。「本物のバニラ」が出回らない最大の理由は、価格の高騰にある。 2014年頃まで、バニラビーンズは1キロ20ドル前後で取引されていたが、その後価格が上昇し続け、20

          本物のバニラアイスを滅多に食べられない理由――知られざるバニラ戦争(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
        • 加計学園問題に関する単純な疑問「日本では獣医師が不足しているのか?」:データでみる国際比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

          国会の閉会中審査でも議論の中心となった加計学園の問題。この問題はもともと、獣医師不足と規制改革の問題に端を発したものでした。 「特に地方で獣医師、とりわけ検疫などを行う公務員獣医師が不足しているのに、獣医師会の反対で何十年間も獣医学部の新設が実現しなかった。その規制改革のため、特区制度を活用し、獣医師が不足している地域の大学に獣医学部を創設する」という議論だったはずが、その手続きのなかで総理の旧知の友人の大学が(少なくとも結果的に)選ばれたことで、問題がこじれました。 安倍総理による「権力の私物化」があったのか、文科省官僚による忖度があったのか、といった証明のつけにくい問題は、ここでは置いておきます。むしろ重要なことは、総理をはじめ、獣医学部新設を進める立場の人々が展開する、「獣医師不足を解消するために、それを阻む『岩盤規制』の打破そのものに意義がある」という主張です。 確かに、地方、なか

            加計学園問題に関する単純な疑問「日本では獣医師が不足しているのか?」:データでみる国際比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
          • 右派でも左派でもないことの限界―イエローベストに揺れるフランス(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

            フランスのマクロン大統領はビジネス界向けの改革を推し進め、企業経営者からは高く評価されてきた。しかし、それ以外からは不満が相次ぎ、右派と左派の垣根を超えた大規模なデモ、イエローベスト運動を招いた。マクロン政権の窮地とイエローベストの台頭は、特定の勢力に偏りすぎた政治の危うさを物語る。 「右派でも左派でもない」と強調し、政治への信頼を回復すると叫んで2017年に就任したマクロン大統領は、3週間続けてパリで発生した数十万人規模のデモとその暴徒化によって窮地に立たされている。この背景にはビジネス志向の急速な経済改革への不満があり、これは結果的に右派と左派の連携を生んでいる。 「革命とデモの国」の動揺 「芸術と美食の国」であるフランスは「革命とデモの国」でもある。どちらも既成概念に囚われず、自らのセンスと意志で新たな境地を切り拓こうとする点で共通するが、11月半ばから毎週末発生してきた大規模デモは

              右派でも左派でもないことの限界―イエローベストに揺れるフランス(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
            • 反マスク、反ロックダウンの思想性――コロナ対策の拒否はなぜ生まれるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

              ロックダウンはもちろん、マスク着用にさえ抵抗する動きは世界中で広がっているが、とりわけ右翼によるものが目立つ右翼にはもともと現在の体制への不信感が強く、それによって私生活が拘束されることに拒絶反応が生まれやすいこれに拍車をかけているのが、右翼に典型的な「自分は他人ができないことをできる」という万能感の強さとみられる コロナ第二波、第三波が押し寄せるなか、マスク着用などをことさら嫌い、周囲とトラブルになる人は多かれ少なかれどの国にもいるが、本人がどこまで意識しているかはともかく、コロナ対策の拒否には右翼の思想性を見出せる。 コロナ対策に反対する人々 日本よりコロナ感染が拡大している各国では、ロックダウンなどより厳しい措置がとられているが、それに比例して抗議活動も活発化している。ロックダウンは生活に大きな影響を及ぼすため、様々な立場から批判は出やすいが、なかでも目立つのが右翼によるものだ。 こ

                反マスク、反ロックダウンの思想性――コロナ対策の拒否はなぜ生まれるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
              • 河野外相がみせたチャレンジ 日本のロヒンギャ危機対策を評価すべき5つの理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                1月13日、河野外相はミャンマーのラカイン州マウンドーを訪問し、現地のロヒンギャと面談。その前日12日、河野外相は同国の事実上の最高責任者アウン・サン・スー・チー氏とも会談しました。 スー・チー氏との会見で河野外相は、ロヒンギャ難民の帰還支援のために300万ドル、ラカイン州の人道状況の改善や開発のために2000万ドルを、それぞれ提供すると約束。その一方で、難民の帰還状況をモニターすることに合意したうえ、外国メディアや国際NGOのラカイン州への立ち入りを認めるようスー・チー氏に要請しました。 日頃、筆者は日本政府の外交政策に疑問を呈することが少なくなく、ロヒンギャ危機への対応についても批判的に論じてきました。しかし、今回の訪問と合意内容は、これまでの日本と比べるとかなりチャレンジングなもので、高く評価すべきと思います。そこには大きく五つの理由があげられます。 当事者たちとの関係 第一に、ミャ

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                • コロナに続くもう一つの危機――アフリカからのバッタ巨大群襲来(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                  東アフリカで大発生したバッタの大群が、海を越えて中東、さらに中国やインドに迫っている国連の食糧農業機関はその大発生の規模を「70年に一度」のものとも表現しているこれによって懸念される食糧不足は人道危機であるばかりか、新型コロナの影響を受ける日本のサプライチェーンをさらに揺さぶりかねない 新型コロナに揺れるアジア諸国にもう一つの危機が迫っている。アフリカから飛来し、各地で農産物を食い荒らしてきたバッタの大群が、中国西部にまで接近しているのだ。 コロナ蔓延に続くバッタ来襲 中国政府は3月1日、地方政府にバッタの来襲に備えるよう通達した。それに先立って、2月末から西隣のパキスタンにも、バッタの大群による農作物などへの蝗害(こうがい)を防ぐための専門家チームを派遣している。 パキスタンは中国の「一帯一路」構想にとって最重要拠点の一つだ。その意味で、この支援は不思議でない。 しかし、いうまでもなく中

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                  • 安倍首相の靖国参拝に関する海外メディアの報道と若干の考察 | とんぼの眼鏡でみた国際政治 - 国際政治学者・六辻彰二のブログ

                    一定期間更新がないため広告を表示しています

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                    • パリを覆う反差別デモと大暴動――フランス版BLMはなぜ生まれたか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                      フランスでは17歳のアラブ系の少年が警官に銃殺されたことをきっかけに、全土で抗議デモと暴動が拡大している。その背景には、警察の発砲による死者の多くがアラブ系や黒人であることへの不信感だけでなく、経済的不満もある。暴動と略奪のエスカレートは、反移民を掲げる極右をこれまで以上に活性化させるきっかけにもなりかねない。反差別デモが暴徒化 フランスでは大規模なデモが暴徒化し、30日までの3日間で600人以上が逮捕される事態に至った。 デモと暴動はパリをはじめ各地に広がり、自動車が放火されたり、商店のショーウィンドウが破壊されたりすることも増えている。そのためフランス警察は4万人を動員し、一部で催涙弾なども用いて鎮圧に当たっている。 エリザベス・ボルヌ首相は「あらゆる手段を用いる」と述べており、緊急事態宣言の発動も示唆した。 この騒乱の発端は6月27日、パリで17歳の少年ナヘル.M(未成年のため姓は発

                        パリを覆う反差別デモと大暴動――フランス版BLMはなぜ生まれたか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                      • コスパ最優先の「次世代の戦争」――実験場になったリビア内戦が示すもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                        埋蔵量でアフリカ大陸一の産油国であるリビアの内戦は、多くの国が介入する代理戦争の様相を呈している介入する外部の国は「自軍兵士の犠牲を減らしつつ戦果をあげる」という意味でコスパをあげるため、遠隔操作できるドローンと、戦死しても「戦死者」にカウントしなくてよい傭兵の利用を増やしているしかし、その結果、外部のスポンサーにとって介入のハードルが引き下がっていることで、リビア内戦は激化しつつある 国際的に注目されることの少ないリビア内戦は、次世代の戦場の実験場になっている。そこでは「自軍兵士の犠牲」というコストの削減が目立つが、それは結果的に戦闘をドロ沼化させてもいる。 「空爆誕生の地」の現在 現代の戦場で当たり前のように行われる空爆は、イタリア・トルコ戦争の最中の1911年にイタリア軍が北アフリカのリビアで初めて行ない、その後の第一次世界大戦などで急速に普及した。空爆は「自軍兵士の犠牲を減らしなが

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                        • ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                          ウクライナ政府は世界に向けて、ロシアと戦う「義勇兵」を募っているが、各国政府はこれに慎重な姿勢を崩さない。ウクライナには2014年以降、すでに「義勇兵」が数多く集まっていたが、戦争犯罪や人種差別といった問題が指摘されてきた。各国政府には、「義勇兵」として実戦経験を積んだ者が帰国した場合、自国にとって逆にリスクになるという懸念があるとみられる。 ウクライナ政府が「義勇兵」を呼びかけているのに対して、どの国の政府もうやむやの反応が目立つ。そこには「自国民の安全」という表向きの理由以外にも、「義勇兵」が逆に自国の安全を脅かしかねないことへの懸念がある。 「義勇兵」呼びかけへの警戒 ロシアによる侵攻に対抗して、ウクライナ政府は外国から「義勇兵」をリクルートしている。ゼレンスキー大統領は「これは…民主主義に対する、基本的人権に対する…戦争の始まりである…世界を守るために戦おうという者は、誰でもウクラ

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                          • イスラーム国による日本人人質事件に関する「自己責任論」と「首相責任論」の狭間(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                            1月20日、イスラーム国による日本人の人質事件が発覚しました。2人の日本人の解放に2億ドルという法外な条件を課してきたイスラーム国は、これによって世界各国の関心を引きつけました。恐らく彼らの最大の目的は、戦闘員や共感者、協力者のリクルートのための宣伝にあるとみられますが、この目的はある程度成功したといえます。 この文章を書いている時点で、既に期限の72時間は過ぎましたが、今のところ次のアクションは発生していません。日本政府はイスラーム国と接触し、引き伸ばしを要請しているとも伝えられています。一方、世界一の産油国で、メッカとメディナという二聖地を擁する「イスラーム圏の盟主」サウジアラビアのアブドゥラ国王の死去が23日に発表されました。これにより、イスラーム圏、アラブ圏の関心がそちらにしばらく集中するだろうことも、想像に難くありません。その状況はイスラーム国にとってスポットが当たりにくいことを

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                            • タブーを破った王室批判――タイを揺るがす「Z世代の反乱」とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                              タイの反政府デモはタブーとされてきた王室批判も公然と行っているただし、デモ隊にとって最終的な標的は、国王を担いだ現在の体制の中心にあるプラユット首相にあるとみられるそこには復古主義的な愛国教育や政官財が癒着した古典的な開発独裁に対する若者の反感と閉塞感を見て取れる 東南アジアのタイでは、全てを握る年長者に「押し潰される」という若者の危機感によって反政府デモが広がっている。 「ドイツの天気はいかがですか」 タイでは4月頃から大学生を中心に反政府デモが続き、言論の自由のほか、議会の解散や憲法の改正も要求している。なかでも注目されるのが王室改革が公然と要求されていることだ。 タイでは王室への侮辱や批判を禁じる不敬罪がある。いまでも不敬罪がある国は少なくないが、タイのそれは特に厳しく、2015年には当時のプミポン国王(ラーマ9世)の飼い犬をSNSで揶揄した男性に37年の禁固刑が科されている。 ネッ

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                              • スリランカは「右傾化する世界の縮図」―ヘイトスピーチ規制の遅れが招いた非常事態宣言(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                人種・宗派に基づく差別に基づく、ヘイトスピーチや「右翼テロ」は、いまや先進国だけでなく開発途上国でもみられます。これは不満や憎悪の噴出であると同時に、社会をさらに混乱させる原動力にもなります。 インド洋にうかぶスリランカでは、3月6日に政府が非常事態を宣言。同国では少数派ムスリムへの嫌がらせや襲撃を、当局がともすれば放置しがちであったことが、大規模な反ムスリム暴動とそれに続く非常事態宣言に行き着きました。いわば、スリランカはヘイトスピーチを積極的に取り締まらなかったツケに直面しているといえます。 非常事態宣言への道 スリランカは人口約2100万人。その約70パーセントを占めるシンハラ人の多くは仏教徒です。今回の非常事態宣言のきっかけとなったのは、少数派ムーア人(約9パーセント)などのムスリムに対するシンハラ人の暴動でした。 3月6日、中部州の複数の町で、ムスリムが多い地域を数百人のシンハラ

                                  スリランカは「右傾化する世界の縮図」―ヘイトスピーチ規制の遅れが招いた非常事態宣言(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                • カカオ価格が1年間で3倍以上に――“カカオショック”が長期化するとみられる理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                  カカオ豆の国際価格は急激に上昇していて、今後チョコレート価格もこれに引っ張られる公算が高い。カカオ豆の主要産地である西アフリカでは、地球温暖化による異常気象をきっかけに生産量が減少している。さらに生産者にとって利益の上がりにくい構造や投資家による過度な資金投入もあり、カカオ価格の高騰は長期化する見込みが大きい。 チョコレートの主原料カカオ豆の歴史的高騰はスイーツ好きにとっての悲報であるだけでなく、世界の変動の一つの象徴でもある。 やってきたカカオショック 世界各地でインフレはなかなか収まらないが、そのなかでもカカオ豆は多くの商品を上回るペースで値上がりしている。例えば米NASDAQ(CJ:MNX)では4月1日、終値が1万ドルの大台を突破して1トンあたり10,120ドルを記録した。 これは約1年前の2023年3月31日(2,933ドル)と比べると3倍以上で、カカオショックとでも呼ぶべき急激な

                                    カカオ価格が1年間で3倍以上に――“カカオショック”が長期化するとみられる理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                  • なぜロシアは‘デスノート’や‘異世界アニメ’を禁止するか――強権支配が恐れるもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                    ハリウッド版「デスノート」プレミア試写会入り口のカーペット(2017.8.17)(写真:Shutterstock/アフロ) ロシアは日本アニメを最も規制している国の一つで、とりわけ異形の者や異世界を扱う作品が規制されやすい。その最大の理由は、「目に見えない世界」に多くの人が惹きつけられることが、プーチン政権にとって大きな脅威になるからとみられる。これまでの歴史を振り返ると、「目に見えない世界」を認めない強権的な権力者は、やがて行き詰まりやすい。 ウクライナ侵攻で世界の注目を集めたロシアは、この数年、日本アニメを最も規制している国の一つでもある。とりわけ異形の者や異世界を扱う作品ほど禁じられやすいが、これは強権的なプーチン政権にとって大きな脅威となりかねないからとみられる。 「デスノート」規制の背景 日本の漫画やアニメは世界中に普及しており、ロシアもその例外ではない。昨年11月、コロナ下でも

                                      なぜロシアは‘デスノート’や‘異世界アニメ’を禁止するか――強権支配が恐れるもの(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                    • ルワンダ大虐殺から20年-「人道」が持ちがちな危険性について(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                      4月7日、1994年に約80万人の犠牲者を出したルワンダ大虐殺から、20年の節目を迎えました。ルワンダでは政府主催の追悼式典が開かれましたが、この式典をめぐって、ルワンダとフランスの外交関係は、これまでになく悪化しています。 6日、ルワンダ政府がフランスに対して、大虐殺にフランス政府が加担したことを認めるように求めたのに対して、フランスがこれを拒んだのです。フランス政府はトビラ法相の出席を取りやめ、駐ルワンダ大使を出席させる方針を決定(事実上の格下げ)。これに対して、ルワンダ政府は駐ルワンダ・フランス大使の式典出席を禁止しました。 外交的な応酬が続いていますが、この問題は「人道」を掲げた活動がもちがちな危険性を再認識させると同時に、近代以降「声なき者」と扱われがちだったアフリカが、まさに「声をあげ始めつつある」ことを象徴します。 ルワンダ大虐殺の背景もともと、ルワンダは19世紀にドイツの植

                                        ルワンダ大虐殺から20年-「人道」が持ちがちな危険性について(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                      • スー・チー拘束でも国際社会がミャンマー政変を「クーデタ」と認めたくない理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                        各国にはミャンマーのクーデタを「クーデタ」と認めたくない事情がある制裁がミャンマーを中国側に押しやることになるからだしかし、事実上の軍事政権のもとで少数民族の迫害がエスカレートする公算は高い スー・チーらミャンマー政府要人が相次いで軍に拘束されたが、各国がこれを「クーデタ」と認めることにはハードルが高い。そこには中国の影がある。 民主化の逆流 2月1日早朝、ミャンマーの事実上の最高責任者アウン・サン・スー・チーら政府要人が軍によって拘束された。首都ネピドー周辺では電話、インターネット回線も遮断されていると報じられている。 軍は以前から、クーデタに向かう可能性を示唆していた。その理由は、昨年11月の総選挙でスー・チー率いる国民民主同盟(NLD)が、上院224議席中135議席、下院440議席中255議席を獲得し、この圧倒的な勝利によって単独政権を発足できるようになったことだった。 ミャンマーで

                                          スー・チー拘束でも国際社会がミャンマー政変を「クーデタ」と認めたくない理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                        • 「一世帯に30万円給付」は高いか安いか――海外のコロナ補償との比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                          政府・自民党はコロナで経済的に苦しくなった世帯に30万円を給付する方針を固めた海外との比較でみると、この金額は直接給付としては決して安くないが、給付対象はかなり絞られているそのうえ、「一世帯30万円」以外の救済措置でみると、日本は諸外国より大きく出遅れている 政府が打ち出した「一世帯に30万円給付」は、海外と比べて決して安くない。ただし、それは「家計への直接的な支援に限れば」であって、コロナで生活が悪化した人へのトータルの支援で日本は大きく出遅れている。 直接給付をしている国は多くない アベノマスクの余韻が冷めやらなかった4月3日、安倍総理は自民党の岸田政調会長と「コロナで悪影響を受けた一世帯あたり30万円を給付すること」に基本的に合意した。 この金額は世界的にみて高いのか、安いのか? これに関して、主な国と比較してみよう。 以下はコロナ蔓延が特に目立つアメリカ、イタリア、スペイン、ドイツ

                                            「一世帯に30万円給付」は高いか安いか――海外のコロナ補償との比較(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                          • アボカドは「悪魔の果実」か?――ブームがもたらす環境破壊と難民危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                            アボカド栽培には大量の水が必要になるため、消費が世界的に増えるなか生産地では水不足が深刻化し、健康被害も出ている。また、アボカドは熱帯の国で栽培されることが多いため、輸送段階で排出されるCO2が全体的に高く、アボカド・ブームは地球温暖化対策にも逆行する。豊かな国のライフスタイルによる影響は、アボカド生産国における暴力の増加にも及んでいる。 その栄養価の高さから、アボカドは日本でも急速に普及している。しかし、その生産・流通は他の多くの農作物と比べても環境への負荷が大きく、さらに中南米での難民危機にも影響を及ぼしている。 「グリーンゴールド」は持続可能か アボカドは10種類以上のビタミンを含む一方、果肉の約20%が脂肪にあたり、「森のバター」とも呼ばれる。その豊富な栄養価から日本でも消費が伸びており、主にメキシコから年間約2万トンが輸入されている。これは10年前の4倍以上にのぼる。 アボカドが

                                              アボカドは「悪魔の果実」か?――ブームがもたらす環境破壊と難民危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                            • トランプ政権を支える陰謀論「QAnon」とは何か | 六辻彰二 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

                                              自分の野球帽と赤ん坊のシャツに「QAnon」のロゴを描いたトランプ支持者(8月3日、ペンシルベニア州ウィルクスバリで行われたトランプの集会) Leah Millis-REUTERS <アメリカに新たな陰謀論が生まれた。陰謀説を説くのは、匿名のネット投稿者「Q」。Qと支持者の勢力は「QAnon(Qアノン)」。ひょっとすると11月の中間選挙をも左右しかねない> 「月面着陸はなかった」「ユダヤ人が世界を陰で操っている」など、数々のデマをまことしやかに拡散してきたアメリカの陰謀論の歴史に今、新たな一章が加わろうとしている。 「Q」と名乗る匿名の書き手によるネット投稿が、中間選挙に向けてトランプ支持者の熱狂的支持を集め始めている。8月1日にフロリダ州で行われたトランプ氏の支持者集会のTV中継では、「我々はQだ(We are Q)」と書いたボードも映し出された。 Qの主張はトランプ支持だが、それととも

                                                トランプ政権を支える陰謀論「QAnon」とは何か | 六辻彰二 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
                                              • ガーナは「チョコレートの国」か? チョコレートにみる「矛盾との向き合い方」(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                日本では一般的に、アフリカの国は、その国名すらほとんど知られていないことが珍しくありません。そのなかで、「ガーナ」は例外的に、少なくとも国名に関しては、知名度のある国の一つです。その「功績」が、あの製菓メーカーの商品名にあることは言うまでもなく、バレンタインが近づくにつれ、あちこちの広告でその名を目にする機会が増えます。 しかし、アフリカ研究を専攻し、ガーナを題材に博士論文を書いた身からすると、ガーナが「チョコレートの国」としてのみ認知されていることには、やや複雑な思いがあります。現在、ガーナの最大の輸出品は原油で、カカオ豆ではありません。そのうえ、ガーナは確かに世界第二のカカオ豆生産国ですが、現地ではチョコレートもココアもあまり消費されていません。 そのスウィートさと裏腹に、チョコレートにはビターな影がつきまといます。それは誕生から現在に至るまで、形を変えながらも一貫しているといえます。

                                                  ガーナは「チョコレートの国」か? チョコレートにみる「矛盾との向き合い方」(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                • インドの闇を象徴する世界一の彫像―日本メディアに問われるもの(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                                  インドで完成した高さ世界一の彫像は、インドの経済成長だけでなく、少数派であるムスリムの迫害をも象徴する。しかし、日本メディアはこれをほとんど報じておらず、そこには政府や経済界への忖度がうかがわれる。独立した言論の府としての責任をメディアが果たさなければ、「知りたいように知る」風潮を後押しすることにもなる。 「世界一の…」と冠がつくものは一般的にメディアでよく取り上げられるが、10月末にインドでお披露目された高さ世界一の彫像に関しては話が別で、日本メディアでその完成を伝えたのは、いくつかの海外メディアの日本語版を除けば一部にとどまった。この彫像の建立は少数派の迫害と表裏一体といういわくがあり、インドの暗部を浮き彫りにするが、それと同時に日本メディアの課題をもあぶり出している。 高さ世界一の彫像とは まず、世界一の彫像とはどんなものか。 これは「統一の像」と名づけられた、独立の指導者の一人ヴァ

                                                    インドの闇を象徴する世界一の彫像―日本メディアに問われるもの(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース
                                                  • 国連安保理は南スーダンPKO増派をなぜ早々に決定したか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                    国連南スーダン派遣団の増派12月24日、国連の潘基文事務総長は、南スーダンへのPKO部隊の増派を安保理に勧告しました。これを受けて、安保理は同日、軍事要員約7000人、警察要員900人、事務要員2000人からなる国連南スーダン派遣団(UNMISS)に、新たに軍事要員5500人、警察要員423人を増派することを決定しました。 南スーダンでの戦闘では、既に数千人が死亡したとみられています。AFPの報道によると、キール大統領を支持するディンカ人兵士が、敵対するマシャール前副大統領と同じヌエル人市民を無差別に殺傷する事態も発生しています。 アフリカでのエスニック対立に基づく殺戮というと、思い出されるのは1994年のルワンダ大虐殺です。ルワンダ内戦が激化した1993年8月、ルワンダ政府とゲリラ組織・ルワンダ愛国戦線(PRF)のアルーシャ合意にともない、国連安保理での決議に基づき、同年11月から250

                                                      国連安保理は南スーダンPKO増派をなぜ早々に決定したか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                    • ミャンマー騒乱を深刻化させた4つの理由――忍びよる内戦の危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                      ミャンマーで広がる抗議デモとそれに対する鎮圧は、民主化後の最悪レベルに達している。悪化する情勢は、ミャンマーが抱えるいくつもの問題が表面化した結果といえる。この状況を打開する公算が最も大きいのは、これまで抑圧されてきた少数民族の動向である。 なぜここまで状況が悪化したか ミャンマーでの抗議デモと治安部隊との衝突は、3月26日までに320人以上の死者を出すなど、泥沼の様相を呈している。 今回の騒乱のきっかけになった2月1日のクーデタで、国軍の最高責任者ミン・アウン・フライン将軍は、昨年11月に行われた総選挙が不正に満ちたものだったと主張し、スー・チーら政府要人の逮捕を正当化した。 なぜミャンマー国軍は、ほとんどイチャモンのような主張を掲げてまでクーデタに踏み切り、さらに反対を強硬に押さえ込もうとするのか。そして、クーデタに不満があったとしても、なぜ多くの犠牲者を出しながらも抗議デモがここまで

                                                        ミャンマー騒乱を深刻化させた4つの理由――忍びよる内戦の危機(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                      • ウィズコロナ時代のGo toキャンペーン――海外に成功事例はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                        コロナでダメージを受けた観光業を振興するため、日本以外でも国内観光キャンペーンが展開される国は少なくないしかし、それ以前にコロナの抑え込みに成功していた国以外では、観光の振興以前にロックダウンの再開といった弊害も生まれているそのなかでヒントになるのは、国全体では観光業を振興しながらも、一部地域を例外とするオーストラリアのやり方である 日本政府はGo to キャンペーンに前のめりだが、ウィズコロナのもとで観光業の再開に成功したといえる国は、これまでのところ多くない。 観光再開に向けた動き 東京都は7月15日、コロナ感染状況に関する警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。 この状況で政府、国土交通省が22日からの実施を目指すGo toトラベルキャンペーンに、疑問や批判が噴出することは不思議ではない。 実際、ウィズコロナの状況下での観光振興に関して海外の事

                                                          ウィズコロナ時代のGo toキャンペーン――海外に成功事例はあるか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                        • 「中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い――バイデンの戦略とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                          トランプ外交には派手さと剛腕ぶりがあったが、そうであるがゆえに穴も大きかったとりわけ、アメリカが突出して中国と対決したことは、結果的に中国の行動範囲を広げることになったバイデンはこうした穴を埋める形で、国際的な中国包囲網を形成していくとみられる トランプ退場で世界がリセットされるわけではない。トランプ政権のもとで激化した米中対立は、形を変えてバイデンに引き継がれる。 トランプ外交の穴とは アメリカ大統領選挙でバイデン当選が確実になった。本稿執筆段階ではトランプ氏は敗北を認めておらず、法定闘争も始まっている。しかし、トランプ陣営には「選挙の不正」を立証する責任があるが、必要な証拠を揃えられるかは疑わしい。 トランプ退場は世界に大きなインパクトを与えるが、なかでも重大なのが米中対立だ。トランプ支持者からは「中国に対抗できるのはトランプだけ」という声が聞こえてきそうだが、「敵か味方か」を鮮明にす

                                                            「中国に対抗できるのはトランプだけ」の勘違い――バイデンの戦略とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                          • 欧米のアジア系ヘイトを外交に利用する中国――「人権」をめぐる宣伝戦(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                            アメリカとの対立を背景に、中国の英字メディアはアメリカの人権問題を盛んに報じている。中国メディアが強調するアメリカの「二枚舌」は、途上国で響きやすい内容を含んでいる。バイデン政権にとってアジア系ヘイトの取り締まりは、国内問題であると同時に外交問題でもある。 欧米で広がるアジア系へのヘイトクライムは、人権問題をめぐって欧米と対立する中国にとって格好の外交手段になっており、その宣伝戦の主戦場は欧米の二枚舌に直面してきた途上国である。 人権を語る中国メディア 中国の英字メディアはこのところ、欧米でのアジア系ヘイトのニュースにいそがしい。 【参考記事】日本人がヘイト被害にあうリスク--データにみる他のアジア系との比較 代表的な英字メディア、グローバル・タイムズは3月17日、その論説で「アジア系に対するヘイトにアメリカ社会はなぜ冷淡か」と問いかけ、アメリカに根深い白人至上主義の歴史を告発した。 中国

                                                              欧米のアジア系ヘイトを外交に利用する中国――「人権」をめぐる宣伝戦(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                            • 入管法改正案の最大の問題は「事実上の移民政策であること」ではなく、政府がそれを認めないことである(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                              11月2日、政府は出入国管理法の改正案を閣議決定し、条件によっては永住権の取得に道を開く外国人の単純労働者の受け入れを認めたが、今回の決定の最大の問題は事実上移民の受け入れに舵を切ったことではなく、「労働力の受け入れであり移民政策ではない」とタテマエで実態を覆い隠そうとする政府の姿勢そのものにある。 「移民政策ではない」 今回の入管法改正に関して安倍首相は「深刻な人手不足に対応するため、即戦力を期限付きで受け入れる」と重要性を強調しているが、野党から「そもそも人手不足がどの程度あるのか不明確」、「人数の上限が定められていない」といった批判が出ているだけでなく、自民党や保守派からも批判が噴出している。後者の批判は主に「事実上の移民政策ではないか」に集中している。 これに対して、首相は「いわゆる移民政策ではない」と力説しているが、今回の決定が外国人定住者を増やす方針に転じたものであることは間違

                                                                入管法改正案の最大の問題は「事実上の移民政策であること」ではなく、政府がそれを認めないことである(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                              • 世界の流れに逆行する日本―なぜいま水道民営化か(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                                                臨時国会では水道事業に民間企業の参入を可能にする水道法改正案が成立する見込みだが、これは一旦民営化されたものが再び公営化される世界の潮流に逆行する。さらに、浜松市では今年度から既にフランス企業が下水道の運営を担っており、厚生労働省はこれを事実上のモデルケースと位置づけている。しかし、浜松市でのそれはいまだ「テストケース」であることから、これで一気に水道法改正に持っていくのは勇み足以外の何物でもない。 臨時国会は外国人労働者の受け入れや日米通商交渉など重要テーマが目白押しだが、そのなかで政府が成立を目指す水道法改正案は埋もれた感が強い。水道事業に民間企業の参入を認める政府の方針は、世界の流れに完全に逆行するだけでなく、先行事例の検討も不十分な見切り発車と言わざるを得ない。 水道の「民営化」とは まず、政府が目指す水道法改正案の内容についてみていこう。 現状では多くの自治体で料金徴収など一部の

                                                                  世界の流れに逆行する日本―なぜいま水道民営化か(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース
                                                                • 男子マラソン銀メダリストの抗議:エチオピア政府による弾圧とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                  リオデジャネイロ五輪の最終日、古代オリンピックのもととなった競技の一つで、近代五輪では毎回最後に行われるマラソンで、それは起こりました。8月21日、男子マラソンで銀メダルを獲得したエチオピアのフェイサ・リレサ選手が、ゴールインの際に頭上で腕を交差させました。これは出身国エチオピアの政府が国民の政治活動を弾圧していることへの抗議の意思を示したもので、リレサ選手自身はそれによって自らの生命も危険かもしれないと語っています。 エチオピアでは、主に同国北部のオロモ州と北西部のアムハラ州で、昨年11月頃から政府に対する抗議デモと、これに対する鎮圧が繰り返されてきました。これらの抗議デモはお互いに結びついてはいないようですが、いずれにせよ国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、今年6月までにオロモ州だけで少なくとも400人が治安部隊によって殺害されています。 オリンピックは「平和の祭典」と称

                                                                    男子マラソン銀メダリストの抗議:エチオピア政府による弾圧とは(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                  • ニュージーランド大量殺人の衝撃―国境を越える白人右翼テロ(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                    ニュージーランドで発生したモスク襲撃事件は、白人至上主義者による右翼テロである右翼テロはアメリカを中心に増加しつつあるが、今回の事件はこれが各地に飛散し始めたことを示す実行犯として逮捕されたオーストラリア人は、オーストラリアよりテロ活動をしやすい土地としてニュージーランドを選んだとみられる ニュージーランドで発生したモスク襲撃事件は、世界各地に広がる白人右翼テロの脅威を改めて浮き彫りにした。この脅威はイスラーム過激派によるテロといくつかの点で共通する。 クライストチャーチの悲劇 平和な国と思われていたニュージーランドのクライストチャーチで3月15日、銃で武装した男にモスクが襲撃され、49人が死亡した。この数字は、ニュージーランド史上最悪の犠牲者である。 ニュージーランド当局は事件直後、ブラントン・タラント容疑者を実行犯として逮捕したが、その後で4人の男女も逮捕している。 ニュージーランド当

                                                                      ニュージーランド大量殺人の衝撃―国境を越える白人右翼テロ(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                    • 「日本は“外国人嫌悪”の国」――バイデン発言は何が妥当で、何が問題だったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                      バイデン大統領は日本を「外国人嫌悪の国」と呼び、中国やロシアと同列に扱った。この発言そのものは支持者向けの内輪のもので、移民系市民へのリップサービスを多分に含んだものだった。ただし、日本政府が移民政策に熱心でないこと自体は否定できないが、バイデンがxenophobiaという語を用いたことは無視できない。 移民系市民へのリップサービス バイデン大統領は5月1日、ワシントンでの演説で日本を「外国人嫌悪(xenophobic)の国」と呼んだ。 それによると、「なぜ中国経済は失速しているか?なぜ日本はトラブルを抱えているか?ロシアは?インドは?それは彼らが外国人嫌悪の国だからだ。彼らは移民を望んでいない」。 この発言は大統領選挙に向けての資金集めのため開かれた、アジア・太平洋系のアメリカ市民向けの集会で飛び出した。 今年11月の大統領選挙に向け、バイデンは支持率が伸び切らない状態にある。 だから出

                                                                        「日本は“外国人嫌悪”の国」――バイデン発言は何が妥当で、何が問題だったか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                      • トルコ軍機によるロシア軍機の撃墜―懸念されていた事態の発生は何をもたらすか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                        11月24日、トルコ政府は「シリアとの国境付近でトルコ領内を飛行していたロシア軍機を撃墜した」と発表しました。トルコ政府によると、事前の警告にもかかわらずロシア軍機が飛行を続けたため撃墜したといいます。 これに対して、ロシア政府は撃墜の事実を認めたものの、「飛行していたのはシリア領だった」と反論。ロシア軍によると、撃墜されたロシア軍機は、シリア領内に墜落したといいます。 トルコは国民のほとんどがムスリムですが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、安全保障上は西側の一国です。冷戦中、トルコにはソ連を念頭に置いた米軍のミサイルが配備されていました。したがって、その両国の間で発生した今回の事案は、両国間の緊張だけにとどまらない、大きな影響を及ぼす可能性をはらんでいます。 しかし、このような事態が発生する懸念は、以前からありました。それにもかかわらず、発生してしまった今回の事案は、どんな影響をも

                                                                          トルコ軍機によるロシア軍機の撃墜―懸念されていた事態の発生は何をもたらすか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                        • 「どこまでが英国か?」:北アイルランド騒乱の深淵(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                          ベルファストの騒乱日本のメディアではあまり取り上げられていませんが、昨年末以来、英国の北アイルランドでの騒乱が激しさを増しています。きっかけは、12月3日、首府ベルファストの市議会が常時行ってきた英国旗、ユニオン・ジャックの掲揚を、祝日など年間17日に限定すると決定したことでした。これに反発した、英国への帰属を主張する人たちが市議会入り口にバリケードを作ったり、議員の事務所を襲撃するなど抗議活動を過激化させ、警察との衝突に至っています。なかには火炎瓶を投げつけられた女性警官もおり、北アイルランド警察庁の発表によると、2012年12月だけで29名の警官が負傷しました。 その正式名称が「グレートブリテン島および北アイルランド連合王国」というように、英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドから成る、形式上それらの地域が共通の国王(女王)を戴く連合王国(United K

                                                                          • 「保育所落ちた」で動き始めても日本で「総活躍」が難しい理由―一つの比較政治学的雑感(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                            「保育所落ちた」が大きな注目を集めて約1ヵ月が経ちました。保育所の拡充は民主党政権時代から遡上に上りながらもほぼ放置されてきたといってよいテーマですが、SNS時代の世論の圧力は、腰の重い政府を動かし始めたようにみえます。 個人的には保育所の拡充にもろ手を挙げて賛成します。その一方で、保育所の拡充は、子育てや働き方といった領域にとどまらず、「世界や社会をどうみるか」という遠大なテーマの一端を示しています。それは、保育所の拡充を含めた出産・育児支援に加えて、社会保障や労働環境の整備といった広い意味での福祉国家のあり方をめぐって、「個人の生活や福利を充実させる役割を誰(どこ)に期待するか」という考え方の対立があるからです。 「個人の生活や福利」は誰が守るかかつて、どこの国や社会でも、高齢になったり、健康を害したり、あるいは何らかの事情で充分働くことができなくなったとき、または最低限の生活水準を維

                                                                              「保育所落ちた」で動き始めても日本で「総活躍」が難しい理由―一つの比較政治学的雑感(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                            • なぜいま中国向けODAを終了したか―日本政府にとっての一石二鳥(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                                                              中国を訪問し、李克強首相と握手する安倍総理(2018.10.25)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) 少なくとも政府レベルで日中関係が改善しつつあるこのタイミングで中国向けの政府開発援助(ODA)を終了させることは、中国に「思い知らせる」ことが目的ではなく、むしろ日本政府は国内の反中感情を満足させつつ、中国政府との協力を軌道に乗せる手段として、この決定に踏み切ったとみられる。 反中世論の満足 10月25日に訪中した安倍首相は、中国向けODAが「歴史的使命を終えた」として、終了する方針を打ち出した。首相訪中直前に明らかになったこの方針は、多くの日本人にとって「遅きに失した」ものかもしれないが、それでも「もはや日本よりGDPが大きく、これまでの経緯からしても、まして中国が軍拡を推し進めていることからも、援助しないのが当たり前」といった反応がネット上には目立ち、総じて肯定的に受け止められている

                                                                                なぜいま中国向けODAを終了したか―日本政府にとっての一石二鳥(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース
                                                                              • ‘恋人’アメリカを繋ぎ止めようとするイスラエル――パレスチナでの暴走(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                                アメリカ政府は基本的にイスラエルに甘いが、その行動によって足を引っ張られることもある。そのため、アメリカはしばしばイスラエルにブレーキをかけようとしてきた。しかし、それはかえってイスラエルに「見放される」不安を呼び、アメリカに手を離させないためにあえて暴走することが一つの外交手段として定着している。 パレスチナで暴走するイスラエルは、危機的な状況をあえて作り出してアメリカを動かそうとする傾向があり、この点でアメリカの同盟国でありながらも北朝鮮と大差ない行動パターンが目立つ。 静かなるアメリカ パレスチナでの衝突は5月15日までに145人以上の犠牲者を出しており、近年で最悪のレベルに近づいている。イスラエル軍は空爆の他、ガザ地区に地上部隊まで派遣している。 衝突の発端はイスラエルの裁判所が4月、東エルサレム周辺に入植したユダヤ人の権利を認め、居住していたパレスチナ人たちに退去を命じる判決を下

                                                                                  ‘恋人’アメリカを繋ぎ止めようとするイスラエル――パレスチナでの暴走(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース
                                                                                • 静かに広がる「右翼テロ」の脅威―イスラーム過激派と何が違うか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

                                                                                  国際ニュースでみない日はないほど、イスラーム過激派によるテロ活動はもはや日常になった感さえあります。しかし、欧米諸国ではここにきて新たな脅威が台頭しており、しかもそれは内側から沸き起こってくるものです。 2月27日、英国警察のテロ対策責任者だったマーク・ロウリー氏は「世界中がイスラーム主義者と右翼の過激主義とテロリズムという共通する課題に直面している。しかし、英国よりこれにうまく対応できている国はないと思う」と発言。英国のテロ対策が他国のそれより優れているかどうかはさておき、「白人右翼テロ」が新たな脅威として、欧米諸国で広がりつつあることは確かです。 米国での白人右翼テロ 白人右翼によるテロへの警戒は、英国以外の国でも広がりをみせています。 2017年6月、米国の調査機関インベスティゲイティヴ・ファンドは2008年から2016年までのデータから、米国ではイスラーム過激派によるものより、白人

                                                                                    静かに広がる「右翼テロ」の脅威―イスラーム過激派と何が違うか(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース