科学と政治の根源的な癒着を暴いた名著。科学と政治の癒着と聞くと、悪徳官僚とマッドサイエンティストが「越後屋お主も悪よのう」「いえいえお代官様ほどでは」「フハハ!」「フヒヒ!」と悪巧みしている構図が目に浮かびますが全然違います。むしろ「政治家って悪いヤツばっかですよねー。え、僕? やだなあ、僕は善良な市民ですよ、ハハ」とか真顔で言っちゃうような人がいかに政治的に動いているか、ということを言っているのです。 本書のテーマは、科学がいかに政治的に利用されてきたか、逆に政治がいかに科学を歪曲してきたかです。人種差別のためにでっち上げられた数字、階級支配の維持のために利用されるIQテストなどなど……。いかに社会的なフィルターによって科学が測りまちがいをしてきたか、データの細かな検証によって誰の目にも明らかなように示しています。 科学がなぜ政治色を帯びてしまうのでしょうか。グールドに言わせれば、科学と
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