「日本の人件費は高い。だから企業は生産拠点を海外へ移すしかない」みたいな話はよく聞くところ。事実、内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」によると、2010年度の製造業全体の海外現地生産比率(実績見込み)は、2009年度の17.1%から18.0%へと推移し、過去最高を記録したという。企業の海外生産シフトは着実に進んでいるのだ。 もちろん、その理由は「人件費」だけではない。進出先の市場や近隣国の需要が見込まれることもあるだろう。だが、日本の人件費が高いのは間違いないところ。では、世界的に見て日本人の賃金はどのくらいの水準なのだろうか。 明治大学国際日本学部の鈴木賢志准教授が、スイスの大手金融機関UBSが作成した調査レポート「Prices and Earnings」2009年版を日本視点で再計算し公表したデータによると、東京の平均は、税引き前で380万円。世界的に見ると60カ国中7位だった