感染症の流行による在宅勤務の強制は、私たちの働き方にいかなる影響を及ぼしたのか。惰性で参加していた無駄な会議はなくなり、上司や同僚から突然呼び止められることもなく、自分のスケジュールを自己管理しやすくなったことで、知識労働者の生産性を向上させていることが、筆者らの調査により明らかになった。 本稿の執筆陣は長年にわたり、知識労働者の生産性を数値評価するという難題に取り組んできた。 知識労働者の仕事量と成果は、建設労働者や小売店の品出し担当者、コールセンターの職員などと同様の方法によっては測定できない。知識労働者は、課題に関して主観的判断を下し、いつ、何をするかを自分で決め、(しばしば誰にも気づかれずに)脳の労力を節約して仕事の手を抜くこともできてしまう。こうした事情があるため、知識労働者の生産性を高めることは簡単でない。 筆者らは2013年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に寄稿した論文