冨安はサッカーに関することであれば積極的に口をひらく一方で、目立ったところに出る必要がない状況であれば、静かに暮らしたいと考えるタイプだ。そんな冨安が熱を帯びた声で冒頭の言葉を伝えていたとき、選手たちは息を飲み、食い入るように耳を傾けていた。 そして、そのかたわらにいたアビスパの育成にかかわるスタッフたちは、心のなかで強くうなずいていた。 あの言葉の真意を知っているからだ。 世界は17、18歳でプロに交じっている選手が 「世界を見れば17歳や18歳で(大半が20歳以上の)プロに混じってプレーしている選手がゴロゴロいます。だから、今の若い子たちには、『同年代の選手と一緒にプレーしていることを恥ずかしい。もっと成長して上のカテゴリーでプレーしたい』と思ってもらいたいんです」 冨安はことあるごとに、このようなニュアンスの言葉を口にしてきた。例えば、ヨーロッパのシーズンオフにアビスパの施設を訪れた