私の勤め先のオフィスは高層ビルの21階にある。窓からは様々な建物が一望のもとに見える。すぐ右下には東京タワーを支える赤い鉄骨の大きな枠組みが見えるが、これは私のいるビルが東京タワーのすぐそばに立っているからだ。そのすぐ裏側には徳川家の菩提寺である増上寺のきれいな瓦屋根が見える。日本の典型的な由緒あるお寺である。さらにその後方遠くにはレインボーブリッジが見えている。目を転じると、窓の左下方にはオランダ大使公邸が見える。大きな鉄の門と豊かな緑に囲まれた美しい洋館だ。昭和3年に完成しており、観光客の目を楽しませているが、これは典型的な洋館という以上に土地に根付いているレトロな建物という印象だ。しかし、窓から見える建物で数から言って圧倒的に多いのは林立する真四角な、オフィスやホテル、マンションなどの高層ビルだ。 私が毎日のように眺めている東京という都会の佇まいは、このように多様な目的で建てられた、