国内の景気動向を観察するときも、経済成長を国際比較する際にも、生産性は主要な経済指標として用いられる。長年、製造業の生産性や技術力が各国の成長を牽引すると考えられ、経済学においても生産性の計測に関する研究は製造業中心であった。一方で、わが国では、非製造業のGDP比率が7割以上となっており、すでに製造業のみで経済全体の生産性や技術力を説明できる時代ではなくなっている。また計測時に、データを通じて需要要因や景気変動などが生産性に含まれてしまい、技術力を正確に計測できないという問題もある。データ整備や個票へのアクセス、計算環境がよくなった現在だからこそ、これらの問題にも取り組むことが望まれる。ここでは、生産性計測の現状と課題を整理し、新たな生産性指標の可能性を探る。 「生産性」を広辞苑で調べると、「生産過程に投入された一定の労働力その他の生産要素が生産物の産出に貢献する程度」と書かれていました。