「もう外食は怖いよ」。いつもは泰然としている、ある文化人と一緒に夕食を取る約束に出向いたら、彼は現れるなりこう言った。彼や彼の周囲の友人とはよく中国の暗い部分の話をするが、こんなに暗い顔をしている彼は初めてだった。 きっかけは9月中旬に明らかになった、有名四川料理チェーン「俏江南」の南京店で再生油が使われていたというニュースだ。中国語で「地溝油」と呼ばれる再生油の再利用問題は、昨年初めに中国の政府系メディアが大々的に報道して撲滅キャンペーンを張ったことが日本でも「下水油事件」として報道されたので、ご記憶の方も多いはずだろう。 もちろん、彼も昨年のニュースは知っているし、顔をしかめていた。しかし、今回名指しされたのが全国で支店展開する大型店舗で、また経営者が超有名芸術家の作品をオークションで競り落として有名になったり、他にも社会エリートに人気のクラブを運営する社会的地位のある人物なので、周囲