朝日新聞のインタビューのロング・ヴァージョン。 ――文章を書く際、「想定読者」と位置づける存在がいるそうですね。 ものを書くときに想定している読者は2人いて、一人は小学生の頃からの友人である平川克美君(71)。もう一人は2歳上の兄・徹です。兄は6年前に亡くなりましたが、今でも、兄が読んで納得してくれるものを書くということを心がけています。 ――お兄さんは、どんな存在だったのですか。 小さい頃はやたら構ってくるので、「うっとおしい兄だな」と思っていましたけれど、僕が中学生くらいからだんだん仲良くなりだしました。特に、兄がギターを弾くようになって、ロックに熱中してからですね。兄がシングル盤を買ってきて、僕を部屋に招き入れて、「とにかくこれを聴け」とうるさく勧めるのです。キャロル・キングも、エルヴィスも、ビートルズも、ジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィスも、全部兄が「いいからこれを聴け」と