昭和天皇は、シチズンの懐中時計を愛用されていたと言われています。ではなぜ、シチズンの時計だったのでしょうか? その知られざるエピソードをご紹介します。 昭和天皇がポケットから取り出したのは、尚工舎(現シチズン)」が発売したばかりの第1号モデルだった現在のシチズンは、1918年に尚工舎時計研究所という社名で誕生しました。 同社の最初の製品は、1924年に完成した「16型」。携帯時計の主流が輸入品の懐中時計だった時代に、独自の設計で作り上げた国産時計でした。 ↑昭和天皇が愛用したものと同型の尚工舎製16型懐中時計(1924年から発売開始) のちに社名ともなったCITIZEN(=市民)という製品名が与えられた懐中時計で、この製品が昭和天皇の手にもわたったとされています。 その経緯について、いまも残る逸話があります。 昭和2年(1927年)に名古屋での旧陸軍晩餐会で、コーヒーを楽しみながらの歓談中