「運慶の如来像発見」。 今年3月13日の読売新聞朝刊は一面カラーで、この大日如来像の発見を報じた。 前日に取材をうけた当人であり、記事の内容を前夜遅くに聞いていたわたしも、駅の売店でもすぐに目にはいる金色の仏身の写真に心がおどった。 同日の朝刊では、朝日新聞にも記事が掲載され、夕刊以降は他紙にも後追い記事がつづいた。 後に聞いたところでは、新幹線車内の電光ニュースにも流れたという。 東京国立博物館で像の公開がはじまった4月6日にはNHKテレビのニュースでも放映された。 「運慶」という名前の大きさに、あらためて驚くばかりであった。 この大日如来像を所蔵する個人から照会の書状を頂戴したのは昨年7月だった。 同封の写真から、わたしが16年前の論文で運慶作品として評価した、栃木県足利市の光得寺[こうとくじ]大日如来像によく似た像容であることがわかっていたが、9月後半に所蔵者のお宅にうかがっ