日本最古の神話「古事記」を町田康が現代語訳した話題作『口訳 古事記』では、アナーキーな神々や英雄たちがしゃべる関西弁が特長的だ。翻訳の面白さを生みだす会話と歌の魅力について、翻訳家・岸本佐知子と町田康が語り合った。(紀伊國屋書店新宿本店で開催されたトークイベントを再編集してお届けします) なんで神々が関西弁を? 岸本 『口訳 古事記』は神々のセリフが関西弁で訳されているのも特長ですが、そういえば古事記の神々って、ひょっとして関西弁だったんじゃないかと気づきました。 町田 神武東征があって大和国に王朝ができてから、多分実際に関西のイントネーションで話していたでしょうね。その辺は自信を持って書いてるんです。 今も連載中の、源義経が主人公の『ギケイキ』も古典の翻訳に近いんですけど、こちらはかなり創作を入れていて、頼朝が関西弁をしゃべったりしています。あの人は育ちが京都だから西のイントネーションで