AIに関わる研究者や脳科学者、数学者などを世界中で51名取材してまとめた拙著『動物と機械から離れて』の取材で、頻繁に耳にする言葉があった。それは「デジタル・デトックス」。訳すと「デジタル断ち」が適切だろうか。特にAIならびにIT産業の中心地であるアメリカ西海岸のシリコンバレーで、この言葉を頻繁に聞くことになった。 デジタル漬け生活への大きな反動 彼らが言うデジタル・デトックスとは、週末または月に数日、郊外のデジタル・デトックス専門のサナトリウム(療養所)やジム、野外キャンプ地に出向き、PCやスマホ、タブレットなどのデジタル・デバイスを施設に預けて、デジタルなものを身の回りから遮断する行為のこと。そしてデジタル情報の洪水から抜け出て、瞑想やヨガ、読書や思索にふけることを促すものだ。過剰なまでにデジタル漬けとなった仕事や生活様式への、大きな反動だと言えるだろう。 デジタル・デトックスの施設には