賃金をはじめとする労働条件の切り下げは、使用者の一方的な意向でできるわけではありません。 手続きにおいても、さまざまな段取りが必要です。 しかし、昨今、人件費を削減手段として賃金をカットする手法が広く用いられているのも事実です。 賃金カットは何%まで、あるいはどの程度までなら可能かということに関しては、明確な基準があるわけではありません。 手がかりとなるのは、まず賃金カットの必要性がどれだけあるかという点です。 賃金カットの必要性が大きければこれによる不利益が大きくてもそれなりの理屈は成立しますが、必要性が小さいのに大きな不利益を求めるならば、その賃金カットに対する合理性に問題が生じます。 また、業績悪化の責任は経営者にありますから、不利益は上層部に大きく、末端に小さくするのが当然だともいえます。 「年収10%程度」が一つの目安 こうした前提で個別の裁判例をみると、賃金の減少が無効とされた