某宗教団体の名誉会長の写真(複製の上一部切除したもの)をホームページに掲載した行為が某宗教団体の複製権侵害、公衆送信権侵害、同一性保持権侵害にあたるとして争われた事件の地裁判決が出された。 東京地判平成19年4月12日(H18(ワ)第15024号)*1。 当事者が当事者だけに、法律論とは違うところで話題になりそうな事件であるが、著作権法をめぐる重要論点に新たな一事例を加える、という意味でも興味深い事件といえる。 以下では、本件における主要な争点、特に「引用」要件充足性をめぐる判旨の是非について、最近の裁判例と見比べながら見ていくことにしたい。 本件写真の著作物性 本件で問題になった写真は、 「聖教新聞社が発行する機関誌「聖教グラフ」平成2年7月11日号に掲載された」 もので、 「縦長のカラー写真で、ほぼ中央に身体を左斜め前に向け、顔のみを正面に向けた姿勢で、スーツの上に、黒色及び紫色の地に