サブタイトルは「ダーウィン進化論は文化を説明できるか」 そのタイトル通り、進化論で文化を説明するという新しい学問分野について、一般向けに書かれた、分野全体を見通す本 「統合」がキーワードとして出てくる。日本語版序文では、「自然科学と社会科学の統合」「社会科学内部の統合」「国際的な統合」の3つが挙げられているが、特に主だったものは二つ目の「社会科学内部の統合」だろう。 進化論は、生物科学の世界に統合をもたらした。 20世紀初頭まで分裂していた遺伝学と古生物学は、1930〜40年代の集団遺伝学の発展によって、現代的総合と呼ばれる「統合」がなされ、ミクロな現象(遺伝)とマクロな現象(進化)についての研究が同じパラダイムを共有するようになった。 これに対して、現在の社会科学の諸分野はいまだ分裂したままである。文化人類学、考古学、歴史学のようなマクロな現象を扱う分野と、心理学やミクロ経済学のようなミ