三月。年度末のこの時期は、毎年忙しい日が続くのだけれど、今年のそれはちょっと尋常ではなくて、二月の中頃から休みなしでの出社が続いた。今月の頭に一度、三連休で山形に行った他は、休みの日に娘と遊ぶこともできず、粛々とおしごとをこなさざるを得なかった。 そういうのが普通になりかけていた今日、ようやく山を越えて、ひと息つけるかな、というところまで来た。この二三日、北海道ではとても暖かい日が続いていて、遠くまで霞んだような空気に満ちていたのだった。車で都市間を移動するときも、そのもやもやや、夜になって急に気温が下がって川の周りに濃い霧が出たり、吹きさらしの高速道路で強風に煽られたり、季節の変わり目で大気が大きく動いているようだった。 季節の変わり目で動いていたのは大気だけではなくて、流氷もだった。 僕は流氷にほとんど馴染みが無い生活を送ってきた。今回はたまたま行き先の近くの海で残っていたので車を停め