正直に告白すると、私は本を読まない高校生だった。いや、中学生のころも小学生のころも、読まなかった。 そもそも高校2年の秋まで美大進学をかなり本気で考えていたので、活字の本などむしろ邪魔だくらいに思っていた。そんな人間が今図書館で働いているのだから、世の中はわからない。 (余談だが、なので子どもの頃の思い出の本が、私にはない。絵本とか小説とか好きな作品を熱っぽく語る同僚に会うと、恨めしそうな羨望のような目で反射的に見てしまう癖が今も抜けない) それでも難しくてもとにかく本を読まないとまずいらしい、とおぼろげに思ったのは、大学進学が決まってからである。絶対に落ちた、と思ったのに受かったので、何か少しでも勉強らしい勉強をしておかないと恥ずかしいと思ったのだ。 そこからの記憶が定かでないのだが、多分、高校の担任にこれから何を読むべきか聴きにいったのだろう。 それで以下の本を買ってきた。 自分のなか