私がまだ小さかった頃の話だが、父親が「バーター・クラブ」――会員同士で物々交換(バーター)をし合う団体――に所属していた。父親は、商工会議所向けに販売している雑誌を作っていたが、その雑誌に広告を載せるのと引き換えに、レストランで無料で食事にありついていた。そのネットワークは州全域に張り巡らされていて、クラブの会員の間で通用するクーポン券や約束証書(商品との交換を約束する証書)も発行されていた。(ジャージー牛ならぬ)ジャージー・ボーイだった私は、父親と一緒に仔牛肉のピカタを無料で何度もご馳走になったものだ。 バーター・クラブは、デフレになるとその数が増える傾向にある。1930年代の大恐慌期にもかなり目立った存在だったし、2001~2002年の金融危機後のアルゼンチンでも蔓延(はびこ)った。 バーター・クラブが結成されるのは、なぜなのだろうか? 少なくとも3つの理由が頭に浮かぶ。 節税になるか