新型コロナウイルスが人だけでなく、企業や店舗の「命」も奪っている。民間の信用調査会社によると、感染拡大に伴う「コロナ倒産」は2月以降の累計で500件を突破した。政治の最大の責任を「雇用の維持」と言い切った安倍晋三前首相の下、倒産防止を最優先に策定したはずの緊急経済対策。なぜ、人々を救えなかったのか。 「厨房(ちゅうぼう)に立てず、店を続ける気力がなくなった」。東京都調布市でフランス料理店を経営していた男性(69)が振り絞るように語った。感染が拡大した3月下旬から休業し、4月中旬に「廃業」を決断。自慢の味を45年にわたって提供し続けた大好きな店だった。 東京商工リサーチによると、「コロナ倒産」が500件に到達したのは9月15日。業種別では、飲食が最も多く70件。次いで、小売店の休業が影響したアパレル関連の54件。帝国データバンクの調査でも、コロナ倒産は9月8日に500件に到達。やはり、飲食が