歴代天皇のいわゆる「万世一系」について、真に問わなければならない問題とは何か? それは、「万世一系」の定義とか、それは事実かどうか、といったことではなく、なぜ天皇は「万世一系」ということになっていなければならないのか、そもそもなぜそんなものが必要だったのか、という問題だと私は考えている。 「万世一系」の天皇を戴く大和民族の一員であることにしか自尊感情の源泉を見いだせないある種の人々(「特定日本人」とでも呼ぶべきか?w)は、幾多の王朝が興亡を繰り返した中国と比較することで自国の優位性を言いたがる。 なので、ここでも中国との比較を通してこの問題を考えてみることにしよう。 ■ 疑問1前回の記事では、武烈―継体間の王統断絶を取り上げた。ここで、日本書紀は、前王朝最後の王武烈を、悪逆非道の暴君として描き出している。 武烈2年: 妊婦の腹を割いて胎児を見た。 武烈3年: 人の生爪を抜き、その手で芋を掘