江戸時代後期に編さんされた武蔵国の地誌を読み解く「『新編武蔵風土(ふど)記稿』を読む」が出版された。「新編武蔵風土記稿」(風土記稿)は武蔵国にあった町村の地理や産業、民俗などについて書かれた記録。本書は風土記稿を分かりやすく解説しており、出版元は「郷土の歴史を調べたり、名所旧跡を訪ねることなどに利用してもらえれば」と話している。 (桜井章夫) 風土記稿は幕府の事業として一八一〇年から二十年がかりで編さんされた。役人が武蔵国(埼玉県全域や東京都心を除く都内全域、神奈川県の一部)に約三千あった町村を訪れて住民から話を聞いたり、古文書を調べて記している。文章に加え、地域を描写した挿図が多いことが特徴だ。