堀さんは、経営学修士(MBA)プログラムを展開する「グロービス経営大学院」の学長でもある。だがフェス立ち上げを決めたとき、音楽業界とは無縁で、実績もつてもなかった。 周囲からは「不可能だ」といわれた挑戦。「損失が出たら全部僕がかぶる」―。実際、損失は億単位に上った。そうまでして、なぜ開催を続けるのか。背景には、2年前に国内最大級の音楽フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル(ロッキン)」が茨城から千葉に移転したことへの危機感があった。「フェスの灯を消すわけにはいかない」(共同通信=奥林優貴) ▽大いなるロッキンの残照 「大きなショックを受けた」。堀さんは、ロッキンの移転話を聞いた時のことをこう振り返る。堀さんがオーナーを務める、LuckyFM茨城放送(水戸市)は県内唯一の民放放送局で、2021年のロッキンに「共催」の立場で携わっていた。 ロッキンは2000年から長年、国営ひたち海浜公