宿泊客らへの対応に当たった和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」。手前の崩れた神社の鳥居が揺れの激しさを物語っていた=5日午前、石川県七尾市(宇都木渉撮影) 最大震度7を観測した能登半島地震では、石川県七尾市の老舗温泉街「和倉温泉」でも甚大な被害が発生した。年末年始をこの地で過ごそうとしていた観光客は浴衣姿のまま避難を余儀なくされた。温泉街には激震の傷痕がいたるところに残り、営業再開には難問山積だが、利用客や地元住民からは、避難誘導や物資の支援に尽力した旅館側に対して感謝の声も上がっている。 「元日は233ある部屋がほぼ予約で埋まり、揺れが起きた時間帯は8割方のお客さまがご到着されていました」 和倉温泉を代表する旅館「加賀屋」広報担当の張原滋さんは、地震発生当日を振り返る。同市の最大震度は6強。立っていられないほどの揺れの後、間もなく大津波警報が発令された。旅館は海に面しており、すぐに避難所に指定さ