ジーンズがはけなくなった日 二年ほど前のある日のことだ。ジーンズをはこうと思った。いつものように。そしたら、はけないのである。ん? もしかしたら、これ、洗濯して縮んだのだろうか。そう思った。自分にとって都合のいい方向で考えたのである。でも、このジーンズ、少なくとも五十回は洗濯している。今回に限って、縮むとは考えられない。いや、正確にいうなら、はくことはできた。チャックが閉まらないだけなのだ……って、それ、かなりヤバいんじゃないでしょうか。 わたしは確認のために、そのジーンズを脱いで、長男にはいてもらうことにした。ちなみに、その頃、我が家では、中一の長男、小六の次男とわたしの三人は、同じ服を着ていたのである(「デカい!」んですよ、我が息子たちは)。ジーンズを試着すると、長男はあっさりこういった。 「ふつうにはけるけど、パパ。どうしたの?」 わかった。わたし以外の全世界が縮んでしまった……わけ