米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月27日、8年9カ月ぶりに日本国債の格付けを引き下げた。従来の「AA(ダブルA)」から1段階低い「AA-(ダブルAマイナス)」は財政不安に揺れるスペインより「格下」。昨年の名目GDP(国内総生産)で日本が世界第2位の地位を譲った中国に信用力でも並ばれたことになる。 しかし、格下げ発表後の10年物国債利回り(312回債)の上昇は発表前日の終値に比べて0.015%高い1.250%までで終息。翌1月28日は早々と低下に転じ、その週の最低水準(1.210%)をつける落ち着きを見せた。 日本人に寝耳に水の印象を与えたS&Pの行動。だが、投機のプロ集団である海外投資家はこのシナリオをある程度、織り込んでいた。「発表直後には先物市場で債券をむしろ買い戻した」(欧州系証券会社)という。 先読みを暗示させる証左がある。S&Pの格下げと歩調を合わせたよう