「週刊新潮」4月7日号(2011年)では、「命を捨てて命を救った「殉職者たち」の物語」が特集されている。庁舎で津波警報をアナウンスし続けてそのまま行方不明になった結婚後間もない女性市職員、避難を勧められてもそれを断わり、停電で鳴らないサイレン代わりの半鐘を叩き続け押し流されてしまった消防団員、唯一の連絡手段である衛星電話の確保に1階に戻り、取り外し手渡しながら、自分は津波に巻き込まれてしまった病院事務長――。 こうした振舞いは、洋の東西を問わない英雄的行為であるが、今度のことで多数の海外メディアからとくに注目されているところには、日本人の、ある種の倫理意識のあり方を見てとることもできるように思う。 それは戦前・戦中を通じて、海外から「ブシドー」「ハラキリ」「トッコー」と言われていたものの延長でもあるだろう。武士道とは、もともとは朝廷や貴族に仕え侍(さぶら)う戦闘員として登場してきた侍た