原田多加司『屋根の日本史 職人が案内する古建築の魅力』 武田尚子『ミルクと日本人 近代社会の「元気の源」』 竹沢尚一郎『社会とは何か システムからプロセスへ』 本棚のない家庭で私は育った。色々あってたまたま本好きの少年となったのだが、子供のお小遣いで買い集めるのだから、欲しいものを片っ端から手に入れることはできない。失敗すればかなりの痛手だ。自然に、絶対良いと決っている古典的名著の文庫本を選ぶようになった。 新書を積極的に読むようになったのは大学生の頃で、知識の幅を増やすため、分野別分類が被らないように新書を十冊選び、片っ端から読んでいった。面白いと感じた新書をガイドにして、未知の分野に進出するといった方法だ。これを私は勝手に「広げる読書」と呼んでいた。これがなかなか面白く、飽きたら別の本を手に取り、また元のものを読み......と、繰り返していると延々と読めてしまう。一度に一冊しか読めな