その壇上で、アマゾンで個人向けハードウエア事業を統括する部門の責任者であるDave Limp(デイブ・リンプ)氏は、「Alexa(アレクサ)への生成AI導入」を発表した。 アマゾンの施策はどんな形になるのか、発表内容とキーパーソンへの取材からまとめてみよう。 生成AIでAlexaの理想が実現 アマゾンが音声アシスタント「Alexa」を搭載したスマートスピーカー「Echo」シリーズを最初に発売したのは2014年11月のこと。すでに9年近くが経過している。 リンプ氏は、AlexaとEchoについて、スタートからずっと責任者として関わり続けてきた。彼は近々アマゾンを去ることを公表しており、現在の職責として公的な場でスピーチをするのは、これが最後になると見られている。 「個人としてはほろ苦い思いもある」とリンプ氏はプレゼンテーションの中で語る。 そんな、リンプ氏が長く時間をかけて成長させてきたAl
現在開催中の「FIFAワールドカップカタール2022」(以下、W杯)では、ビデオなどの機器を活用した審判員補助技術「VAR(Video Assistant Referee)」が使われている。 この中で、中核の1つとなっているのがソニーのグループ会社である「ホークアイ イノベーションズ(以下ホークアイ)」の技術だ。 この企業の技術を中心に、ソニーは近年、スポーツ向け技術を活かしたビジネスに熱心だ。それはなぜなのか、改めて解説してみよう。 ■ソニーの技術と「VAR」 今年のW杯では、VARとして主に2つの技術が使われている。 1つは、アディダスが提供する公式試合球「アル・リフラ」に内蔵されているセンサーチップ。これはソニー製ではなく、ドイツ・キネクソン社のもので、主に加速度を認識することに使われている。 そしてもう1つが、映像認識を使った技術。こちらが、ホークアイのものだ。この技術をソニーとホ
CEATEC 2019のソニーブース。往事の巨大なものからすると小ぶり。中身はすべて「メディカル事業」で占められている。 撮影:西田宗千佳 ソニーが6年ぶりにテクノロジー展示会「CEATEC」に帰ってきた。 CEATECは家電のイベントからIoT関連イベントへと姿を変え、その過程で出展者の姿も入れ替わってきた。今年はパナソニックが出展をとりやめ、シャープも規模を縮小する一方、全日本空輸(ANA)が新たに出展している。 そこへ、2013年に一度は撤退したソニーが戻ってきた。といっても、家電メーカーとしてのソニーが戻るのではない。ソニーは、メディカル関連事業を軸に出展するというのだ。 ソニーはなぜCEATECに戻ったのか、そして、ソニーはメディカル事業で何をやろうとしているのだろうか? 関係者へのインタビューから探った。
10月16日にグーグルが新しいハードウエア製品を発表した。それらに共通するのは「アンビエント・コンピューティング」だ。それはどういう意味を持っているのか? そして、それはどのような機能に現れているのか? グーグルの戦略を分析してみよう。 実は「Wi-Fiアクセスポイントが戦略製品」である理由 グーグルのハードウエア製品というと、我々はまず「Pixel 4」のような機器を思い浮かべる。グーグルにとっても注力商品であることは間違いない。だがそれでも、あくまで「重要な機器」のひとつだ。彼らが核にあると考えているのは音声アシスタント技術である「Googleアシスタント」だ。 音声認識の活用は、特に日本ではまだ進んでいない。声で命令を発することに慣れていない、他人がいる場所で独り言のようにつぶやくのが(まだ)奇異に見える、といった慣習的な側面に加え、日本語での応答技術の未熟さも課題だろう。とはいえ、
メタ(Meta)は主力の広告事業の減少に苦しみつつも、将来に向けた「メタバース関連ビジネス」に多額の投資を続けている。 ある意味でその象徴と言えるのが、10月末に発売された最新型のVRゴーグル(HMD)の「Meta Quest Pro」だ。 日本円で直販価格22万6800円(税込)という高価な製品だが、そこで同社はなにを目指そうとしているのだろうか? 実機を使ってみて分かったのは、「22万円のデバイスを多数売って儲ける」のではなく、「さらに将来性を探索(Quest)」しようとする姿勢だった。 今回は同社の「Meta Quest Pro」、PICOの「PICO 4」と比較しつつ、価値をチェックしてみた。
PC モバイル 【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第29回 スマホ対応にWindows 11統合、マイクロソフトが「BingとAI」開発を急ぐわけ Image:Microsoft マイクロソフトが、ジェネレーティブAIを組み込んだ検索エンジン「Bing」の活用について、矢継ぎ早に展開を進めている。 チャット検索機能を搭載した「新しいBing」は2月7日に発表されたばかりだが、22日にはスマートフォンアプリへの対応が発表され、さらに28日にはWindows 11への統合も発表された(すべてアメリカ時間)。 スマホやWindowsへのAI統合はどういった意味を持つのか。そしてなぜ、マイクロソフトは展開を急ぐのか。その点を考察してみよう。 Windows 11とスマホにも「新しいBing」 考察の前に、スマートフォンやWindows 11の上で「新しいBing」のチャット検索がどのように使える
Oculus Questは、PCとの接続がいらず、個人にとって手を出しやすいVR機器といえる。Oculus自身、個人市場でゲーム機のようにヒットすることを期待しているのだろう。 ↑Oculus Quest だが一方、VR市場はなかなか大きく立ち上がらない。従来のビデオゲームなどと比較しても、「体験しないとスゴさがわかりづらい」「体験したあと、毎日その体験を繰り返したいと思えるアプリが生まれていない」というハードルがあるからだ。近いうちにそうした問題を解決するような用途が生まれる可能性は高いが、少なくとも現在、それがあるか、というと、そうではない。 だがそれゆえに、ヒットの可能性がある市場もある。それは「ロケーションビジネス」だ。簡単にいえば、ゲームセンターやアミューズメント施設、美術館や展示会などでの利用のことだ。 現在のVR市場においても、もっとも安定的なビジネスができているのはこのロケ
検索サービスで、マイクロソフトがGoogleに強いプレッシャーをかけ始めている。マイクロソフトは2月7日(現地時間)、検索エンジン「Bing」とウェブブラウザー「Edge」の大規模アップデートを発表した。中核となるのは、Open AIの大規模言語モデルを使った「チャット」「要約」などの機能だ。 現在マイクロソフトは、この新しいBingについて、ウェイティングリストへの登録後、順次利用者を拡大していく形を採っている。今後数週間で数千万人に、ということなので、それほど待たなくても使えるようになるかもしれない。 筆者も新しいBingが使えるようになったので、早速試してみよう。 悲願の「検索ビジネス」で勝つため、先を走るマイクロソフト 「このテクノロジーは、ほとんどすべてのソフトウェア・カテゴリーを再形成する」。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、7日の会見でそう述べた。 いま生活の中で、ネ
Vol.83-4 これまで、日本市場のテレビは他国に比べて単価が高い、と言われてきた。大手日本企業の製品が市場の中心であったため、他国の低価格製品があまり入って来られず、なかなか売れなかったからだ。唯一LGエレクトロニクスは気を吐いていたが、これも単純な低価格製品ではなく、「最新の有機ELモデルをいち早く市場導入し、日本メーカーよりは安い。が、決して格安テレビではない」といった位置付けだった。 ところが、この2年くらいで中国系メーカーが本気で日本市場での勢力を拡大しており、シェアを伸ばしている。これらは主に、かつては進出が難しいと考えられていた低価格な液晶テレビでの出来事だ。 テレビも機械である以上壊れる。昨今は、地デジ移行からすでに8年が経過し、テレビも代替えする時期ではある。だが、ブラウン管の時代と異なり、液晶を使った薄型テレビは非常に壊れづらい。過去のテレビに比べて買い替えペースは緩
YouTubeの選挙への「圧倒的影響力」 7月10日に行われた第26回参議院議員通常選挙は、YouTubeの影響が顕著だった。もっともわかりやすい例は、NHK党の「ガーシー」こと東谷義和氏が28万の個人票を獲得、海外に居住したまま当選を果たしたことである。 その是非についてはさまざまな意見がある。筆者は「国内に戻って国会に出席できないなら、議員になるべきではない」という立場だ。だが、彼がYouTubeを背景に票を集めるだけの影響力があったことに疑問はない。 現在、東谷氏のYouTubeチャンネルは停止状態にあり、直接ののべ視聴者数を把握するのは難しいが、停止前までには120万人以上のチャンネル登録者がいた。彼の投稿動画の一部を使った「切り抜き」動画などを投稿する人々もいるし、連動している「NHK党」関係者の動画配信もあるので、実際にはそれよりもはるかに多い直接的な影響を動画視聴者に与えてい
Vol.83-1 これからのテレビ市場は中国メーカーがカギを握る新製品が出揃い、2019年のテレビ市場も全体を見通せる状況になってきた。 2020年はオリンピック・イヤーということもあるし、昨年末には新4K8K放送がスタートしたこともあるため、メディア的にはテレビに注目……と言いたいところなのだが、これらの要素は「テレビの購入」に対して劇的な効果を生み出していないというのが実態だ。今年は、地デジがスタートして8年。2011年前後にテレビを買った人の買い換えが増える時期でもあり、4K放送やオリンピックも多少の後押しにはなる。それらの影響が何もないというわけではないものの、地デジでテレビが急速に売れた(それは、そこから数年間の需要を先食いしたということでもある)ときのような効果が見られるかというと、残念ながらそんなことはなさそうなのだ。 一方で、テレビ市場には大きな変化も見えてきた。それは、海
アップルのHPより 7月1日、アップルがiPhoneやiPad、iMacなど多くの自社製品の値上げを実施した。この値上げの背景には、円安や世界的な半導体不足があるようだ。 SNSでは「6月のうちに買っておけば良かった」「iPhone14はもっと高くなるの?」など不安の声がいくつも挙がっていた。これを受けてか、今、中古のiPhone需要が高まっており、中古ショップではiPhone商品の品薄・高価買取りが行われているという。 そこでITジャーナリストの西田宗千佳氏に、今回のようなiPhoneの値上げが今後も行われる可能性についてや、値上げを受けてiPhoneユーザーがAndroidに乗り換える可能性があるのかなどについて聞いた。 過去に前例がない振り幅の激しい円安で、高騰が続くiPhone まず今回の値上げで、各機種がどれくらい値上がりしたのか。 「昨年発売されたばかりのiPhone13(12
エンタメ 【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第2回 映像配信に吹く逆風。「Netflixの会員減少」から見える現状 映像配信には逆風が吹いている、と言われる。 それを象徴するのは、Netflixが「2023年前半に広告モデルを一部の国から導入する」と発表したことだろう。 Netflixは2022年度に入り、2期続けて会員数が減少した。先日発表された第2四半期決算は、予想の半分ほどである97万人の減少で済んだものの、2021年度までの「右肩上がり」とは様相が異なっている。なぜそうなったのか? 映像配信自体になにが起きているのか? 改めて解説してみよう。 ユーザー数横ばいの時代に入ったNetflix 前述のように、Netflixの会員数は今年に入って減少した。 それでも全世界で2億2,000万人以上という有料会員数は他社を圧倒しており、世界最大の事業者であることに変わりはない。といっても、右
Vol.119-1 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、キーワードを入れるだけで高精細なイラストが描けるAIサービス。画家やイラストレーターの仕事を奪ってしまうのだろうか。 ↑デビッド・ホルツ氏が開発した画像生成AIサービス「Midjourney」。Discord上でAIにどのような絵を描いてほしいかをキーワード、または文章で指示すると数分で非常に高精度な絵を生成することができる。トライアル版は25枚までの画像生成が無料で、有料版は月額10ドルから利用が可能 絵を描く概念が変わる2つのAIサービス2022年の夏は「精緻な絵を描くAI」の話題が急速に盛り上がった。 火付け役となったのが、7月にベータ版が公開された「Midjourney」であるのは間違いない。Midjourneyは、英語で命令を与えて絵を描かせる。日本人から見れば、英
打ち間違い・変換ミスのことを「typo」ということがある。 ビートルズ最後の新曲「Now And Then」はどのように現代に復活したか。公式ドキュメンタリーで分かったAIの貢献(CloseBox) typoは英語でタイプミスを示す俗語で、typeのeをoと打ち間違う……という話に由来する。冷静にキー配列を考えるとeとoはあんまり打ち間違えないようにも思うが、それはそれとして、だ。 ライターの仕事はtypoとの戦いだ。 理由はいくつかある。 ・本来間違えていてはいけない ・文書の生産量が多いのでtypo混入の可能性もその分上がる ・スピードが必要なのでtypoしやすさも上がる ・その割にうっかりしがち 書籍などのように何回も、複数人の手を経るものならtypoは減らしやすいのだが、日々の作業だとtypoをゼロにするのは難しい。 というわけで今回は、typoを減らすツールとして登場した「Typ
Vol.120-4 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新型iPhone。メイン機能ともいえる「緊急通報機能」搭載の背景を探る。 ↑iPhone 14シリーズ。11万9800円~。スタンダードなiPhone 14は、5年ぶりに6.7インチの大画面モデルのiPhone 14 Plusが登場。iPhone 14 Proは高速のA16 Bionicチップを搭載し、メインカメラが4800万画素に向上した。どちらも緊急時に指定連絡先に自動で通話する、衝突事故検出機能を搭載している iPhone 14シリーズの隠れたメイン機能は「緊急通報機能」だ。自動車事故を前提とした「衝突事故検出」機能と、衛星への直接通信を使った緊急通報機能が搭載されている。 「でも、衛星を使う機能はアメリカとカナダだけで使えるんでしょう?」 それはその通り。2つの国は国土
映像配信には逆風が吹いている、と言われる。 それを象徴するのは、Netflixが「2023年前半に広告モデルを一部の国から導入する」と発表したことだろう。 Netflixは2022年度に入り、2期続けて会員数が減少した。先日発表された第2四半期決算は、予想の半分ほどである97万人の減少で済んだものの、2021年度までの「右肩上がり」とは様相が異なっている。 なぜそうなったのか? 映像配信自体になにが起きているのか? 改めて解説してみよう。 ■ユーザー数横ばいの時代に入ったNetflix 前述のように、Netflixの会員数は今年に入って減少した。 それでも全世界で2億2,000万人以上、という有料会員数は他社を圧倒しており、世界最大の事業者であることに変わりはない。といっても、右肩上がりでずっと続いてきた同社のビジネスが、変化の時を迎えているのは間違いない。 2016年以降の同社のユーザー
Amazonは、オーディオやビデオ系のハードとサービスの拡充を進めている。10月末日には「Fire TV Cube」の第3世代、および「Echo Studio」の新色グレーシャーホワイトを発売した。 さらに11月1日からは、シャッフル再生に限るものの、プライム会員特典となるAmazon Musicの再生可能楽曲数が「1億曲」に拡大した。 これらは一体、どういった意味を持つのか。実際にFire TV Cubeを触りながら考えてみた。 日本でもシェアが大きな「Amazon Prime Video」 日本でもっともシェアの大きな映像配信サービスはなにか? Amazonは自身で契約者数を発表していないものの、外部機関の複数の調査によると、有料配信でのトップシェアは「Amazon Prime Video」であることは間違いない。しかも他社に対して、かなり大きな差をつけてのトップとみられる。 世界的に
【西田宗千佳連載】Google Bardは意外と地味、マイクロソフトとの戦いは「ビジネスツール」で本格化か Vol.125-4 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはマイクロソフトが発表した検索エンジン「Bing」の進化。ライバルとなるGoogle Bardの性質や、今後マイクロソフトとGoogleはどこで戦うかを解説する。 ↑Googleが発表したチャット型AIのBard Googleの開発した「Bard」は、同社の大規模言語モデル「LaMDA」をベースにしている。ただし、マイクロソフトがOpenAIの「GPT-4」を大胆に検索技術へと導入したのに対し、Googleのアプローチは違う。それは、本連載で解説したように、“検索に対しての責任”を重く鑑みてのものだ。 だからBardは、あくまで検索サービスではなく、「ジェネレーティブAIを
Vol.121-2 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは映像配信サービスにおけるAmazonとAppleの覇権争い。そもそも日本とアメリカで映像配信の普及には違いがあることを解説する。 ↑Amazon「Fire TV Cube」(1万9980円)。オクタコアプロセッサーを搭載し、Fire TV Stick 4K Maxの2倍のパワフルさがウリだ。Wi-Fi 6にも対応した。Fire TVシリーズでは初めてHDMI入力端子を搭載し、Fire TV Cubeと接続したブルーレイレコーダーなどを楽しんでいるときも、Alexaのサービスを利用できる 映像配信というビジネス形態は、インターネットがいわゆる「ブロードバンド」と呼ばれるようになり、家庭でも高速回線を使うのが当たり前になった、2000年代にはすでに存在していた。ブロードバンドの普及
日本のゴールデンタイムでも動画配信は無視できない さて、海外の事情はよくわかったということで、ここからは日本の事情を少し考えてみたいと思います。これについては、NHKの文化研究所が出しているデータを見ながら話すのがベストかなと。2021年の「メディア利用の生活時間調査」をまとめたインタラクティブなグラフが非常によくできています。 日曜のゴールデンタイム、19時台に20代の男性・女性がどんなメディアに接触しているかというのをグラフにしたものです。 これ、実は時間を変えるとインタラクティブに変わるので、皆さんもご自身でいろいろ見ていただきたいなと思うんですけれども……ポイントは、日曜のゴールデンタイムという、テレビを一番見ている時間帯に、男性の場合はリアルタイムでの放送が10%、それに対して動画配信が4.2%あるということですね。 さらには、同時にスマートフォンが利用されていて、スマートフォン
いまや「パッケージング」も過剰なものは認められなくなってきた。環境負荷を減らし、サステナビリティを高めていくことに反対する人は少ないはずだ。 気がついてみると、すでに多くの製品でパッケージングが変わりつつある。今回は、その辺の事情について、少し考えてみよう。 トレンドを作ったiPhoneも「脱プラ」 商品において、パッケージは必要なものだ。パッケージされていないと配送も在庫もできず、商品が傷んでしまう。それだけでなく、消費者にとっては「パッケージ」そのものの美しさや面白さも、商品のうちである。 実際、iPhoneが出てきた時には、白く美しい化粧箱のパッケージも驚きであったように思う。なぜなら、携帯電話のパッケージは比較的簡素なものが多かったからだ。いまや、小さなデジタルガジェットのパッケージは「化粧箱スタイル」が主流であり、いかにアップルの影響力が大きかったかがわかる。 ちなみに現在は、E
Vol.126-2 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは歴史的なPCである「X68000」の復活。こうしたレトロハードの復活が増えた背景を探る。 ↑「X68000 Z LIMITED EDITION」(4万9500円)。ホビー用PCとして初の16ビットMPU搭載、6万5536色同時発色のグラフィック機能など、当時としては画期的なスペックのマシンが復活。初代と比較してサイズは2分の1以下、質量は10分の1以下とコンパクトだが、細部まで忠実に再現されている。現在販売受付は終了している 近年、1970年代から1990年代前半までのパソコンやゲーム機を復刻する動きが目立つ。最大の理由は、その年代に育った人々が懐に余裕がある年代になってきて、売れる可能性が高いという点だろう。 だが、理由はそれだけでなはない。 大きいのは、安価なSoCでも性能
Vol.82-3 ソニーの「WF-1000XM3」ヒットの理由のひとつは、ノイズキャンセル機能が優秀であることだ。 同社のノイズキャンセルヘッドホンはいくつか種類があるが、フラッグシップシリーズは「1000X」の型番がついている。特にヘッドバンド型の「WH-1000XM3」は、3万5000円前後と比較的高価な製品なのだが、ノイズキャンセル性能の高さと音質の良さから、この種の製品のなかでも特に評価が高い。BOSEのフラッグシップ製品である「QuietComfort 35」シリーズと並び、ノイズキャンセルヘッドホンの代名詞といっていいだろう。 WF-1000XM3は、WH-1000XM3と同様に「1000X」の一角を担う存在で、WH-1000XM3ほどとは言わないものの、完全ワイヤレス型でありながらそれに近いノイズキャンセル性能を実現している。 ならば同じハードウエアを使っているのか……という
Vol.118-1 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはFacebook改めMetaが手がけるVRヘッドセット「Meta Quest 2」の価格引き上げ。この改定にはどんな思惑があるのか。 ↑Meta Quest 2。実売価格5万9400円(128GB)から。Meta社が買収したことにより、それまでのOculus Quest 2から名称を変更したVRヘッドセット。完全ワイヤレスによる操作が可能で、ゲームやフィットネスで展開されるVR空間、さらに昨今注目されているメタバース空間での移動もより自由度を増すデバイスとなっている 円安だけが背景ではない全世界での価格改定Metaは同社のVR対応ヘッドセット「Meta Quest 2」を、8月1日から値上げした。理由は材料費・製造コストの高騰と円安だ。 円安による値上げはアップルがiPhone
「パンツァードラグーンVoyage Record」誕生秘話。一人の若者はいかにして会社を作り,「自らパンツァードラグーンを売る」ことになったのか 今年3月に発表された「パンツァードラグーンVoyage Record(仮題)」は,個人デベロッパがセガからライセンスを取得し,開発を進めている新作だ。「パンツァードラグーン」に魅せられた若いゲーマーが開発者となり,いかに普通ではあり得ないことを成そうとしているのか。その経緯を探ってみよう。 [2020/05/09 00:00] 「Google Home」や「Amazon Echo」はゲームでも使えるもの? ゲーマーも知っておきたい「スマートスピーカー」の今とこれから 最近,「Google Home」という製品の広告やニュースを目にしたことはないだろうか。これは,音声認識技術を利用した「スマートスピーカー」という製品で,米国で急速に普及しているもの
Vol.125-1 本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはマイクロソフトが発表した検索エンジン「Bing」の進化。これまでの手法を大きく変えるチャット検索の可能性は何か。 ↑マイクロソフト「Bing」(無料)。新しいBingはChatGPTよりも強力で、検索専用にカスタマイズされた次世代のOpenAIによる大規模言語モデルで稼働する。単なる答えだけでなく、メールの下書き、旅行の行程表の作成、トリビア用のクイズ作成など、自分に代わってコンテンツを作成する機能も有している AIを検索に用いて素早く的確な答えを導くAIを使った検索サービスが、急速に注目を集めている。 きっかけは、2022年11月に公開された「ChatGPT」だろう。チャットで語りかければあらゆる質問に“回答してくれる”ように見えたことから、ネット検索代わりに使えるのでは……
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