2009/04/10 ソフトウェアは工業製品ではない――。Rubyの生みの親としてしられるまつもとゆきひろ氏は2009年4月9日、InfoQ主催のイベント「QCon Tokyo 2009」の基調講演で、ソフトウェアと何であり、何でないのか、それはどういう性質のものであるのかを雄弁に語った。 コードとは設計である 「ビューティフルコード」と題した基調講演を行ったまつもと氏は、2007年に共著者の1人として出版した同名の書籍に書いたエッセイに込めた思いを、次のように語る。 「世界に冠たる日本の製造業のノウハウを適用することで生産性を上げることができるに違いないという発想がありますが、ソフトウェアは工業製品ではない。そうした誤解を正していきたい」。 ソフトウェア産業界では、よくエンジニアが何十万人足りないということが言われる。しかし、まつもと氏は、これは工業生産と同じ方法論を当てはめることから来
2009年になって早1カ月。暗いニュースが続く中、あらためて「エンジニアとして市場価値を上げるにはどうすればいいか」と思い悩む読者もいるだろう。ITバブルに沸いた10年前と異なり、「これだけ押さえておけばいい」という技術や製品があるわけでもない。そんな中、注目を集めているのが、日本発の技術「Ruby」だ。以下、Rubyという技術を軸に、エンジニアの可能性を探っていこう。 日本発の技術として注目のRuby。1995年、開発者のまつもとゆきひろ氏がネットニュースのニュースグループに公開し、いまや「Webサービスの開発言語」として海外でも高い評価を得るようになった。 まつもと氏によると、Ruby普及のターニングポイントは2つあるという。1つは、1998年に「オープンソース」という概念が浸透し始めたこと。そしてもう1つは2004年、Webアプリケーションのフレームワーク「Ruby on Rails
2009/02/13 「今日はRubyの話はしません」。プログラミング言語「Ruby」の生みの親で開発コアメンバーでもある、まつもとゆきひろ氏は冒頭でそう話すと、自身のプログラミング経歴や半世紀に及ぶプログラミング言語の歴史を外観しつつ、未来のプログラミング言語へ向けた構想について語った。 書籍だけでPascalを習得した高校生 2009年2月12日、翔泳社主催で東京・目黒で行われた「Developers Summit 2009」でまつもと氏は「未来へつながる言語~ある言語おたくの視点から」と題した講演を行った。立ち見が出るほど詰めかけた観衆に向かって、“最も有名なプログラミング言語オタク”として自身のプログラミング言語観を披露した。 1980年代の高校生時代からプログラミング言語が好きだったというまつもと氏だが、一番最初に使った言語はBASICだったという。ところが、ローカル変数や構造化
チャレンジしなければ変化はない、箱の中から外に出よう まつもと氏は「リスクテイクとチャレンジも重要」と語る。「チャレンジしなければ変化はない。ただし、外の環境の変化を制御できるものではなく、箱の中に留まっていては意味がない。箱の中で安住していればハッピーだった時代は終わった。チャレンジすれば失敗する可能性もあるわけだが、何もせず、ジッとしていることもリスクになりうる」(同) 最新の技術が次々現れるのはITの世界に限らない。広い分野への知見が求められるエンジニアにとっては、「まだ良く知らない、勉強するのはたいへん、とても余裕はない――などといってはいられない時代になっている。価値を創造することが大事だ。自分自身の価値を創造しないとハッピーなエンジニアにはなれない」(同)という。 ラストマンは大切にされる その具現化のひとつとして、まつもと氏は「ラストマン戦略」を挙げる。 「ネットワークプログ
まつもとゆきひろ ネットワーク応用通信研究所 フェロー 楽天 楽天技術研究所フェロー Rubyアソシエーション理事長。Rubyの作者 Blog「Matzにっき」 まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡---梅田望夫氏の著書「ウェブ時代をゆく」の中の節のタイトルである。「時代の巨大な変化の中で個人がどう生きるべきか」をテーマにしたというこの本の中で,Rubyを生み「オープンソースで飯を食う」生き方を実践するまつもと氏の生き方に,梅田氏は何を見い出したのか。梅田氏とまつもと氏が,インターネットがもたらす新しい時代の新しい仕事,新しい生き方を語る。 まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡 ――梅田望夫さんの新刊「ウェブ時代をゆく」には,「まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡」という節があります。この本で何を伝えようとされ,なぜまつもとさんを紹介されたのでしょうか。 梅田 いま,インターネットの切り拓
デスクトップLinuxに関する今年の十大ニュースを選ぶとしたら、まずそのトップバッターとして候補にあげられるのはDellのUbuntuプリインストールマシンの発売だろう。火種がくすぶりつづけていたUbuntu人気の炎を一気に燃え上がらせたのはDellの動きだった。ウェブサイトに寄せられた13万件ものリクエストをDellは無視しなかった。このプロセスが、Ubuntuへの注目をいやが上にも集めたのだった。 では、実際にUbuntuマシンはどのくらい売れたのだろうか。これまでDellは、「満足すべき成果である」というような抽象的なコメント以上のものを発表してこなかった。今でもそうだ。だから、実際に何台売れたのかはまったくわからない。それでもどこからかこういう数字は流れるもので、「DellのUbuntuマシン販売数は4万台だ」という報道があった。あくまで非公式な噂であるが、「ああ、その程度かもしれ
Eee PCの人気が爆発するのを見てきて、「これは欲しい!」とか「これでデスクトップLinuxのユーザーが増えるぞ!」「いよいよLinuxがシェア1%を突破確実だ」なんてことを思ってきたが、それが思わぬ地殻変動を引き起こしつつあるのには気づかなかった。それは、Linuxマシン以外のパソコンの低価格化だ。もうちょっと正確にいうなら、低価格パソコンと高性能パソコンの二分化だ。ユーザーニーズが二分化していることは以前のエントリーでも書いたが、その低スペック指向の部分を掬い上げるのはLinux等の非Windowsマシンで、既存の製品群はあまり関係ないだろうと思っていた。けれど、Windowsマシンでもこの動きが起こり始めている。どういうことか。 アメリカでは、Dellがビジネス向けノートパソコンのVostro 1000を399ドルで売り出したらしい。(追記:このリンクは、既に切れている。おそらくキ
<< 2006/02/ 1 1. [本] 『4086301636』 2. [言語] ActiveState To Spin Out 2 1. [OSS] Rast高速化パッチ 2. [PC] レノボ、Core Duoを搭載したThinkPad X60 / T60を発表 3 1. [Ruby] ruby_class削減 2. [OSS] Rastが遅いわけ 3. 英会話 4. 雪 5. コンピュータは難しすぎて使えない 4 1. 参観日 2. 『コンピュータ技術者になるには』 3. [Ruby] Ruby温泉ミーティング2006春 5 1. [教会] 断食安息日 6 1. [原稿] 日経Linuxとオープンソースマガジン 2006年4月号 2. [原稿] るびま 13号 7 1. [原稿] 日経Linux 2. 日本国民全員にプログラマになってほしい 8 1. 妻の誕生日 2. [OSS]
わたしに限らず、多くのハッカーたちはフリーソフトウェア(オープンソースソフトウェア)が大好きです。ハッカーがフリーソフトウェアを愛する最も大きな理由は、自由なのです。 オープンソース貢献者賞 2005年のことですが、IPAとオープンソース推進フォーラムから「オープンソース貢献者賞」なる賞をいただきました。当時受賞したのはDebianプロジェクトの貢献者として知られる鵜飼さん(日本HP)、Linuxカーネルハッカー高橋さん(VA Linux Systems Japan)、NamazuやGonzuiなどで知られる高林さん(グーグル)、そして、まつもと(ネットワーク応用通信研究所)の4人でした。第1回ということで、オープンソース界隈でそれなりに名前が知られていて、かつ実際にコードを書く人を中心に選定したというところでしょうか。いずれにしても大変ありがたいことです。 本来、わたしは表に出たり、有名
三鷹市が出資する第3セクターまちづくり三鷹は10月,Ruby講師養成講座を開講する。まつもとゆきひろ氏がフェローとして在籍するネットワーク応用通信研究所と,三鷹市のソフトウェア開発事業者の団体「三鷹ICT事業者協会」が協力する。技術者ではなく講師の養成を目的とする講座は日本初としている。 「Ruby及びRuby on Rails 講師養成講座」は2007年10月25日から2008年年1月23日にかけて11日間,三鷹産業プラザで実施する。 まちづくり三鷹では,この講座を皮切りに今後オープンソース関連の技術者育成を積極的に進める方針。Ruby講座と同時に,LAMP(Linux,Apache,MySQL,PHP)技術者育成講座も開講する。両講座は総務省による平成19年度情報通信人材研修助成事業の認定を受けている。 松江市の産業振興施策「Ruby City MATSUEプロジェクト」は日本経済新聞
「Code Reading―オープンソースから学ぶソフトウェア開発技法」(毎日コミュニケーションズ発行,写真1)という本があります。私はこの本の監訳者ですから,やや自画自賛になってしまいますが,ソースコードの読み方を主題にした本はほかにはあまりありません。技法からツール,データ構造,アーキテクチャ,さらには実際にコードを読んで利用する実例まで紹介している網羅的で良い本だと思います。 この本の「はじめに」で「達人プログラマー」として知られるDave Thomas氏は以下のように書いています。 他人の作品を読まなかった偉大な作家,他人の筆づかいを研究しなかった偉大な画家,同僚の肩越しに技を盗まなかった腕のよい外科医,副操縦席で実地の経験を積まなかった767機長――果たして,そんな人たちが本当にいるのでしょうか? たしかにその通りです。ソフトウエア以外の領域では修行することとはすなわち,他の人の
第0回 あらためてRuby入門 まつもとゆきひろ氏自身による「Ruby入門」をお届けします。日経Linuxの連載開始前の特別企画(2005年4月号)として,Rubyが他のスクリプト言語やオブジェクト指向言語とどこが違うのか,なぜ便利なのかを中心に解説してもらったものです。 ● 基本と他言語との違い ● 実装とRuby誕生の秘密 第1回 プログラミングとオブジェクト指向の関係 プログラマを目指す人々の中にも,「オブジェクト指向は難しい」とか,「なかなか分からない」という印象を持つ方が多いようです。そこで,Rubyを題材にオブジェクト指向という考え方について説明していきます。 ● その1 ● その2 ● その3 第2回 抽象データと継承 オブジェクト指向プログラミングを構成する3原則のうち,前回は「ポリモーフィズム」を学びました。今回はオブジェクト指向の歴史を復習した後,残りの「データ抽象」と
2006 年の「日本 Ruby カンファレンス 2006」に引き続き、2007 年 6 月 9 日〜 10 日の 2 日間、「日本 Ruby 会議 2007」を開催します。 日本 Ruby 会議 2007 のテーマは「2007 年の Ruby が見える・2007 年の Ruby に会える」です。 Ruby は言語そのものも、そして利用方法も、その時々によって変わり続けています。 2007 年の折り返し地点ともいえる 6 月に、この年の Ruby がどうなっているのか、どこまで来たのかをみんなで確認し、これからどうなっていくのか、どうすればいいのかを考え、行動に移す。そのような機会となることを目指します。 (日本 Ruby 会議 2007 についての詳細は日本 Ruby 会議 2007 概要をご覧ください。) 実行委員会からのお知らせ 無事、日本Ruby会議2007の全日程を終了することがで
「最近驚くのはこのスピード感なのです。この加速度が上がっているのが恐ろしいほど」---梅田望夫氏が,茂木健一郎氏との対談をまとめた「フューチャリスト宣言」(筑摩書房刊)の中でこう漏らしている。「ネットの性格として,情報の伝播速度無限大コストゼロ,これが本当に動き出したな,という感じが去年くらいからあります」(梅田氏)。YouTubeが,サービス開始からたった1年で世界を席捲したことがその象徴だ。Googleは1998年に創業し2004年に上場した。確かに変化のスピードが上がっている感がある。 これに似た言葉を最近目にしたことを思い出した。Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏が、Webアプリケーション・フレームワークRuby on Railsの進化に「この流れのどこに突っ込めばよいのかわからない」と驚嘆していたことだ。 Ruby on Railsの進化の「次元の違うスピード感」 発端は,最
『るびま』は、Ruby に関する技術記事はもちろんのこと、Rubyist へのインタビューやエッセイ、その他をお届けするウェブ雑誌です。 Rubyist Magazine について 『Rubyist Magazine』、略して『るびま』は、日本 Ruby の会の有志による Rubyist の Rubyist による、Rubyist とそうでない人のためのウェブ雑誌です。 最新号 Rubyist Magazine 0058 号 バックナンバー Rubyist Magazine 0058 号 RubyKaigi 2018 直前特集号 Rubyist Magazine 0057 号 RubyKaigi 2017 直前特集号 Rubyist Magazine 0056 号 Rubyist Magazine 0055 号 Rubyist Magazine 0054 号 東京 Ruby 会議 11 直
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