この記事がSNSに流され、老後資金2000万円問題として炎上していった。 金融商品を売る金融庁のアプローチ 先日の授業で、いま君が証券会社の社員だとして、お客さんに株を売りたいとする。お客さんに、老後の生活費として公的年金のほかにどのくらいの資金を準備したほうがよいかを示す数字として、君たちは、その平均値、中位値(分布の真ん中の数字)、最頻値(分布の中で最も頻度の多い数字)のどれを示す?と考えてもらった。 みんなは証券会社の社員なのだから、とにかく商品を売りたい。そういう前提の下では、だいたいみんなが平均値を顧客に示すと答えてくれる。というのも、横軸に老後のための必要資金をとり、縦軸に人数をとったグラフを描くと、右裾が長く伸びた分布になるために、左から、最頻値、中位値、平均値の順番に並ぶことになる。 平均値を顧客に示したほうが生活費の不足に危機感を抱き、株を買ってくれそうな人たちが多くなる