軍出身のシーシー大統領の下で旧体制への回帰が進むエジプトで、政府に批判的だとの疑いを持たれた人物が市民の通報や密告によって拘束される事件が相次いでいる。イスラム原理主義組織ムスリム同胞団などの批判勢力を取り締まる中で強権体質を強めている政府に迎合する社会の“空気”が「言論の不自由」を助長している格好だ。(カイロ 大内清) 2014年暮れの首都カイロの地下鉄内で談笑していた男女3人が、当局に拘束された。報道によると、そのうち2人は親戚に会うためにカイロを訪れていたエジプト系英国人の兄妹で、もうひとりはそのいとこ。乗り合わせた乗客が、「英語でテロについて話したり政府批判をしている」と通報したことが拘束の理由だった。 11月には、仏紙ルモンドの編集幹部と地元の女性記者2人がカイロ市内のカフェでエジプトの政治状況について話していたところを居合わせた客が警察に通報、3人が一時拘束される騒ぎも起きた。

