中国で、男性同士の恋愛を描いたボーイズ・ラブ(BL)作品が人気を集めている。その理由は何か。『BLと中国』(ひつじ書房)を書いた立命館大学政策科学部の周密助教に、ジャーナリストの高口康太さんが聞いた――。(前編/全2回) “中国BL”の恐るべき実力 「もし検閲がなければ、中国コンテンツがBL市場を制覇していただろう」 なんとも強烈なパワーワードだ。漫画『魁‼ 男塾』の名台詞「江田島があと10人いたらアメリカは日本に負けていただろう」に匹敵する勢いを感じる。面白いのは中国人の言葉ではなく、中国BLの質の高さに驚いた日本BL関係者の発言だという。 BL(ボーイズ・ラブ)は、「主に女性向けの、男性同士のラブロマンスを描いたジャンル」を指す和製英語だ。中国ではこのジャンルを指す用語として、「耽美」「BL」などがあったが、現在では「耽美」が定着している。 実際、中国BLおよびその関連作品は日本を席巻
