夫婦が11月に提出する予定の離婚届(手前)。不測の事態に備えて、国内ですぐ法律婚に戻れるように婚姻届もすべて記入して一緒に保管している=東京都内で10月、椋田佳代撮影(画像の一部を加工しています) 「別姓になる選択肢があれば……」 研究者として働く30代の女性は10月上旬、東京都内の自宅で、記入済みの離婚届を前に表情を曇らせた。2年前に結婚し戸籍上は夫の姓となったが、海外で仕事を続けるため、近く法律婚から事実婚に移る「ペーパー離婚」をする。手続き後も夫婦の関係は変わらないが、書類の「離婚」の2文字を見ると胸が痛む。 【データで見る2021衆院選】 「差別的」3度の是正勧告も動き鈍く 女性は結婚後も日常生活では通称として旧姓を名乗ってきた。今年9月、会社員の夫が年内に海外赴任することが決まった。女性も時間を置いて渡航し、現地で就職することを考えたが、検討を始めると大きな壁に直面した。 研究職