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WEB本の雑誌に関するエントリは41件あります。 bookSF などが関連タグです。 人気エントリには 『【訃報】目黒考二 逝去のお知らせ - 本の雑誌特派員|WEB本の雑誌』などがあります。
  • 【訃報】目黒考二 逝去のお知らせ - 本の雑誌特派員|WEB本の雑誌

    「本の雑誌」創刊者で弊社前社長の目黒考二(めぐろこうじ)が、2023年1月19日10時、肺がんのため永眠しました。享年76歳。みなさまには生前のご厚誼に心から感謝いたしますとともに、ここに謹んでお報せ申し上げます。 葬儀は近親者のみにて家族葬として執り行います。誠に勝手ながら、御香典、御供花、御供物の儀はご辞退申し上げますことをご了承ください。後日、お別れの会を執り行う予定です。 目黒考二は本名のほか、文芸評論家・北上次郎、競馬エッセイスト・藤代三郎の名でも幅広い執筆活動を続け、エンターテインメント書評という新しい分野を確立しました。社員一同、故人の遺志を継ぎ、「本の雑誌」をみなさまからより愛読される雑誌にしていく所存です。 なお、大変恐縮ではございますが、ご遺族および椎名誠氏へのお問い合わせや取材につきましては差し控えてくださいますよう、何卒ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます

    • 【今週はこれを読め! SF編】地球と人間についての脅威と希望~日本SF作家クラブ編『地球へのSF』 - 牧眞司|WEB本の雑誌

      『ポストコロナのSF』『2084年のSF』『AIとSF』につづく、日本SF作家クラブ編の書き下ろしアンソロジー第4弾。先行する三冊にくらべ、『地球へのSF』という括りかたは曖昧だが、そのぶん多彩な作品が集まったとも言える。「まえがき」で同クラブ会長の大澤博隆さんは、〔そもそも「地球」をテーマに視線を飛ばせること自体が、SFの特技ではある〕と述べている。全二十二篇。 ディストピア的状況を描いた作品では、上田早夕里「地球をめぐる祖母の回想、あるいは遺言」が出色の出来。テラフォーミング途上の火星において、入植第一世代の祖母と火星生まれの孫との会話によって、地球が精神の自由を喪失した経緯が明かされる。それはいまの日本を蝕む格差・棄民・監視・情報統制の行きつく先にほかならない。火星に逃れたひとびとにも、その圧政の波がおよぼうとしている。この作品が扱っているものは、先週紹介したジョナサン・ストラーン編

        【今週はこれを読め! SF編】地球と人間についての脅威と希望~日本SF作家クラブ編『地球へのSF』 - 牧眞司|WEB本の雑誌
      • 第169回芥川賞受賞予想。マライ「市川沙央『ハンチバック』が凄すぎる、有り金全部!」杉江「乗代雄介『それは誠』と『ハンチバック』が同率」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌

        第169回芥川賞受賞予想。マライ「市川沙央『ハンチバック』が凄すぎる、有り金全部!」杉江「乗代雄介『それは誠』と『ハンチバック』が同率」 今回からWEB本の雑誌にお世話になって、芥川・直木賞予想対談をすることになりました。どうぞよろしく。〈職業はドイツ人〉マライ・メントラインと〈書評から浪曲まで〉杉江松恋のチームM&Mが7月19日に選考会が行われる第169回芥川・直木賞を語り倒しますよ。 では、芥川賞候補作をじっくり語ります(選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一)。直木賞編はコチラ。 ■第169回芥川龍之介賞候補作 石田夏穂「我が手の太陽」(「群像」2023年5月号 )2回目 市川沙央「ハンチバック」(「文學界」2023年5月号 )初 児玉雨子「##NAME##」(「文藝」2023年夏季号)初 千葉雅也「エレクトリック」(「新

          第169回芥川賞受賞予想。マライ「市川沙央『ハンチバック』が凄すぎる、有り金全部!」杉江「乗代雄介『それは誠』と『ハンチバック』が同率」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌
        • 【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー『2010年代海外SF傑作選』 - 牧眞司|WEB本の雑誌

          『2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)』 ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン,橋本 輝幸 早川書房 1,276円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。 2010年代SFのトップランナーをひとりあげるならまちがいなくテッド・チャンだが、このアンソロジーは「ソフトウェア・オブジ

            【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー『2010年代海外SF傑作選』 - 牧眞司|WEB本の雑誌
          • 第10回 セカイ終末戦争「SF思春期人間VS思春期SF」 - SF音痴が行くSF古典宇宙の旅  SF幼年期再読篇|WEB本の雑誌

            古典SFを読み始めて3年が過ぎ、「SF的自我の目覚め」を迎えた高野秀行が、かつて読んでいたSF名作の再読に挑む。 思春期は人間にとって最も厄介な時期である。自意識がMAXまで膨れあがり、「世界とは何か」とか「××とはこうあるべき」みたいな壮大なテーマを語りたがる。世界の裏には普通の人たちが気づかない真実が潜んでいてなぜか自分(を含む一部の人間)だけがそれを知っていると思いたがる。そして、思春期はどのジャンルにも存在する。 私もこの連載を始めてもう4年、そろそろSF幼年期が終わり、SF思春期に差し掛かってきた気がする。人生的にいえば中学二年生レベルだ。その証拠に最近「SFとは何か?」とか「この小説は果たしてSFなのか?」とか「この作品の裏には別の解釈があるのでは?」なんてことばかり考えてしまう。どう見ても私ごときのSF読書歴ではそんなことを語る資格も能力もないのに。私がSFの定義や古典SF作

              第10回 セカイ終末戦争「SF思春期人間VS思春期SF」 - SF音痴が行くSF古典宇宙の旅  SF幼年期再読篇|WEB本の雑誌
            • 【今週はこれを読め! SF編】歴史改変戦争。時間の家父長制をいかにくつがえすか。 - 牧眞司|WEB本の雑誌

              『タイムラインの殺人者 (ハヤカワ文庫SF)』 アナリー・ニューイッツ,幹 遙子 早川書房 1,386円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ジャック・ウィリアムスン『航時軍団』以来、あるべき未来を賭して、排反的なふたつの勢力が抗争する展開のSFはいくつも書かれてきた。もっとも有名なのは、フリッツ・ライバー《改変戦争(チェンジ・ウォー)》シリーズだろう。長篇『ビッグ・タイム』といくつかの短篇が邦訳されている。 『タイムラインの殺人者』は、フェミニズム版の改変戦争だ。さしあたり主人公たちが属している時間線は、二十一世紀に至るまで(おそらくそれ以降もずっと)アメリカで人工妊娠中絶が違法とされている世界である。 この状況のなかで、女性とノンバイナリー(男/女の区分にあてはまらない性自認を持つひと)の権利確保を目ざす結社〈ハリエットの娘たち〉が

                【今週はこれを読め! SF編】歴史改変戦争。時間の家父長制をいかにくつがえすか。 - 牧眞司|WEB本の雑誌
              • 作家の読書道 第226回:酉島伝法さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう? そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。 作家の読書道 第226回:酉島伝法さん 2011年に「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞、造語を駆使した文章と自筆のイラストで作り上げた異形の世界観で読者を圧倒した酉島伝法さん。2013年に作品集『皆勤の徒』、2019年に第一長編『宿借りの星』で日本SF大賞を受賞した酉島さんは、もともとイラストレーター&デザイナー。幼い頃からの読書生活、そして小説を書き始めたきっかけとは? リモートでお話をおうかがいしました。 ――いちばん古い読書の記憶から教えてください。 酉島:寝る時に母親が読み聞かせてくれたことだと思います。最初の頃は普通に絵本や童話だったと思うんですが、ある時なぜか、上温湯隆の『サハラに死す』を読んでくれたんですよ。サハラ砂漠を渡ろうとして行方不明

                  作家の読書道 第226回:酉島伝法さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
                • 【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                  『ラヴクラフトの怪物たち 上』 エレン ダトロウ,植草 昌実 新紀元社 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『ラヴクラフトの怪物たち 下』 エレン・ダトロウ,植草 昌実 新紀元社 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。 本書の編者エレン・ダトロウは慧眼の編集者だけに(一九八〇年代半ばのサイバーパンクの隆盛も彼女の

                    【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                  • 作家の読書道 第239回:岸政彦さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                    『星の王子さま (角川文庫)』 サン・テグジュペリ,管 啓次郎 角川書店(角川グループパブリッシング) 528円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)』 ふるた たるひ,たばた せいいち 童心社 1,430円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『大どろぼうホッツェンプロッツ―ドイツのゆかいな童話 (新・世界の子どもの本 1)』 オトフリート=プロイスラー,トリップ,中村 浩三 偕成社 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ――幼い頃の読書の記憶を教えてください。 岸:昭和の家ってよく、誰も弾きもしないアップライトピアノや、誰も見もしない百科事典があったんですよね。うちも

                      作家の読書道 第239回:岸政彦さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
                    • 伝法作品集からアンソロジーまで日本SF短編夏祭りだ! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌

                      『オクトローグ 酉島伝法作品集成』 酉島 伝法 早川書房 2,530円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)』 伴名 練,れおえん 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-2)』 伴名 練,れおえん 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『枝角の冠 第3回ゲンロンSF新人賞受賞作 ゲンロンSF文庫 (株式会社ゲンロン)』 琴柱 遥,大森 望 株式会社ゲンロン 商品を購入する Amazon 『推しの三原則 第3回ゲンロンSF新人賞大森望賞受賞作

                        伝法作品集からアンソロジーまで日本SF短編夏祭りだ! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌
                      • 作家の読書道 第261回: 宮島未奈さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                        『こちら葛飾区亀有公園前派出所 1 (ジャンプコミックス)』 秋本 治 集英社 484円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『フリテンくん(1) (バンブーコミックス 4コマセレクション)』 植田まさし 竹書房 商品を購入する Amazon 『BE-BOP-HIGHSCHOOL(1) (ヤングマガジンコミックス)』 きうちかずひろ 講談社 商品を購入する Amazon 『こどものおもちゃ 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)』 小花美穂 集英社 商品を購入する Amazon 『成瀬は信じた道をいく』 宮島 未奈 新潮社 1,760円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ――いちばん古い読書の記憶を教えてください。 宮島:幼稚園で毎月絵本を何冊か選んで注文できたので、買っ

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                        • 人文的、あまりに人文的 - 本の雑誌社の最新刊|WEB本の雑誌

                          やわらかな対話が提案するのは考えるたのしさ、意見交換のおもしろさ。しあわせとは? 哲学とは? 人文学とは? 人文的思考がぐんと身近になるブックガイド。 俎上に載せた40冊からあれやこれやと対話がはずむ、〈山本くん〉と〈吉川くん〉の読書会。古代文明からエピクテトス、モンテーニュ、カント、フーコー、千葉雅也、加藤陽子、読書猿、神経科学、多元宇宙論まで、新旧の基本図書を総ざらい。「ゲンロンβ」(ゲンロン)の人気連載を書籍化。 初心者歓迎。人文的読書会へようこそ! 【著者略歴】 山本 貴光 やまもと たかみつ 1971年生まれ。文筆家、ゲーム作家。慶應義塾大学環境情報学部卒業。著書に『コンピュータのひみつ』(朝日出版社)『文体の科学』(新潮社)『「百学連環」を読む』(三省堂)『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)『マルジナリアでつかまえて』(本の雑誌社)『記憶のデザイン』(筑摩書房)など。 吉川 浩

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                          • 作家の読書道 第231回:佐藤究さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                            『テスカトリポカ』 佐藤 究 KADOKAWA 2,310円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『宇宙からきたかんづめ』 佐藤 さとる,順, 岡本 ゴブリン書房 1,430円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1 (講談社青い鳥文庫 18-1)』 佐藤 さとる,村上 勉 講談社 748円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『キン肉マン 1 (ジャンプコミックス)』 ゆでたまご 集英社 484円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『北斗の拳 1巻』 武論尊,原哲夫 コアミックス 商品を購入する Amazon 『キャプテン翼 1

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                            • 作家の読書道 第244回:小川哲さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                              『エルマーとりゅう (世界傑作童話シリーズ)』 ルース・スタイルス・ガネット,ルース・クリスマン・ガネット,わたなべ しげお,子どもの本研究会 福音館書店 1,320円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『21世紀こども百科 科学館』 山田 卓三,小暮 陽三 小学館 7,187円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)』 アガサ クリスティー,Christie,Agatha,詩津子, 羽田 早川書房 902円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『オリエント急行殺人事件 (講談社青い鳥文庫)』 アガサ クリスティ,高松 啓二,花上 かつみ 講談社 902円(税込) 商品を購入する

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                              • 作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                                『ベルサイユのばら 全5巻セット 化粧箱入り (集英社文庫(コミック版))』 池田 理代子 集英社 4,290円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『リングにかけろ1 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)』 車田正美 集英社 商品を購入する Amazon ――いちばん古い読書の記憶を教えてください。 凪良:小さい頃から漫画が大好きでした。親も「気がつくと漫画を読んでいた」と言っているので、たぶん、いちばん古い読書というと漫画だと思います。もともと漫画家志望だったんです。 ――そうだったんですか。それは家に漫画があったということでしょうか。 凪良:姉が2人いて、それぞれが雑誌も買ってくるし、図書館でも借りてくるしで、そういうものを読ませてもらっていたんだと思います。一番上の姉は少女漫画などの女性向けの漫画が好きで、二番目の姉が少年漫

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                                • 今年のSF短篇集ベストワン候補 フォード『最後の三角形』がいいぞ! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌

                                  『最後の三角形: ジェフリー・フォード短篇傑作選 (海外文学セレクション)』 ジェフリー・フォード,谷垣 暁美 東京創元社 3,850円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『書架の探偵、貸出中 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5061)』 ジーン・ウルフ,大谷 真弓 早川書房 2,420円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『コスタ・コンコルディア 工作艦明石の孤独・外伝 (ハヤカワ文庫JA JAハ 5-21)』 林 譲治 早川書房 1,188円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『私は命の縷々々々々々 (星海社FICTIONS)』 青島 もうじき,シライシ ユウコ 星海社 1,485円(税込) 商品を購入する Amazon

                                    今年のSF短篇集ベストワン候補 フォード『最後の三角形』がいいぞ! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌
                                  • 【今週はこれを読め! SF編】機械論的な時間ループではなく、記憶と歴史の物語 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                    『ライフ・アフター・ライフ (海外文学セレクション)』 ケイト・アトキンソン,青木 純子 東京創元社 3,960円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto これは、ひとりの女性の人生、第二次大戦を挟んだ激動の歴史、そして、なにより「記憶の物語」だ。外形的には時間ループSFとも言えるが、そう称されるおおよその小説が依拠している機械論的時間観とは一線を画す。 冒頭の一章が印象的だ。1930年11月、ドイツのカフェに入ってきた女が、ひとりの男を銃撃する。いささかの躊躇もなしに。撃つときに「フューラー」と呼びかけて。 女の名前はアーシュラ。 次の章は一転して、1910年2月11日。女の赤ん坊の誕生シーンだ。悲しいことに、この子は臍の緒が首に巻きついて死ぬ。 つづく章で、ふたたび1910年2月11日の、同じ場面が繰り返される。しかし、今度は、無事に生

                                      【今週はこれを読め! SF編】機械論的な時間ループではなく、記憶と歴史の物語 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                    • 古書往来座 1/2 - 東京の古本屋|WEB本の雑誌

                                      筆者が数日間、各店に密着し、古本屋の仕事を記録する古本屋の仕事日記。有名どころから街場の店まで、1カ月に1軒、1年間をかけて東京の古本屋12軒の風景をたどります。 「古書往来座」は、池袋駅東口を出て、明治通りを南へ10分ほど歩いたところにある。住所で言えば南池袋だが、副都心線の雑司が谷駅も徒歩6分の距離で、近くには鬼子母神堂もある。30坪ほどの店内には日本文学、海外文学、思想、映画、演劇、音楽、自然科学など幅広い棚が並んでいる。本だけでなく、壊れたタイプライターや秤、大正琴なども陳列されている。 代表を務める瀬戸雄史さんは1975年生まれ。1995年、「古本大學」(芸術劇場店)でアルバイトを始める。「古本大學」は、吉澤隆社長が創業した古本屋で、東京芸術劇場の店舗の他に、明大前店や経堂店があった。「古本大學」を引き継ぐ形で、2002年に独立。2004年に現在の場所に移転し、「古書往来座」を創

                                      • 【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                        『私たち異者は』 スティーヴン・ミルハウザー,柴田 元幸 白水社 2,800円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto スティーヴン・ミルハウザーの言葉は、ささやかな、しかし鮮やかな魔法のように、読み手の世界を変えていく。『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『ナイフ投げ師』『十三の物語』といった短篇集に収められた諸篇を読むとき、ぼくの脳裡に浮かぶのは、十八世紀スイスの時計職人が生みだした精妙な機械細工だ。小さな空間に驚異と憧憬が詰まっている。 しかし、こんかい邦訳された『私たち異者は』は、そうしたミルハウザーのイメージを少し変えるものだった。言葉を自在に操る手つきはまちがいなくミルハウザーだが、扱う題材や手法においてこれまでと違ったことを試み、作品の手ざわりも一篇一篇違ったものになっている。全般的にいえるのは、日常的な匂いが強

                                          【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                        • 【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』 - 松井ゆかり|WEB本の雑誌

                                          【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』 文=松井ゆかり 現在最も書店員から熱く支持される作家のひとりである凪良ゆうの新作。...というのが誇張でもなんでもないことを、私は先日実感した。それは先週1月31日の夜、東京・渋谷の大盛堂書店で行われたイベント「渋谷の書店員3人による2019年下半期文芸書ベスト3と、小説家・凪良ゆうさんについて語る。」でのこと。2時間ほどのイベントの後半部分を費やし、大盛堂書店店長をはじめとする渋谷にある書店3店の書店員+『流浪の月』『わたしの美しい庭』それぞれの出版社の編集・営業担当者が登壇され、凪良作品の魅力が余すところなく語られた。実はイベントの冒頭から客席の後方にひっそりと座っておられた凪良さんご本人が、最後の最後にサプライズゲストとして登場されるといううれしい趣向も。もし私が作家で、自分の作品

                                            【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』 - 松井ゆかり|WEB本の雑誌
                                          • 【今週はこれを読め! SF編】現実認識のテーマから、目くるめく神怪小説へ発展 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                            『ヴィンダウス・エンジン (ハヤカワ文庫JA)』 十三 不塔,鈴木 康士 早川書房 1,078円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作(前回紹介した竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』と同時受賞)。 韓国の青年キム・テフンは、視覚に異常をきたす奇病ヴィンダウス症を患い、運動していないものが一切見えなくなる。人間の眼球は細かく揺れ、対象物に相対的な動きを与えているが、ヴィンダウス症はその眼球微動が阻害される。目には映っていても脳が認識しないのだ。罹患する前と後で、現実がまるっきり変わってしまう。そして、病状が進行すると、自我が崩壊する。 しかし、キムは独自の精神統御によって寛解状態に到達する。この時点でヴィンダウス症患者は世界中に70人ほどいたが、寛解に至ったのはキムともうひとり

                                              【今週はこれを読め! SF編】現実認識のテーマから、目くるめく神怪小説へ発展 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                            • 今年度翻訳SFベストワン有力候補『ロボットの夢の都市』登場! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌

                                              『ロボットの夢の都市 (創元海外SF叢書)』 ラヴィ・ティドハー,茂木 健 東京創元社 2,640円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『知能侵蝕 1 (ハヤカワ文庫JA)』 林 譲治 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『ミノタウロス現象』 潮谷 験 KADOKAWA 2,145円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『国歌を作った男』 宮内 悠介 講談社 1,980円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『東京都同情塔』 九段 理江 新潮社 1,870円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『め

                                                今年度翻訳SFベストワン有力候補『ロボットの夢の都市』登場! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌
                                              • 作家の読書道 第212回:呉勝浩さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                                                『ダルタニャン物語〈第1巻〉友を選ばば三銃士 (fukkan.com)』 A. デュマ,Dumas,Alexandre,力衛, 鈴木 復刊ドットコム 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)』 有栖川 有栖 東京創元社 814円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』 有栖川 有栖 東京創元社 880円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ――一番古い読書の記憶を教えてください。 呉:おそらくですね、小学校の低学年くらいの頃、学校の図書室で『三銃士』とかを拾い読みしてたんですよ。通読はできていないはずです。 ――ああ、『ダル

                                                  作家の読書道 第212回:呉勝浩さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
                                                • 作家の読書道 第211回:又吉直樹さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                                                  『ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)』 なかがわ りえこ,おおむら ゆりこ 福音館書店 990円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『いやいやえん (福音館創作童話シリーズ)』 中川 李枝子,子どもの本研究会,大村 百合子 福音館書店 1,430円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『図書室』 政彦, 岸 新潮社 1,760円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)』 ふるた たるひ,たばた せいいち 童心社 1,430円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)』 新美

                                                    作家の読書道 第211回:又吉直樹さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
                                                  • 本を売る技術 - 本の雑誌社の最新刊|WEB本の雑誌

                                                    なぜ売れる本を左端に積むのか 本を売る人はもちろん買う人が読んでも面白い、ますます本屋が好きになる書店員の知恵と工夫。WEB本の雑誌の大人気連載が大幅な書き下ろしと補講を加え、待望の書籍化! 本屋の仕事にはすべて道理がある。 これまでマニュアル化不可能、口承・口伝、見て盗む、あるいは独学で行なわれてきた書店員の多岐にわたる仕事が、今はじめて具体的・論理的に語られる。取引や流通のことから、売場づくり、平積みの仕方、平台の考え方、掃除やPOPの付け方にいたるまで、1冊でも多くの本を売るための技術と考察。 □四六判並製 □240ページ 【著者プロフィール】 1980年芳林堂書店入社、池袋本店の理工書担当として書店員をスタート。3年後、新所沢店新規開店の求人に応募してパルコブックセンターに転職、新所沢店、吉祥寺店を経て、93年渋谷店に開店から勤務。2000年、渋谷店店長のときにリブロと統合があり、

                                                      本を売る技術 - 本の雑誌社の最新刊|WEB本の雑誌
                                                    • 第169回直木賞受賞予想。杉江「消去法で永井紗耶子『木挽町のあだ討ち」」マライ「脳内で絶叫が谺するような超快作は無かったかも」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌

                                                      第169回直木賞受賞予想。杉江「消去法で永井紗耶子『木挽町のあだ討ち」」マライ「脳内で絶叫が谺するような超快作は無かったかも」 今回からWEB本の雑誌にお世話になって、芥川・直木賞予想対談をすることになりました。どうぞよろしく。〈職業はドイツ人〉マライ・メントラインと〈書評から浪曲まで〉杉江松恋のチームM&Mが7月19日に選考会が行われる第169回芥川・直木賞を語り倒しますよ。 では、直木賞候補作をじっくり語ります(選考委員は、浅田次郎・伊集院静・角田光代・京極夏彦・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆき)。芥川賞編はコチラ。 ■第169回直木三十五賞候補作 冲方丁『骨灰』(KADOKAWA)3回目 垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)3回目 高野和明『踏切の幽霊』(文藝春秋)2回目 月村了衛『香港警察東京分室』(小学館)初 永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)2回目 杉

                                                        第169回直木賞受賞予想。杉江「消去法で永井紗耶子『木挽町のあだ討ち」」マライ「脳内で絶叫が谺するような超快作は無かったかも」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌
                                                      • 河出文庫「古典新訳コレクション」10月スタート 「日本文学全集」からピックアップ - 新文化|WEB本の雑誌

                                                        河出書房新社は10月、河出文庫で「古典新訳コレクション」の刊行を開始する。「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集(全30巻)」から古典新訳作品をピックアップする。 来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公が紫式部であることから、年内は角田光代訳「源氏物語(1〜3)」など毎月4点ずつ刊行する。 全40巻前後で、2025年に完結する予定。価格は800〜900円程度のものが多くなるという。 7月12日、東京・千代田区の出版クラブビルとオンラインで開催した「企画説明会2023」で発表した。

                                                        • 【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ編の中国アンソロジー第二弾! - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                          『月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』 劉 慈欣,ケン リュウ,牧野 千穂,大森 望,中原 尚哉,大谷 真弓,鳴庭 真人,古沢 嘉通 早川書房 2,420円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『折りたたみ北京』に続く、現代中国SFを紹介するアンソロジー。編者ケン・リュウは「序文」で、こう告げる。 包括的であったり、代表的であったりすることを狙いとした計画は失敗に終わる運命にあり、いわゆるベストの作品を選出するというたいていの方法にわたしは疑念を抱いている。 (略)完璧な作品を選ぶことがいいとはわたしは考えていない----それどころか、一箇所いい点がある作品は、なにも悪くない作品よりもはるかに優れていると考える。 (引用文中の太字で示した箇所は原文では傍点) この方針が素晴らしい。減点法で無難な秀作を選ぶ

                                                            【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ編の中国アンソロジー第二弾! - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                          • 【今週はこれを読め! SF編】恐竜と蟻の互恵的共生と殲滅的戦争~劉慈欣『白亜紀往事』 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                            《三体》シリーズが爆発的にヒットし、名実ともに世界のSFシーンを牽引する存在となった劉慈欣。本書は、彼がブレークする前の2004年に発表された、短めの長篇である。 人類があらわれるより遙か以前に台頭した、二種類の知性のもつれにもつれた運命が描かれる。ひとつは恐竜であり、もうひとつは蟻だ。どちらも単体では知性を文明にまで昇華させる力はなかった。恐竜には器用な前肢がなく、原始的な工具以上のものは操れない。いっぽう、蟻は集団でこそ知性が生じるが、その知性は融通がきかない創造性に欠けるものだった。 しかし、この二種類の知性は、偶然にも互恵的な共生関係を結び、支えあうようにそれぞれの文明をかたちづくっていく。最初は蟻が恐竜の歯を掃除し、恐竜があまった食物を蟻に提供するという程度だったものが、やがて高度な医療、文字による意思疎通、情報の記録、蒸気機関の発明、輸送技術の進歩......と発展。恐竜も蟻も

                                                              【今週はこれを読め! SF編】恐竜と蟻の互恵的共生と殲滅的戦争~劉慈欣『白亜紀往事』 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                            • 【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                              『最終人類 上 (ハヤカワ文庫SF)』 ザック・ジョーダン,中原 尚哉 早川書房 1,078円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『最終人類 下 (ハヤカワ文庫SF)』 ザック・ジョーダン,中原 尚哉 早川書房 1,078円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF) 『最終人類』、原題はThe Last Human。人類最後の生き残りであるサーヤの物語だ。この宇宙には、おびただしい種族が、平凡な知性から超越的知性まで階層化され、物理的・情報的なネットワークによって秩序づけられ、それなりに共存していた。なかには、知能形式が特異な種族、邪悪な種族、剣呑な種族もいる。サーヤの育て親であるシェンヤは勇猛で冷徹な殺し屋ウィドウ類だが、盲目的と言っ

                                                                【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                              • 【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                『茶匠と探偵』 de Bodard,Aliette,ド・ボダール,アリエット,豊, 大島 竹書房 3,190円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto アリエット・ド・ボダールは2006年から作品発表をはじめ、これまでにネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞を受賞し、各種の年刊SF傑作選へも多くの作品が採られている、旬の作家だ。彼女がデビュー直後から書きついでいるシリーズ《シュヤ宇宙》は、コロンブスと同時期に中国人がアメリカ大陸に到着し、独自の植民地文化を発展させた時間線上に展開する、長大なスケールの人類史だ。本書は、同シリーズこれまでに発表された31作品のうちから、9作品を選んで訳出した日本オリジナル短篇集だ。 《シュヤ宇宙》として発表された諸篇はそれぞれが独立していて、舞台となる時代や場所、登場人物の個性・立場もそれぞれ異なっている。本

                                                                  【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                • 『ベルリンうわの空』刊行記念 香山哲が選ぶ 自分をビルドする20冊 - イベント&フェア情報|WEB本の雑誌

                                                                  香山哲さんの魅力を言葉にしようとするとすごく難しい。香山哲という人が生み出す作品の魅力を言葉にするのもまたとても難しいのだが、ややましだ。 『ベルリンうわの空』が刊行される。この本で香山さんを知ることができる読者には、瑞々しい沃野がひらけている。自身が主宰するレーベル、ドグマ出版から多くのすばらしい作品を発表している。あなただけの未知なる読書体験を提供するお宝が必ず見つかるはずだ。 『ベルリンうわの空』はディープな世界の入口にすぎない、と断言する。だけどもとても間口が広くて、快適で親しみやすいエントランス。 滞在先のベルリンで過ごす日常を追体験するのがとても心地よい。大きな目的とか野心があるわけじゃないから考えごとをする時間がたくさんある。それを共有できる感じがとても良いのだ。小さな気づきや発見、日本との違いなどにおもいをめぐらす。自分をとりまく世界の輪郭がくっきりとうかびあがってくる。

                                                                  • 作家の読書道 第222回:武田綾乃さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

                                                                    『白鳥のみずうみ (よい子とママのアニメ絵本 22 せかいめいさくシリーズ)』 ベギチェフ,ゲルツァー,平田 昭吾 ブティック社 419円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『ハリー・ポッターと賢者の石 (1)』 J.K.ローリング,J.K.Rowling,松岡 佑子 静山社 2,090円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『キノの旅 the Beautiful World (電撃文庫)』 時雨沢 恵一,黒星 紅白 KADOKAWA 671円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『め組の大吾(1) (少年サンデーコミックス)』 曽田正人 小学館 商品を購入する Amazon 『シャカリキ! (1) (ビッグコミックスワイド)』

                                                                      作家の読書道 第222回:武田綾乃さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
                                                                    • 【今週はこれを読め! エンタメ編】読書嫌いと本の虫の青春ミステリー〜青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』 - 松井ゆかり|WEB本の雑誌

                                                                      【今週はこれを読め! エンタメ編】読書嫌いと本の虫の青春ミステリー〜青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』 文=松井ゆかり 読書家の登場人物が出てきたり、本にまつわる施設(書店・図書館・学校図書室など)が舞台となったりするような小説、たいていの読書好きの好みのどストライクだろう。本書は図書委員の高校生男子が主人公、同じクラスのもうひとりの委員は本の虫である女子、まさに舞台は整った状態。主人公が本が苦手、というのも何ら興を削ぐものではない。 荒坂浩二は2年6組の図書委員。「部活動、または委員会活動のどちらかに参加しなければいけない」という校則にしたがって、消去法で図書委員を選んだ。しかし、最初の委員会の自己紹介でほぼ全委員が好きな本を難なくあげていく中、「好きな本はありません」と発言し司書の河合先生の目に留まってしまう。「読書をしない荒坂君に、本に興味がない人も手に取ってもらえるような新聞を

                                                                        【今週はこれを読め! エンタメ編】読書嫌いと本の虫の青春ミステリー〜青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』 - 松井ゆかり|WEB本の雑誌
                                                                      • 【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                        ピーター・ワッツ『6600万年の革命』(創元SF文庫) 非常にユニークな設定の閉鎖環境SF。中篇「6600万年の革命」と、その続篇にあたる短篇「ヒッチハイカー」を併録している。どちらも天文物理や航宙理論についてはきっちり書かれているハードSFでもあるが、その部分は本筋とほぼかかわらない、言ってみれば小説の味付け程度である。 物語の舞台は、ワームホールゲート網建設のために延々と銀河を周回する巨大宇宙船〈エリオフォラ〉。通常はチンプと呼ばれるAI(擬似人格を備えている)がオペレーションのすべてを運営しているが、不測の事態に備え三万人の人間が乗り組んでいた。人間はほとんど冷凍睡眠状態にあり、必要に応じて必要な人数だけ覚醒される。そのため、当人の意識は〈エリオフォラ〉出発から十数年なのに、客観時間ではすでに六千万年以上も経過している。ワームホールゲート網建設は果てがなく、〈エリオフォラ〉が地球に帰

                                                                          【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                        • 【今週はこれを読め! SF編】希望の裏返しのファーストコンタクト - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                          『最後の宇宙飛行士 (ハヤカワ文庫SF)』 デイヴィッド・ウェリントン,中原 尚哉 早川書房 1,430円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto NASAの有人火星ミッションが失敗し、宇宙開発がすっかり停滞して二十年。太陽系外から飛来し、地球へと向かうコースをたどる天体2Iが発見される。驚いたことに、慣性での移動ではなく減速をつづけているのだ。ということは異星の恒星船か? 色めきたったNASAはお蔵入りしていた探査用宇宙船オリオン号を打ちあげる。乗組員は四人。ベテラン宇宙飛行士サリー・ジャンセン(彼女が船長)、軍人ウィンザー・ホーキンス、2Iの発見者である宇宙物理学者サニー・スティーブンス、宇宙生物学者にして医学博士パーミンダ・ラオ。 オリオン号はぶじ2Iに接近するが、そのときすでに別な宇宙船が2Iへ先乗りしていたことが判明する。民間企業

                                                                            【今週はこれを読め! SF編】希望の裏返しのファーストコンタクト - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                          • 【今週はこれを読め! SF編】三体人の圧倒的有利に抗うため地球側が仕掛ける面壁計画 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                            『三体Ⅱ 黒暗森林 上』 劉 慈欣,富安 健一郎,大森 望,立原 透耶,上原 かおり,泊 功 早川書房 1,870円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『三体』 劉 慈欣,立原 透耶,大森 望,光吉 さくら,ワン チャイ 早川書房 2,052円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto いよいよ三体人の地球侵攻がはじまった。 身体構造的に虚偽や隠蔽ができず、そもそもその概念すら持ちえない三対人にとって、地球人はおぞましい蛇蝎なのだ。滅ぼすべし! すでに、意思をそなえた超次元的素粒子「智子(ソフォン)」が尖兵として地球に到達し、地球人のうちで三体文明に帰依する者たちと連絡を取っている。智子自体には大きな攻撃力がないため差し迫った脅威ではないものの、次のふたつの点で人類に圧倒的な影響を及ぼす

                                                                              【今週はこれを読め! SF編】三体人の圧倒的有利に抗うため地球側が仕掛ける面壁計画 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                            • 【今週はこれを読め! SF編】超スケールの宇宙SFから、歴史認識を扱った議論喚起的な作品まで - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                              『宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』 ケン リュウ,古沢 嘉通,牧野 千穂,古沢 嘉通 早川書房 2,090円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ケン・リュウ『宇宙の春』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》) 短篇SFの名手ケン・リュウの、日本における四冊目の短篇集。先行する三冊と同様、古沢嘉通さんが作品を選んでいる。多彩なアイデア・テーマ・構成を自在に書きわけ、ハイレベルに仕上げるケン・リュウの実力はもちろんだが、紹介者に恵まれたことは幸運というほかない。作者にとっても、読者にとっても。 新しい作家の翻訳では、紹介する順番が重要だ。ケン・リュウの最初の邦訳短篇集『紙の動物園』が叙情的な作品を前面に出していたのは、日本の読者層を意識してのことだろう。その戦略はみごとに功を奏し、ケン・リュウの名は、SFファンだけにとどまら

                                                                                【今週はこれを読め! SF編】超スケールの宇宙SFから、歴史認識を扱った議論喚起的な作品まで - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                              • 第170回直木賞受賞予想。杉江「激戦を制するのは、加藤シゲアキ『なれのはて』と『ともぐい』か」マライ「『八月の御所グラウンド』『ラウリ・クースクを探して』も推したい」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌

                                                                                マライ 文句なく面白かったです。情報や観点やネタを詰め込み過ぎという批判が出そうな気もしますが、それ以上に刺さる威力が強いし、読みやすかったのでノープロブレム。概要紹介だけだと、志の高いマスコミ人が戦時秘話と陰謀を掘り起こす系のありがちな情緒寄り現代史ミステリーっぽく見えてしまうんですが、読むとぜんぜん違う。執筆にあたって社会史的、産業史的な取材を綿密に行ったフシもあってそこに感銘を受ける人も多いだろうけど、自分にとってポイントはそこじゃない。 杉江 作者が勉強したからえらい、ということではないと。同感です。 マライ 場面構築の材料には陳腐に見える要素がけっこう多いのですよ。途中に出てくる中ボス犯人のふるまいなどいわゆる二時間サスペンスドラマの情景そのまんまですし。でも、その犯人とかチョイ役っぽいキャラクターの人生にも、世界が何がしかの真理や美を垣間見せる瞬間があり、彼や彼女はそれをおぼろ

                                                                                  第170回直木賞受賞予想。杉江「激戦を制するのは、加藤シゲアキ『なれのはて』と『ともぐい』か」マライ「『八月の御所グラウンド』『ラウリ・クースクを探して』も推したい」 - 全候補作読んで受賞予想|WEB本の雑誌
                                                                                • 『ベルリンうわの空』刊行記念 香山哲が選ぶ 自分をビルドする20冊 - イベント&フェア情報|WEB本の雑誌

                                                                                  香山哲さんの魅力を言葉にしようとするとすごく難しい。香山哲という人が生み出す作品の魅力を言葉にするのもまたとても難しいのだが、ややましだ。 『ベルリンうわの空』が刊行される。この本で香山さんを知ることができる読者には、瑞々しい沃野がひらけている。自身が主宰するレーベル、ドグマ出版から多くのすばらしい作品を発表している。あなただけの未知なる読書体験を提供するお宝が必ず見つかるはずだ。 『ベルリンうわの空』はディープな世界の入口にすぎない、と断言する。だけどもとても間口が広くて、快適で親しみやすいエントランス。 滞在先のベルリンで過ごす日常を追体験するのがとても心地よい。大きな目的とか野心があるわけじゃないから考えごとをする時間がたくさんある。それを共有できる感じがとても良いのだ。小さな気づきや発見、日本との違いなどにおもいをめぐらす。自分をとりまく世界の輪郭がくっきりとうかびあがってくる。

                                                                                  新着記事