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生態学の検索結果1 - 40 件 / 163件

  • 死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』

    面会にやってきた母親を、息子はハグしようとする。母親は身をすくませるため、息子はハグを諦めて、少し離れる。すると母親は悲しげに言う「もうお母さんのことを愛してくれなくなったの?」 母親が帰った後、息子は暴れ出したので、保護室へ収容される。 グレゴリー・ベイトソンは、統合失調症の息子ではなく、母親の言動に注目する。息子のことを愛していると言う一方で、息子からの愛情を身振りで拒絶する。さらに、息子からの愛が無いとして非難する。 息子は混乱するだろう。ハグしようとする愛情表現を拒絶するばかりでなく、そもそもハグそのものが「無かったこと」として扱われる。にも関わらず、息子のことを愛していると述べる……そんな母親に近づけばよいのか、離れればよいのか、分からなくなる。 矛盾するメッセージに挟まれる ベイトソンは、この状況をダブルバインドと名づける。会話による言葉のメッセージと、身振りやしぐさ、声の調子

      死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』
    • 「なぜミカンは外も中も黄色いの」子供の質問が種子散布生態学的に検証されてない疑問の可能性…「リンゴの実は赤くない」他、知見と考察が集結

      深野 祐也 @Alien_Evolve 生態学/作物学@千葉大学園芸学部。人間と生物の相互作用を広く研究しています。都市や農地に棲む生物の急速な進化、ICTと持続的な農業、進化心理と自然観などなど。最も基礎的な学問は最も応用的である(伊藤嘉昭)。SF好きです。つぶやくアイデアはCC0です。 yuyafukano.wixsite.com/portfolio 深野 祐也 @Alien_Evolve 無垢な(?)子供から鋭い質問されることに期待がありましたが、すごい一撃が来た気がします。 「なんでミカンは外も中も黄色いの?」 これは種子散布生態学的に重要な気がします。確かに、種子散布者へのアピールなら果皮だけで十分で果肉を着色する必要がない。検証されてない疑問な気がします。 2022-10-23 20:58:16 深野 祐也 @Alien_Evolve そもそも、果実のデータベースに果肉と果皮の

        「なぜミカンは外も中も黄色いの」子供の質問が種子散布生態学的に検証されてない疑問の可能性…「リンゴの実は赤くない」他、知見と考察が集結
      • 【プレスリリース】果物が追熟するのは何のため? ~見逃されていた生態学的意義を初めて検証~ | 日本の研究.com

        • ガラパゴス諸島で火山噴火、生態学上の重要地域に溶岩流出

          【1月14日 AFP】南米エクアドル領ガラパゴス諸島(Galapagos Islands)の無人島で火山が噴火し、生態学上重要な環境に溶岩が流出している。エクアドル当局が明らかにした。 ガラパゴス国立公園局(PNG)は、フェルナンディナ(Fernandina)島のラクンブレ(La Cumbre)火山で12日夜、噴火が始まったと発表した。同島はガラパゴス諸島の中で最も新しく形成された島の一つ。 標高1467メートルのラクンブレ火山から「溶岩が沿岸部に流れ下っている」という。 イグアナやペンギン、ガラパゴスコバネウ、ヘビ、固有種のネズミなど、多様な動物が生息するフェルナンディナ島は、生態学上「非常に重要」な価値を有していると、同局は説明している。 エクアドル地球物理学研究所(IGEPN)によると、噴火の前にはマグニチュード(M)4.7の地震が検知され、余震も29回発生したという。ラクンブレ火山

            ガラパゴス諸島で火山噴火、生態学上の重要地域に溶岩流出
          • AICは真のモデルを選ばない? » 小泉研究室 | 北海道大学大学院 地球環境科学研究院 動物生態学コース

            こんにちは、D3の大久保です。 先日「p 値とは何だったのか(Fisher の有意性検定とNeyman-Pearson の仮説検定を超えるために)」という論文を書いたのですが(大久保&會場[2019],生物科学70(4))、今日はそのプロモーションを兼ねて(?!)、この論文では主題として扱えなかった「AICと真のモデルの関係」について紹介したいと思います. ・はじめに 生態学の統計分析で赤池情報量規準(AIC)によるモデルの評価・選択は、本当によく見かけますよね。p値と並んで、データを解釈する上で最も重要な役割を果たしている指標と言えるかもしれません。しかしAICに関して、こんなことを聞いたことがある人はいないでしょうか。 「AICは予測のための指標である」 「AICは正しいモデルを選ぶために作られてない」 「AICはnを増やしても一致性がない」 どれも統計学的にはよく指摘されます。しかし

            • 【アクセス10位】富裕層とファッションモデル ニューヨークの有名クラブの生態学 – 橘玲 公式BLOG

              ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなってしまったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。 アクセス10位は2022年2月10日公開の「ニューヨークの有名クラブで日々繰り広げられているアメリカの富裕層とエロス資本との深淵な関係とは?」です(一部改変)。 ****************************************************************************************** 私はクラブカルチャーにはなんの知識もないが、そんな人間でもアシュリー・ミアーズの『VIP グローバル・パーティーサーキットの社会学』( 松本裕訳、みすず書房)はとても面白く読んだ。ニューヨークの有名クラブや、映画に出てくるようなアメリカの富裕層のパーティで、い

              • 生態学からみる結婚と子育てと家族 ―共同繁殖で育まれる「共感する心」と「子育ての幸せ感」― | 一般社団法人平和政策研究所

                人類が繁栄した理由 幼少期に和歌山県紀伊田辺で育ち、美しい海や山川に囲まれた自然のなかで、貝やイソギンチャク、草花を集めて図鑑で調べることが好きな子どもだった。そういう自然の美しさに惹かれ、それが科学によって解明され、説明できるエレガントなところが、幼い私にとって面白く生物に興味を持つようになった。 大学は理学部生物学科に進み、そこで理科二類の先生の講義に触発され、これを専門に研究しようと決めた。博士論文は、チンパンジーの行動と生態が研究テーマである。 40代以降になると人間に関する経験が増えてきたからか、ヒト以外の動物の生態研究からヒトを研究するようになった。今は人間の事に一番興味を持っている。 およそ600万年前にチンパンジーと人間の系統が分かれ、その後人類は何十億人にも増え、今日の科学文明を発展させてきた。ところが一方で、チンパンジーは絶滅危惧種になっている。その根本的理由を解明した

                  生態学からみる結婚と子育てと家族 ―共同繁殖で育まれる「共感する心」と「子育ての幸せ感」― | 一般社団法人平和政策研究所
                • 「ネッシーは怪獣ではなく、実は…」生態学教授が唱えた新説が、奇想天外でSNSで大議論

                  Back in day, travellers/explorers would draw what they saw. This is where many sea monster stories come from ie. tentacled and alienesque appendages emerging from the water - giving belief to something more sinister lurking beneath....however, many cases it was just whale dicks. pic.twitter.com/6ZH1nJZvB1 — Prof. Michael Sweet (@DiseaseMatters) April 8, 2022

                    「ネッシーは怪獣ではなく、実は…」生態学教授が唱えた新説が、奇想天外でSNSで大議論
                  • 都市化時代の生態学――人と自然にとっての「都市」の価値/曽我昌史/伊藤隆太(ホスト) - SYNODOS

                    開催日時 2021年2月27日(土)14:00~15:30 講師 曽我昌史 ホスト 伊藤隆太 場所 Zoom 料金 1100円(税込) ※高校・大学・大学院生は無料です。 人間は生物種として登場して以来、生態系から様々な恩恵を享受し、それを利用しつつ文明を発達させてきました。ところが、こうした20世紀以降の人工増加と科学技術の顕著な進歩は、大規模な土地改変、自然資源の過剰利用、資源の枯渇、処理しきれない廃棄物の発生等、深刻な地球規模の環境問題を引き起こし、人間社会の持続可能性を大きく低下させています。 そうした中で、生態系には多様な機能があり、それが社会の持続性にとって不可欠であるという認識が次第に社会に浸透し始めています。たとえば、生態系の保全や持続利用に対し国や自治体が支援する制度、生態系の価値を市場メカニズムに組みこむ試み、生態系の保全と地域活性化を連動させる試みなどが胎動しています

                      都市化時代の生態学――人と自然にとっての「都市」の価値/曽我昌史/伊藤隆太(ホスト) - SYNODOS
                    • 「景観における生態学的回復力:シリコンバレー(Google)の事例」

                      小出兼久の百科思考論 landscape architecture International ASLA 目に見える水の流れは、地下を流れる水の量に比べると本当に少ないのと同じように、目に見える理想主義は、世の中の人々が心の中に閉じこめ、殆ど出さないでいる理想主義に比べると本当に小さなものだ。閉ざされているものを放ち、地下水を地表に導く。人々はそれができる人が現れることを待ち焦がれている。 エコロジカル・レジリエンスの概念は、環境の変化、不確実性、および変動性を加速するコンテキストで、生態系と景観を管理するための強力なヒューリスティックとして登場しました。レジリエンスに基づく生態系管理には幅広い魅力がありますが、これらの概念を実際のランドスケープに適用したい人にとって、今後の道筋は明確ではありません。近年の生態学的回復力のメカニズムの理解が急速に進歩しているにも関わらず、景観規模管理の重要

                        「景観における生態学的回復力:シリコンバレー(Google)の事例」
                      • 「生態学すごいな!」公園でパン食べていたらベンチに追い払っても群がってくるドバトに辟易したのでふと思いついてツミの鳴き声をYouTubeから流してみた

                        🏳️‍🌈ぽよちゃん🏳️‍⚧️ @poyo_nichijo すげえ、感動した❗公園でパン食べてて、追い払っても追い払ってもベンチに群がってくるドバトたちに辟易したので、ふと思いついてツミ(都会にも生息する猛禽で他の鳥を捕食する)の鳴き声をYouTubeから流したのよ。10羽以上いた群れが一斉に動きを止めて慌てて飛んでった❗❗これが生態学の実践❗❗❗ 2021-05-08 15:03:12 🏳️‍🌈ぽよちゃん🏳️‍⚧️ @poyo_nichijo #トランス女性は女性です #トランス男性は男性です #ノンバイナリーはノンバイナリーです #トランス差別に反対します 多感、多動、多弁なオタク。あらゆる差別に反対。トランスジェンダー。パンセクシャル。アスペルガー。鬱。弱くても生きるし死ぬまで闘うよ💙💗🤍生き物全般がめちゃくちゃに好き🦀🦇🌿 twpf.jp/poyo_nichi

                          「生態学すごいな!」公園でパン食べていたらベンチに追い払っても群がってくるドバトに辟易したのでふと思いついてツミの鳴き声をYouTubeから流してみた
                        • 生態学データ解析 - 本/データ解析のための統計モデリング入門

                          データ解析のための統計モデリング入門: 一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC 例題データ、コードあれこれ: kubobook_2012.zip (26 MB, 2017-01-23) 著者: 久保拓弥 出版社: 岩波書店, シリーズ「確率と情報の科学」 編集: 甘利俊一,麻生英樹,伊庭幸人 刊行と( まちがい・修正一覧) 第 1 刷刊行: 2012 年 5 月 18 日 第 17 刷刊行: 2020 年 6 月 4 日 講義のーと の内容を詳しく説明したものです 原稿時点の PDF ファイル (参考用) 目次, さくいん, まえがき 韓国語版 (翻訳は滋賀大の李鍾賛さん, 2017-09-15) 「統計モデリング入門」ネット上のあれこれ (のごく一部) 丸善・ジュンク堂書店の「今年驚いた! 1 冊」の「驚きの出版賞」 に選ばれました! (web archive, KuboLog 2

                          • YANAMi🦊全ブロ砲誤爆したらスマン on Twitter: "“リバプール大学の進化生態学教授ポーラ・ストックリーとダラム大学の心理学教授アン・キャンベルの研究[10]によれば、女性が好んで使う攻撃戦術は「間接的で表面化しにくい攻撃を、共感でつながった女性たちが連帯して同時に展開し、標的とな… https://t.co/0bk8Vj9IwU"

                            “リバプール大学の進化生態学教授ポーラ・ストックリーとダラム大学の心理学教授アン・キャンベルの研究[10]によれば、女性が好んで使う攻撃戦術は「間接的で表面化しにくい攻撃を、共感でつながった女性たちが連帯して同時に展開し、標的とな… https://t.co/0bk8Vj9IwU

                              YANAMi🦊全ブロ砲誤爆したらスマン on Twitter: "“リバプール大学の進化生態学教授ポーラ・ストックリーとダラム大学の心理学教授アン・キャンベルの研究[10]によれば、女性が好んで使う攻撃戦術は「間接的で表面化しにくい攻撃を、共感でつながった女性たちが連帯して同時に展開し、標的とな… https://t.co/0bk8Vj9IwU"
                            • 気にも留めていなかった昆虫が、実はすごい存在かも。化学生態学の研究室で生まれた「虫糞茶」 | ザッツ・京大

                              植物や昆虫の代謝を研究する一方、乾燥させた虫の糞から淹れるお茶「虫糞茶(ちゅうふんちゃ)」を開発している農学研究科博士課程の丸岡毅さん。2022年10月に特許を出願し、商品化に向けて、研究開発、クラウドファンディングでの資金集めなど日夜活動されています。 虫糞茶とはいったいどういうものなのか、どうしてそんなユニークな試みを始めたのか、じっくりお話をうかがいます。 ガの糞から桜の香り?! 虫糞茶の誕生秘話 ――「虫糞茶」というのは読んで字の如く、昆虫の糞でつくったお茶ですよね。何の昆虫の糞なのでしょうか? 「すべてガとチョウの幼虫の糞です。これまでに試したのはイラガやヤママユ、スズメガ、オオムラサキなど、関西にも多くいるガがほとんど。たとえばイラガの幼虫は7〜8月にかけて桜の木に大量発生するので、鴨川で集めてきました」 ――その糞に何か加工はされているんですか? 「ガによっては糞の中に水分を

                                気にも留めていなかった昆虫が、実はすごい存在かも。化学生態学の研究室で生まれた「虫糞茶」 | ザッツ・京大
                              • シーラカンスが絶滅しなかったのはマズかったから? 『あつ森』きっかけに生態学に興味を持つ人増

                                画像提供:川田一輝さん 国民的な大ヒットとなっている任天堂Switchのゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』。多数の著名人が作品のファンを公言しており、プレイしてない人でもその名を知らない人はいないほどの社会現象になっている。そんな状況の中、SNSでは作品の中に登場する虫や魚の生態について調べたツイートがたくさんの「いいね」を集めている。漫画やゲームがきっかけで歴史に興味を持ち、日本史や世界史が得意になるというケースも聞くが、どうやら『あつ森』に登場する魚や虫がきっかけとなり、生態系に興味を持つ人が増えているようだ。 ゲームというより“実生活” コロナ自粛がヒットの追い風になった『あつ森」 『あつまれ どうぶつの森』 新型コロナウイルスで外出自粛が強いられる中、任天堂Switchのゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』(愛称:あつ森)が、世界で1300万本以上、国内だけで400万本以上の

                                  シーラカンスが絶滅しなかったのはマズかったから? 『あつ森』きっかけに生態学に興味を持つ人増
                                • 小鳥にとってマンホールは「高級レストラン」!?スズメ、ウグイス、メジロ…人が近づいても逃げないほど、警戒心を解くまで 都会の鳥の生態学|話題|婦人公論.jp

                                  人以外の生物にとっては棲みにくいはずの都市に、近年多くの野鳥が進出しています。希少種として保護活動が行われていたタカ類までも、都心で繁殖するようになりました。ヒヨドリやキジバト、キツツキ類のコゲラや磯にすむイソヒヨドリまで都会で子育てをはじめました。東京都心や千葉県市川市を中心に、半世紀以上にわたって都市鳥を観察してきたNPO法人自然観察大学学長の唐沢孝一さんが分析した、人と鳥との関係性の変化とは――。 「ロンドンと東京」のスズメ スズメは日本人をどう見ているのだろうか? そんなことが気になったのは、都市鳥研究のためにロンドンを訪ねた1990年夏のことであった。 ロンドン中心部のセント・ジェームズ公園の一角で大勢の人が手を差し出している。いったい何をしているのだろうか。しばらくすると、スズメ(イエスズメ)が飛来し、手に乗って餌を食べはじめた。人を恐れずに手に乗るなど1990年代の日本では考

                                    小鳥にとってマンホールは「高級レストラン」!?スズメ、ウグイス、メジロ…人が近づいても逃げないほど、警戒心を解くまで 都会の鳥の生態学|話題|婦人公論.jp
                                  • コロナ禍に考えたい「なぜクジラは邪魔なフジツボをつけて泳ぐのか」 今こそ役に立つ「生態学」の知恵

                                    「寄生者」が暴れた時、人は「病気」になる 自然界から寄生という現象を排除して考えることはできない。あらゆる生物が寄生者を持つと考えてさしつかえないほどである。寄生者を持たない生物をさがすには、バクテリアのレベルまで下らなくてはならない。 たとえば一羽の鳥をとりあげてみる。そこには幾種類かのダニ、シラミ、ノミ、ヒル、条虫、尖頭蠕虫せんとうぜんちゅう、回虫、吸虫、眠り病虫、舌形類、らせん菌、鞭毛虫、アメーバといった寄生者がたかっているのが普通である。その種類の多さについては、56種類の鳥の巣を調べたところ、ダニなどの節足動物だけで529種類もいたという報告がある。また数の多さについては、1羽のダイシャクシギから、1000匹以上のハジラミが見つかったという報告がある。 人間については、文明国ではノミもシラミも退治され、回虫などの寄生虫もほとんどなくなっているから、寄生者は求めるのがむずかしいだろ

                                      コロナ禍に考えたい「なぜクジラは邪魔なフジツボをつけて泳ぐのか」 今こそ役に立つ「生態学」の知恵
                                    • グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ(上)』(岩波書店)、今井 むつみ,秋田 喜美『言語の本質』(中央公論新社) - 鹿島 茂による読書日記 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                      ×月×日言語、DNA、それに家族。最近、本屋で買う本はこの三つのジャンルに限られる。吉本隆明のいう「知の遠方志向性」が「起源を知りたい」という遡行的知識欲となってあらわれてきているらしい。 今井むつみ・秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書 九六〇円+税)は、言語で最も原初的な要素であるオノマトペ(ギリシャ語起源のフランス語)に注目することで、言語の起源と進化を考察しようとした野心的な試みである。 まず、オノマトペの原初性だが、それはアイコンと類似していることにある。ちなみにアイコンとは、表すもの(シニフィアン)と表されるもの(シニフィエ)が類似している記号と定義され、具体的にはデジタル・メディアの絵文字・顔文字などを指すが、オノマトペは「ニャンニャン」や「ピカピカ」など、シニフィアンとシニフィエが聴覚的・感覚的に似ている点でアイコンに近い。しかし、母語以外の話者

                                        グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ(上)』(岩波書店)、今井 むつみ,秋田 喜美『言語の本質』(中央公論新社) - 鹿島 茂による読書日記 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                      • 書評 「森林の系統生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

                                        森林の系統生態学―ブナ科を中心に― 作者:広木 詔三発売日: 2020/04/30メディア: 単行本 本書は生態学者広木詔三による日本の森林を扱った一冊.「系統生態学」というのは初耳だったので,思わず手に取った一冊だ.この系統生態学というのは生態という空間的なパターンに加えて系統という歴史も加えて種間の関係を読み解いていくという試みのようだ. 序章 種の特性と群集 本書は著者にとっても学者人生を総括する一冊らしく,序章に理論編がおかれている.この理論編では「種」についての問題が著者なりに整理されて論じられている. リンネ以来の種概念(特にマイアの生物学的種概念とその限界と様々な提案)を簡単に見た後で,種の実在性の問題を扱う.三中による種の実在性の否定について「一部の例外的な時期を除けばある種は別の種から独立しており,実在性の否定はおかしい.また種の認識をすべてヒトの認知に帰すべきではない」

                                          書評 「森林の系統生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
                                        • 唐沢孝一『都会の鳥の生態学』を読む - mmpoloの日記

                                          唐沢孝一『都会の鳥の生態学』(中公新書)を読む。副題が「カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰」というもの。唐沢は都会の鳥=都市鳥について半世紀以上にわって観察してきたという。その長年の研究実績から具体的なエピソードが満載されている。新書という形式には収まり切れないほどの情報量だ。それらがとにかく面白い。 上野不忍池では手乗りのスズメが見られると、その写真が掲載されているが、これは私も見たことがある。 ツバメの営巣場所の変転を長年観察して、街の再開発によってどのように移り変わっていったか報告している。こんなに変わっていったのかと驚いた。営巣地に集中してコロニー状態になると、本来一夫一婦のつがいだが、浮気をし婚外子が生まれるという。さらにメスをめぐってオスの子殺しが行なわれる。 唐沢が設置したエサ台を観察したところによると、スズメの寿命は最長7年半だったという。日比谷濠の近くにある楠木

                                            唐沢孝一『都会の鳥の生態学』を読む - mmpoloの日記
                                          • 『精神の生態学』(新思索社) - 著者:グレゴリー・ベイトソン 翻訳:佐藤 良明 - 吉本 隆明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                            著者:グレゴリー・ベイトソン翻訳:佐藤 良明出版社:新思索社装丁:単行本(706ページ)発売日:2000-02-00 ISBN-10:4783511756 ISBN-13:978-4783511755 内容紹介: 文化とは?性格とは?病気とは?情報とは?進化とは?意識とは?文明とは?環境とは?芸術とは?神聖とは?物象科学の思考を捨て、関係性を問いつめ、マインドの科学を築いていった巨人ベイトソンの全軌跡。 射撃場があって、向うには同心円を描いたマトがあり、真ん中にあたれば五点、いちばん外側にあたれば一点になっている。こちらから狙ってできるかぎり中心を射あてるようにして、どれだけ高得点がとれるか。これがわたしたちが手慣れている学習・研究・調査・解剖のやり方だ。ベイトソンがこの本でとっているやり方はまったくちがう。草原のなかで自然なまま動きまわっている獲物を、こちらもまた動きまわりながら狙って射

                                              『精神の生態学』(新思索社) - 著者:グレゴリー・ベイトソン 翻訳:佐藤 良明 - 吉本 隆明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                            • 備忘録:ある対話 - 極北の博士、生態学を研究する

                                              気分が不安定でよくない状況なので、ちょっとそれをまとめるための日記を書きます。明るい話題でもなく、生態学の話題でもありません。ほとんど独白ですが、人の目に耐えうるような文章としてまとめることが重要なのではないかと思ったので、これを書きました。なんかアホいってらと読み飛ばすか、あるいは、読む必要はないです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自分のなかに異なる人格が並存している!と思うことがある。この場合の人格は、思考のパターンや志向するもの、何を望んでいるのか、という欲求と思考パターンの複合体を意味している。私にとっての2つの人格はーーそこそこ活動的、意欲的な人格と、全くの無為者、倦怠者、ひどく集中力を欠き、なんにせよ熱中というものが存在しない人格だ。前者は内省することができるが、後者は内省の能力を一切欠いている。前者が現れるのは週に3度ほど、あ

                                                備忘録:ある対話 - 極北の博士、生態学を研究する
                                              • 生態学:農業と気候変動が昆虫の生物多様性に及ぼす悪影響

                                                Nature Japan 注目のハイライト 生態学:農業と気候変動が昆虫の生物多様性に及ぼす悪影響 Nature Japan Ecology: Negative impacts of agriculture and climate change on insect biodiversity 土地を集約度の高い農業に利用することと過去の気候温暖化との相互作用は、昆虫の存在量の約50%の減少に関連していることを報告する論文が、Nature に掲載される。 気候変動と土地利用の変化は、昆虫の生物多様性に影響を与えることが分かっており、この2つの要因は、相乗的に作用することがある。例えば、自然の生息地を開墾して農地を造成すると、微気候が変化して、気温の極値が上昇することがある。しかし、これらの要因と昆虫の生物多様性との相互作用の影響は、他の動物種の場合ほど十分に理解されていない。 今回、Charl

                                                  生態学:農業と気候変動が昆虫の生物多様性に及ぼす悪影響
                                                • 生態学:雄のケナガマンモスも発情期を経験していた | Nature | Nature Portfolio

                                                  雄のケナガマンモスには、近縁の現生ゾウと同じように発情期があったことを示唆した論文が、Natureに掲載される。発情期は、テストステロンにより行動や生理状態が変化する時期で、生殖の成功に関連している。今回の研究では、推定年代が約3万9000~3万3000年前とされる雄のマンモスの牙の象牙質に含まれるホルモンの濃度が変動していたことが明らかになった。こうした知見は、古代と現代の動物においてホルモンが引き起こす行動を調べるために、歯(イッカクの一本角を含む)のホルモン濃度の分析が有益であることを示している。 ケナガマンモスの生殖生理と行動の多くの特徴、例えば、成体の雄ゾウの場合と同様にテストステロン濃度の上昇を伴い、生殖の成功に関連する発情期があったのかどうかといったことは判明していない。牙を形成する骨性物質である象牙質の層には成長記録が保存されており、マンモスの生活史の詳細を復元するために利

                                                    生態学:雄のケナガマンモスも発情期を経験していた | Nature | Nature Portfolio
                                                  • 美しい渓流で見た ハリガネムシがつむぐ生態系の物語 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(最終回) - 日本経済新聞

                                                    文筆家・川端裕人氏がナショナルジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」の転載を始めました。川端氏が最先端の研究室を訪れ、じっくりと研究内容を深掘りする人気コラムです。今回は、不気味なのに目が離せない寄生虫がテーマ。探究心が高まる夏休みシーズンにぴったりです。◇  ◇  ◇京都大学の芦生研究林で、深夜、林床をさささっと動き回るカマドウマに会い、翌日の日中、水中のハリガネ

                                                      美しい渓流で見た ハリガネムシがつむぐ生態系の物語 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(最終回) - 日本経済新聞
                                                    • サルのことば(小田 亮, 生態学ライブラリー 2)| 京都大学学術出版会

                                                      どんな民族でも複雑な言語を持っていて、子どもたちはその体系を教わらずとも、いつのまにか言葉を話せるようになっている。つまりヒトは言語を用いるようにできている生物なのだ。原始的なサル(ワオキツネザル)の警戒音を中心に、サルたちのコミュニケーションを分析することで、ヒトが言語を操る動物へと進化した謎を探る。 小田 亮(おだ りょう) 名古屋工業大学共通講座教室人間社会科学講座講師.理学博士. 1967年 徳島県生まれ. 1996年 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了.京都大学研修員,日本学術振興会特別研究員,京都大学霊長類研究所教務職員を経て現職. 専 門:自然人類学,比較行動学. 主 著: 『霊長類学を学ぶ人のために』(分担執筆,世界思想社,1999年). 第一章 ことばの不思議 1 ことばをもった哺乳類 2 進化はどのようにしておこるのか 3 言語が進化するしくみ 4 自然

                                                        サルのことば(小田 亮, 生態学ライブラリー 2)| 京都大学学術出版会
                                                      • 「3・1・2弁当箱法」 – NPO法人 食生態学実践フォーラム

                                                        「3・1・2弁当箱法」は、“1食に何を、どれだけ食べたらよいか”のものさしです。1食の量を身近な弁当箱で決め、その中に主食・主菜・副菜料理を3・1・2の割合につめる食事・食事づくり法なので、「3・1・2弁当箱法」と名づけました。 「3・1・2弁当箱法」は、地域にくらす人々が、日本の食文化をふまえた、適量で栄養バランスのよい、おいしい、食料自給向上につながる食事を考え、準備し、食べる力の形成に役立ち、地域全体の「食の循環」をうまく回していくことを可能にします。このことが「健康・生活の質(QOL)」と「環境の質(QOE)」のよりよい共生をめざす栄養教育・食教育・食育のゴールへと近づけることになります。また、フードシステムと食情報システムの両面からのアプローチにも、「3・1・2弁当箱法」のコンセプトや方法が活用できます(図1)。 「3・1・2弁当箱法」の開発のねらい わかりやすい、使いやすい、み

                                                        • 自分を責めることは誠実なのか?① - 極北の博士、生態学を研究する

                                                          自分のことが嫌いで仕方ない人は多いと思う。私もその一人だ。自分の仕事上の無能さ、性格、容貌、何かにつけて自分を常に責めている気がする。自分を責め続けることは大変辛いことであり、しんどいことである。だが、頑なに自己を罰し続けることをやめられないのは何故なのか? 私は確かにこの自責の辛さから逃れたいと思っており、この責めの自動思考を抑えたいと考えている。最近は、自動思考を変える「認知行動療法」を勉強し始めたくらいだ。だが、自分を「楽にする」ため、というのがどの行動療法の本でも謳われている文句なのだが、これが未だ飲み込めないのだ。自分の無能さをほっといて「楽になる」ことは、自己自身に対して不誠実ではあるまいか。たとえ精神的にどん底に落ちるとしても、日常生活が不可能になるとしても、自責し続ける生の方が誠実ではあるまいか。 このような疑問を抱えたままでは到底行動療法の効果は期待できないので、この点に

                                                            自分を責めることは誠実なのか?① - 極北の博士、生態学を研究する
                                                          • カラ類の繁殖生態 ~シジュウカラの営巣から巣立ちまで~ » 小泉研究室 | 北海道大学大学院 地球環境科学研究院 動物生態学コース

                                                            明けましておめでとうございます!乃美です。 自分のフィールド時期にほとんど調査ネタをアップしてなかったのでこれを期にどんどん出していこうかと思います。 苫小牧研究林を調査地として2008年の秋に巣箱を300個設置し、巣箱を利用する鳥類の繁殖生態を調べています。 研究テーマとしては主に婚外交尾や性比調節といった行動生態学の分野を中心に行ってきました。僕も先日ようやく論文がアクセプトされました。苫小牧研究林のスタッフをはじめ研究に協力していただいたすべての方々に感謝したいと思います。 さて調査地ではシジュウカラ科4種(シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、ハシブトガラ)とゴジュウカラが繁殖に巣箱を利用します。 今回は営巣数の多いシジュウカラを使って繁殖サイクルを紹介します。 本州では3月後半~4月上旬に繁殖が繁殖が始まりますが、北海道では遅く5月上旬からになります。調査もこの時期から行っています。

                                                            • 生態学:古代DNAを使って再現した200万年前の生態系の構成 | Nature | Nature Portfolio

                                                              これまでに採取された最古の古代環境DNAの解析が行われ、約200万年前の北グリーンランドの生態系の全体像(当時存在していた動植物種を含む)が再構築された。この知見は、古代の生態系をこれまで不可能だった範囲まで探究し解明することを可能にし、現代に存在しない生態系を解明する手掛かりをもたらした。今回の研究について報告する論文が、Natureに掲載される。 カップ・クブンハウン(Kap København)累層は、北グリーンランドのピアリーランドに位置する極地砂漠で、200~300万年前は気温が現在よりも11~19°C高く、はるかに温暖な気候だったことが示唆されている。しかし、この時期に北極に生息していた生物群集に関しては、脊椎動物の化石の数が非常に少ないため、ほとんど解明されていない 今回、Eske Willerslevたちは、カップ・クブンハウン累層内の5つの異なる地点で採取した有機物を多く

                                                                生態学:古代DNAを使って再現した200万年前の生態系の構成 | Nature | Nature Portfolio
                                                              • まるで漫画「寄生獣」 ハリガネムシの恐るべき一生 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(2) - 日本経済新聞

                                                                文筆家・川端裕人氏がナショナルジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」の転載を始めました。川端氏が最先端の研究室を訪れ、じっくりと研究内容を深掘りする人気コラムです。今回は、不気味なのに目が離せない寄生虫がテーマ。探究心が高まる夏休みシーズンにぴったりです。◇  ◇  ◇宿主を操り、自らに都合のよい行動を取らせる寄生虫がいる。聞いただけで気持ち悪いが、そんな寄生虫であ

                                                                  まるで漫画「寄生獣」 ハリガネムシの恐るべき一生 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(2) - 日本経済新聞
                                                                • 新しい暗黒時代論じた作家による、AIや粘菌の生態学『Ways of Being 人間以外の知性』

                                                                  知能は人間の独占物ではない。そんな視点から「人間以外の知性」について論じた書籍『Ways of Being 人間以外の知性』が5月22日(水)、早川書房から刊行される。 自動運転車もチンパンジーもタコも木も菌類も独自のあり方で知的と言えるが、ではそれらが体感する「世界」とはいかなるものなのか。 認知科学やAIが専門のアーティスト/ジャーナリストであるジェームズ・ブライドルさんが執筆。解説は、書籍化されたことで知られる読書会『闇の自己啓発』の発起人・江永泉さんが担当する。 「新しい暗黒時代」を論じたジャーナリスト、ジェームズ・ブライドルジェームズ・ブライドルさんは、認知科学やAIを専門領域とするアーティスト、科学技術者、ジャーナリスト。 自動運転車を自作して“罠にかける”映像作品の展示など、科学技術自体が持つ危険性に対し警鐘を鳴らすような作品を制作。美術展「あいちトリエンナーレ」などにも出展

                                                                    新しい暗黒時代論じた作家による、AIや粘菌の生態学『Ways of Being 人間以外の知性』
                                                                  • 書評 「植物の行動生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

                                                                    植物の行動生態学: 感じて、伝えて、記憶し、応答する植物たち (種生物学研究 42号) 文一総合出版Amazon 本書は種生物学会シリーズの最新刊.テーマは植物の行動生態学.これまで植物の行動生態学的な取り組みとして紹介されるものとしては性投資配分や生活史戦略にかかるものが多かったように思うが,本書は条件付き戦略(環境応答),血縁認識,自他認識,植物間コミュニケーション,情報伝達,感覚入力の処理,記憶あたりが扱われている.行動生態学の本丸(適応形質)というよりその周辺の適応を成り立たせている至近メカニズムに焦点が当たった一冊という印象だ.また血縁認識の議論があることを踏まえて血縁淘汰(包括適応度理論)についての理論的な解説(第5章)があるのも特徴になっている. 第1章 環境応答する種子:生物的環境に応じた可塑的な種子発芽 向井裕美 山尾僚 第1章では植物の種子の発芽戦略が扱われている.種子

                                                                      書評 「植物の行動生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
                                                                    • ネットワーク生態学研究会 - 第16回シンポジウム

                                                                      2021年3月1日にオンライン開催された第16回ネットワーク生態学シンポジウムのポスター優秀賞は,参加者の投票により久壽米木啓悟さん(筑波大学) の「互恵的謝辞ネットワークに見える引用ネットワークとGender Diversity 」に決定しました. 第16回ネットワーク生態学シンポジウムは,2021年3月1日(月)に,オンラインで開催を予定しています. 今回は計算社会科学研究会と連続開催で実施します.オンライン開催のため,参加費は無料です. 今回は3件の招待講演および,ポスター発表を行います.ネットワーク研究を始めようとする大学生,大学院生から,ネットワークについて造詣の深い研究者まで 幅広い層がお互いに刺激し合えるようになっておりますので,皆様ふるってご参加下さい. ポスターセッションでは,「ネットワーク」に関わる 情報通信,統計物理, アルゴリズム, 生物学,経済学,社会学などの分野

                                                                        ネットワーク生態学研究会 - 第16回シンポジウム
                                                                      • 福島の森は生きている――『森林の放射線生態学』著者インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

                                                                        福島県の面積は1万3780平方キロメートル(全国3位)。約7割を森林が占める。2011年の東日本大震災の影響で起きた東京電力福島第一原子力発電所(以下福島第一原発)の事故による放射性物質は、この広大な森林にも広がった。 福島の森林の木は、長い間木材などに利用されてきた。また森林の恵みである野生のキノコや山菜は、周辺地域の食文化の要となっていた。原発事故に見舞われた森と、この先どう向き合えばよいのか――。森林とともに生きる福島の人々の声をそこかしこで聞いた。 2021年3月、『森林の放射線生態学 福島の森を考える』(丸善出版)が刊行された。これまで、住民にとって重要な意味を持つ福島の森林について、科学的な知見をわかりやすく解説した本は存在しなかった。 福島の森林は、どのように原発事故の影響を受けたのか。「市場に出回る福島の農林水産物が安全である」と説明されるときに、しばしば比較対象として出さ

                                                                          福島の森は生きている――『森林の放射線生態学』著者インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
                                                                        • 書評 「チョウの行動生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

                                                                          チョウの行動生態学 (環境Eco選書) 作者:井出純哉北隆館Amazon 本書は対象をチョウに絞った行動生態学のアンソロジー.もともと「昆虫と自然」2021年3月号の特集だったものを膨らませて本にしたものだ.チョウの総説から科学哲学までさまざまなテーマが取り上げられている. 総論 蝶の行動生態学への招待 井出純哉 冒頭で系統樹と分類体系が示され,チョウが単系統群であることが示されている.ここで現在セセリチョウ科と近縁とされているシャクガモドキ科のチョウたちが(見た目がいかにも蛾であるために)1980年代まではシャクガと近縁とされて蛾と扱われていたことに触れている*1. 次にチョウがなぜ色彩豊かなのかが考察されている.チョウは白亜紀中期に蛾の中の一系統から分岐して出現したが,被子植物の送粉を助け花蜜を得るようになったことで昼光性のニッチに進出したと考えられている*2.分岐当初は色覚が一部退化

                                                                            書評 「チョウの行動生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
                                                                          • 生態学の指標を応用した、広告の多様性とクリックされやすさの関係の分析 〜 検索広告での事例

                                                                            ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社の新しいブログはこちらです。LINEヤフー Tech Blog こんにちは。Yahoo!広告に関わる分析を行っているアナリストの菊池です。 Yahoo!広告の1つである検索広告において、表現の異なる広告を数多く入稿した(広告の多様性が高い)ほうが、ユーザーをひきつける可能性が高くなるということは、理論面や経験から認識されてはいました。が、それがデータで示されたことはありませんでした。 この記事では、本当に多様性が高いとユーザーをひきつけやすいかを、形態素解析という手法と生態学で利用されている指標を利用して分析した事例を紹介します。 検索広告と、良い広告 今回は、検索広告を例に分析します。検索広告とは、Yahoo! JAPANで検索をした際、検索キーワードに応じて、検索結果ページに表示されるテキ

                                                                              生態学の指標を応用した、広告の多様性とクリックされやすさの関係の分析 〜 検索広告での事例
                                                                            • 自然史標本を取り巻く管理者・採集者・利用者の関係 : よりよい標本の保存・収集・利用を行っていくために(<連載2>博物館の生態学(22))

                                                                              Online ISSN : 2424-127X Print ISSN : 0021-5007 ISSN-L : 0021-5007

                                                                              • 不気味でも生物の半分近くは寄生虫 生態系の要だった 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(5) - 日本経済新聞

                                                                                文筆家・川端裕人氏がナショナルジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」の転載を始めました。川端氏が最先端の研究室を訪れ、じっくりと研究内容を深掘りする人気コラムです。今回は、不気味なのに目が離せない寄生虫がテーマ。探究心が高まる夏休みシーズンにぴったりです。◇  ◇  ◇日本の紀伊半島の川で、渓流魚が1年間に得るエネルギーの6割を寄生虫ハリガネムシに行動操作されたカマ

                                                                                  不気味でも生物の半分近くは寄生虫 生態系の要だった 神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(5) - 日本経済新聞
                                                                                • 南天堂、牧野四子吉、そして梅棹忠夫へーー船木拓生『侠気の生態学:牧野四子吉と文子の鮮やかな日々』(ぷねうま舎)への補足ーー - 神保町系オタオタ日記

                                                                                  船木拓生『侠気の生態学:牧野四子吉と文子の鮮やかな日々』(ぷねうま舎、令和3年4月)。たまたま読んだら面白かった。新刊だが、善行堂に置かれるべき一冊だろう。昭和4年牧野四子吉は、人妻文子*1と東京から京都へ駆け落ちする。東京では百瀬晋に兄事し、南天堂に出入りしていた。大杉栄、宮島資夫、辻潤、竹久夢二*2、『マヴォ』同人らと交流した。京都では北白川平井町*3に新居を建て、そこには四子吉が京都帝国大学動物学教室の嘱託(生物画担当)だった関係で、京大関係者を始め多彩な人達が集まるサロンになったという。今西錦司や森下正明らのポナペ島、大興安嶺探検の報告書の挿図は牧野が描くこととなる。出入りした「最年少学生」は梅棹忠夫だった。本書の対象外だが、後に北白川の梅棹邸も研究者のサロンになる。梅棹自身は意識していなかっただろうが、そこはもう一つの南天堂だったことになる。 本書を読んで気付いたことを補足してお

                                                                                    南天堂、牧野四子吉、そして梅棹忠夫へーー船木拓生『侠気の生態学:牧野四子吉と文子の鮮やかな日々』(ぷねうま舎)への補足ーー - 神保町系オタオタ日記