昨今の大学改革絡みの出版物も少なくないが、その中でしばしばやり玉に挙げられる文系の大学教育に関するものとして出版されたのが本書である。 人文・社会科学系の大学教育は仕事に「役立っている」のではないか。「役立ちうる」のではないか。「役立っている」とすれば,どのような「役立ち方」なのか。なぜ「役立たない」と思われているのか。 「文系」として一まとめに語られてしまいがちな人文・社会科学系に含まれる多様な学問分野間の共通性と相違に注目しながら,調査結果に基づいて,さまざまな角度から検討を行う。 という触れ込みで、東大教育学研究科の本田由紀教授を編者として9つの章を編者を含む8人の著者が執筆している。 www.nakanishiya.co.jp 私自身の立場を明らかにしておくと、私が現在所属しているのはこの本の中でにおいて文系とされる分野である。その点において、昨今の大学改革の影響をまともに受けてお