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ブックマーク / harutomo99.seesaa.net (16)

  • 非正規社員の雇用・生活保障

    2008年12月26日の毎日新聞のオピニオン欄が「どうする非正規雇用の大量解雇」という特集を組み、大阪大学の大竹先生、関根秀一郎派遣ユニオン書記長、川裕康日経団連常務理事が論説を書かれています。私は「大竹先生の論説」に思考を刺激されました。hamachanさんは、「大竹先生の論説に大いなる共感」を示されています。読者に全体を理解していただくために順番どおり引用します。引用が多くなって恐縮です。番号は平家が振ったものです。 1「非正規労働者は、正規労働者よりも賃金が低い上に雇用も不安定なのだ。」 2「正社員では、雇用調整も賃金調整も難しいからである。」 3「正規労働者の雇用と賃金を守るために、非正規労働者の雇用に集中的に影響が出ているのは事実である。」 4「不況という負の経済ショックを誰が負担するか、という問題に私たちは直面している。」 5「2002年以降の景気回復期には、企業収益が増加

    rajendra
    rajendra 2008/12/31
    "契約に基づいて手に入れた権利、労働組合の努力によって手に入れた権利は、それに伴う義務の履行があったはずです。それを「既得権益」の名の下に一方的に切り捨てることは、財産を没収するのと変わりがありません"
  • 研修生の保護

    研修生の保護について考えていたのですが、基的な方向が二つあります。hamachanさんも引用されている経済産業省の報告書が、意外にバランスよく記述しているので、引用します。 現在の制度の運用実態に鑑み、研修期間中の研修生の保護を強化することも課題となっている。これに関して、当初から研修生を労働者と考え(すなわち、当初から実習と位置づける)、労働法の適用により研修生を保護すべきとの考え方もある。現在、研修生に対して労働法規が明示的に適用されていないことが、研修生の酷使など趣旨に合致しない運用につながっているとの指摘もあり、一定の合理性がある。すなわち、罰則を伴う労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等の適用対象となるとともに、明示的に労働基準監督署の指導対象とされることで、悪質な運用に対する抑止効果が期待できる。 他方で、このような取扱により、「研修生は労働者である」という認識が行き過ぎる

  • 介護危機

    日経新聞の中村編集員が、「首都圏を直撃する『介護危機』」(http://www.nikkei.co.jp/neteye5/asakawa/index.html)で首都圏の介護労働者の賃金を引き上げるべきだと主張されています。 「高齢者の中でも、介護サービスの必要度が高くなる高齢単独世帯の2015年までの伸び率を見ていくと、同様に埼玉(75%)、千葉(65%)、神奈川(55%)の3県の伸び率がベスト3で、全国平均の36%を大幅に上回る。それにより、同年の高齢単独世帯は、東京都の60万世帯をトップに、大阪、神奈川、愛知、埼玉、千葉と続く。」 「 高齢者の大都市への集中が急激に進む。これまでの高齢者問題は、過疎地を含む地方の課題であった。それが完全に逆転して首都圏と大阪、愛知の都会型に変わっていく。かつて若者が地方から首都圏に集まり、そのまま年を取れば、当然ながら首都圏での高齢化は進み、地方での

  • 民法第772条 改正案 その6

    「民法第772条 改正案 その5 親子関係不存在」で書いたように「推定が及ばない子」に就いてだけ、親子関係不存在の訴えを認めた論理は多分こういうことではないかと、想像します。 Ⅰ 元々、民法の規定というのは、離婚を前提にすると、こういうことなのですね。 国は、男性に向かってこう言っているのです。 1 おまえの女房が離婚前に妊娠して、その子が産まれたら、それはおまえの子だとするよ。だから、養って、育てて、遺産もやりなさい。ひょっとして、お前の子ではないかもしれないけれど、父親がいないと、子が困るんだ。かわいそうだろ。だから、よろしくね。(第772条第1項) 2 おまえの元女房が、離婚してから300日以内に産んだ子は、離婚前に妊娠した子だとするよ。するとおまえの子だと言うことになる。だから、やっぱり養って、育てて、遺産もやりなさい。ひょっとして、お前が離婚した後に妊娠した子かもしれないけど、そ

    rajendra
    rajendra 2007/04/10
    この説明はとっつきやすいと思う。
  • 同一労働同一賃金

    「労務屋@保守親父さん」が、こんなことを書かれています。 「市場メカニズムに信頼を寄せる八代氏とすれば、労働移動や価格決定にかかわる規制を撤廃すれば『流動性の高い職種別労働市場』が形成され、同一労働については同一賃金となり、若年層の非正規雇用も職業訓練を施せば市場メカニズムの中で訓練の成果たる技能に応じた価格=賃金で雇用されるであろう、と考えるのでしょう。いっぽうで、全く逆の立場に立つ森永氏とすれば、市場メカニズムに任せれば格差は拡大する一方であり、非正規の賃金が低いことは『気の毒』で『社会正義に反する』、とりわけ外見上同じような仕事をしているように見えるのならなおさらだ、ということで、強制的に同一労働については同一賃金とする制度を導入せよ、というものでしょう。なかなかの同床異夢ぶりで、お互いに『一致してますね』と言われたら怒るかもしれません。」 このお二人は市場メカニズムが、どういう結果

  • 子供のいる労働者だけ賃上げ

    労務屋@保守親父さんが、「賃上げは手当で」で松下電器が賃金引上げを全部子供を持つ従業員への手当てに振り向けるという記事を紹介されています。 労務屋@保守親父さんは、「昨年のように特定の年齢層とか、職能資格などに重点配分するのと、家族手当に配分するのとなにが違うのか、といわれれば違うともいえないかもしれませんが。昨年からよく使われるようになった『賃金制度改善分』というような言い方をするのであれば、手当への配分も賃金制度改善ではあるでしょう。賃上げは復活の流れですが、内容的にはかなり変化しているといえそうです。」とお書きなのですが、私も、非常に面白い賃金の配分の仕方だと思います。 ここ10年ほどの賃金制度は、大勢としては(賃上げを抑制しつつ)成果主義賃金へと流れてきていました。子供のいる従業員にだけ配分するというのは、まったく違う方向への転換です。 私は、以前、「児童手当 その4」で「賃金には

  • 民法第772条 真実は高くつく

    民法第772条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M31/M31HO009.html#1004000000003000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000)が問題にされています。 第772条というのは面白い条文です。 1 が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。 2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取り消しの日から三百日以内に産まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。 要するに、誰が子の真実の(というか生物としての)父親であるかとは別に法律上の父親を決めてしまおう。こういう発想で作られているのです。 当然、この推定が真実ではないことはあります。第1項の推定が真実ではない場合を考えます。もし、婚姻中にが懐胎した子を、この子は自分の子ではな

    rajendra
    rajendra 2007/03/12
    "要するに、この規定は、法律上の父親がいないと、子に不利益だから、とにかく法律上の父親を決めてしまおうということなのです。父親や母親のための規定ではありません。"
  • 句読点と引用符 例2

    hamachanさんが、「柳沢厚労相の殆ど正しい発言 」「」というエントリーを書かれています。「殆ど正しい」ということは、幾分かは間違っていると言うことでしょう。(2月10日追記 hamachanさんは、こういう意味で書かれたのではないそうです。コメント欄をご覧ください。) さて、「句読点と引用符 例1 」で取り上げた例えとは違う点があります。それは柳沢厚生労働大臣が、謝罪も撤回もしていないことです。なぜでしょうか?いくつか理由が考えられます。 まず、第一に、文脈の差です。前回の発言は講演の一部でした。これに対して、今回の発言は厚生労働省内で行われた記者会見でのものです。 厚生労働省のHP(http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2007/02/k0206.html)に発表されています。これを見ると、多少の編集があるのかもしれませんが、殆ど逐語的に再現されて

  • 再チャレンジ

    少し古い話ですが、「雇用破壊」を特集した週刊東洋経済の1月13日号。なかなかの力作でした。 この中で、すこしひっかったのが、ここです(48ページ)。 「一方で、キャノンの中途採用情報には、当時一行の注意書きが添えられていた。『派遣社員等で現在キャノンに勤務中の方の参加はご遠慮下さい。』。つまり非正社員の直接雇用を避けたいあまり、中途採用への応募も門前払いしていたのだ。」(強調は平家) これは当の理由なのでしょうか? 優秀な非正規社員であれば、採用してもいいはずです。その非正規社員がいる職場では、採用と同時に穴があくことになりますが、そう大した問題ではないでしょう。 むしろ、職場で働いている正社員に見極めさせて、優秀な非正規社員を選んで正社員にした方が、当たりはずれがなくていいはずです。優秀だと思って採用した正社員がはずれだったということは良くあるのですから。 合理的な企業であれば、敢えて

  • 「均衡予算乗数 補足」について

    「均衡予算乗数 補足」のまた補足です。 経済的厚生について 1 個人の幸せは経済的なものだけでは決まりません。あの人が浮気を止めてくれたら、どんなに幸せか、この病気が治ればと考えている人は大勢いるはずです。でも、個人、あるいは家計を取れば、お金で買えるものも重要であることは間違いがありません。 なお、逆にそのような欲望を捨てることによって、心の平和、安心を得るという方向もあります。こういう考え方を広めるという政策もあるかもしれません。 2 幸せのうち経済的なものだけで個人の幸せを考えるとしても、それを一国全体で集計して、ただ一つの数字で表すというのは、どう考えても、相当な無理がかかる仕事です。ある個人間と別な人の幸せ度が同じか、違うとすればどれだけ違うのかすら、うまく数字では表せないのですから。また、どの人にどれだけのウェイトを与えるかも難しい問題です。 3 それでも、豊かな国と貧しい国で

  • 均衡予算乗数 補足

    「均衡予算乗数」について少し、補足を。 1 価格について 国民経済計算では、取引された価格は、そのまま受け入れるというのが原則です。 民間の主体同士の取引でも、多数の主体が取引する市場で決まる価格、寡占状態の市場で決まる価格、独占市場で決まる価格、政府の統制を受けている価格、さまざまなものがあります。多数の主体が取引する市場で決まる価格でも、競り市で決まるような価格もあれば(さらに言うとセリの方式もさまざまです。)、スーパーで値札がついていて、それ以外の価格では取引ができないものや、値切りが可能なものがあります。一日のうちで価格が変わるものもありますし、電気料金のようにあらかじめ決まっているものもあります。買う動機、売る動機もさまざまです。 私は、以前、障害者の施設が作ったものを、割高だなと感じつつ買ったことがあります。値切るのが楽しみだとおっしゃる方もいると思います。 このようなさまざま

  • 均衡予算乗数

    飯田先生の「ある意味やばい経済学」を、読んで少し頭が混乱したので、整理を。 関係ない部分は省略していますので、ご注意下さい。(2006年12月24日に地代(財産所得)に関する追加を行いました。 以下で、×××(「○○○」)としてあるのは、私が×××と呼んでいるものを飯田先生が○○○と呼んでいらっしゃるということです。先生のエントリーを読むときの参考にして下さい。 Ⅰ 国民経済計算での政府の位置づけ 国民経済計算(「GDP統計」)では政府を次のように位置づけています。 1 他の生産者(企業以外のこともありますが、普通は企業です。)が生産したものを買い、労働者を雇って、政府サービスを生産する。この点普通の企業と同じです。 2 生産した政府サービスを自ら買い入れる。実際には他へ販売することもありますし、それを考慮して実際の国民経済計算は作られていますが、ここでは、議論を簡単にするためにすべて買い

  • 経済政策の売り込み

    「政策目標としての潜在成長率の政治的利点」のコメント欄でのお話の続きです。 経済学者は、いい経済政策、つまり国民の所得を上げたり、失業率を下げたり、所得の分配を改善したり、要するに国民を幸せにする経済政策を提案します。所謂、「シバキアゲ政策」を主張する方も、最終的にはそれが最終的には国民を幸せにすると考えるから、「シバキアゲ」を主張されるのであって、「シバキアゲ」そのもののために「シバキアゲ政策」を主張することはありません。これが素人だと、道徳的に正しい経済政策を主張したりすることがありますが、経済学者はそういうことはしません。普通はです。 で、政策を考えたら、啓蒙を通じて、政策の採用を訴えるわけです。それを他の人に任せる方も多いでしょう。 では、誰に売り込むかと言えば、政策を決定できる人にです。最近は政治家が対象になることが多いようです。もちろん野党の政治家という場合もあります。 では売

  • 地方自治体の特殊勤務手当

    会計検査院が、地方公務員の特殊勤務手当を問題にしているそうです。その中で公共用地の取得や補償交渉に携わった場合の「用地交渉等手当」が問題にされたようです。はなぶささんが「ニュースの裏側~地方自治体の特殊勤務手当」で紹介されている報道では、来の業務であるのに特殊勤務手当が支払われているという観点からの指摘のようです。 はてな?これは、そんなに変な手当なのでしょうか? おそらく、地方公務員でこのような仕事に携わっているのは、ごく普通の行政職員でしょう。用地交渉専門でそれをずっと続ける職員がいるとは思えません。普通の職員が、仕事のローテーションの中で、たまたま用地交渉に当たるだけでしょう。当然、このような職員の給部分は全員共通の賃金表になっているに違いありません。 さて、給については同じ賃金表を適用され、同じ格付けをされている職員の中で、たまたまきつい仕事をしている職員と普通のきつさの仕事

  • 「「高卒有効求人倍率1倍」から見える現実」について

    統計で使う言葉に求人倍率というのがあります。 ハローワークに登録している有効求職者で有効求人を割れば、有効求人倍率で、ある月に新たに登録した求職者の数でその月に申し込まれた求人の数を割ると、新規求人倍率です。 毎月、厚生労働省から発表されています。 最新のものはこれです。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/ippan/2006/08/index.html 「「高卒有効求人倍率1倍」から見える現実」で紹介されているように、学卒者にも使います。最新のものはこれです。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/09/h0913-1.html なお、この場合には、新規、有効の差がないので単に求人倍率といっています。 以上前置きです。題に入ります。 さて、皆さん、それでは求人倍率の逆、つまり求職者の数を求人の

    rajendra
    rajendra 2006/10/10
    確かに強烈なイメージを喚起するな。「殺到率」。
  • 2006年福祉宇宙の旅 その1

    このエントリーのタイトルは、「生活保護と最低賃金 その2」に寄せられたhamachanさんのコメントに由来します。内容も繋がっています。 貧困を減らすための対策には、さまざまなものがありますが、社会福祉、社会扶助として金銭を給付するという範囲で、代表的な手法を三つ考えてみます。 1 低所得世帯に最低生活費と所得との差額を支給する。 これは最低限度の生活水準、具体的には消費、の保障という政策目的からは、理論的にはスッキリした制度です。また、最低限度の生活を送れないで人だけを対象にしますので、不必要な給付をしないで済むという利点もあります。貧困を減らすことだけを考えていればいいのであれば、文句のない仕組みです。 金額設定 まず、いったいこの最低生活費の具体的な金額をどうやって決めればいいのか、これが大問題です。生存水準を下回っては駄目だというのはコンセンサスでしょう。しかし、それを超えるといっ

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